レコード神社「」PINK FLOYD
ピンク・フロイド狂気
私もピンク・フロイドの魅力を今ひとつ
わからないまま大人になってしまった
人間もどきの一人である。
ジョニーロットンがピンク・フロイドのTシャツを着用し
そのTシャツにマジックで「大嫌い」と書かれた
写真を見たことがピンク・フロイドの印象を決定してしまった。
そんなピュアな人間もどきの私が
初めて聞いたピンク・フロイドは中学二年生の時に
フリーマケットで三百円で購入した。
アルバムは「狂気」であった。
時代は90年代、メロコアが盛り上がり始めていた。
部屋には第一回 AIR JAMのフライヤーを飾っていた田舎の中学生に
ピンク・フロイドはちょっとわからなかった。
本音であり、その印象のまま40代の入り口まできてしまった。
いわゆる名盤とは言われているが
自分から歩み寄らないレコードってありますよね。
気まぐれな猫みたいなやつ。
bookoffに行っても買おうか買うまいか悩む、
結局買わず発泡酒だけ買って家路につく。
『ご安心ください。お代官様』
アマゾンプライムミュージックがあるじゃないですか!
夜明けの口笛吹き
言わずもがなのファーストアルバム。
シドバレット在籍。
いけないタバコを燻らせながら聞くのにちょうどいい音像である。
ただテンションは低いのだけどギリギリのところで張っているような
冷たくなったステーキで頬を引張叩かれる快感に
身を委ねる心地よさがこのアルバムを包んでいる。
温度感は低いからこそ描けるRAW”生”な現実感
ここでいう現実感はトリップ感と同音異義に変換されてしまう
大人になりきれなかった大人のための童話集
世界には幻が必要なのである。
テンションを上げて「ロックンロール!」と叫ぶより
冷めながら覚醒していく感じ
そこに<密室感>を足すとゆらゆら帝国だよなぁ〜なんて思いつつ
シドバレットの歌声とメロデイラインがどうしても
最初、耳に馴染めなかったが、アルバムを聞き終わる頃になると
シドの声とともにおとぎの国に迷って見たくなるから不思議だ。
ブルースが得意な美大生がトリップしながら作ったアルバムだ
部室でバンド練習を録音したような空気感がたまらない。
美大生の思いつきが何十年も続けられれば国宝もんですよ。
ビートルズ然り、セックスピストルズ然り
みんな美大生。
音楽を通してのかカウンターアクションを感じます。
明日のことなんかどうでもいいと思ってしまう
思いっきりの良さが元気にさせてくれます。
この音像がリアリティを持って若者に受け入れられる
時代とは、国とはなんなのか?
税金対策や雇用保険制度の見直しではなく
人ひとりひとりが自己の中に深く埋没し
そこから戻ってきた時に’生’に触れることが出来るのではないだろうか。
60年代 時代は幻を求めた
サイケデリックが<可能性を開く鍵>として文化の中心になった
時代を飾ったムーブメントの一つに過ぎないが
時代が変わっても
<自己変革>は若者の未来に向かうための動機になり得ることを
情報化されたPOPMUSICに侵食されることなく
いまだに進化を続けるピンク・フロイドが
私たちに時代を開拓する希望として見せてくれている。
サイケロックな遊び方としては
部屋の灯りを暗くして、ソファーに深く座り
ウイスキーを片手に 水蒸気の出る無害の電子タバコで
ロックスター気取りで聞くといい。
今週末の遊び方はキマリダ!
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