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電子帳簿保存法改正に基づく帳簿書類等の保存方法

マガジンの分類 事務所通信 : あなたの街の税理士が解りやすく解説します


1. はじめに

2023年度の電子帳簿保存法改正により、国税関係帳簿書類を電子データで保存するための要件や取引情報の保存方法が変更されました。これにより、すべての事業者が対象となり、適切な対応が求められることとなりました。本記事では、改正の概要と保存方法について詳しく解説します。

2. 電子帳簿保存法の対象

電子帳簿保存法の対象となる帳簿書類は、大きく以下の3つに分類されます:

  1. 国税関係帳簿: 企業の財務状況を記録した帳簿類。これには、日々の取引を記録する仕訳帳や総勘定元帳などが含まれます。

  2. 国税関係書類: 請求書や領収書などの証拠書類。例えば、取引先から受け取る請求書や、顧客に発行する領収書が該当します。

  3. 電子取引の取引情報: 電子メールやWebサイトを通じて行われた取引情報。これには、オンラインショッピングでの購入履歴や電子メールでやり取りされた見積書などが含まれます。

3. 保存方法の種類

改正後の保存方法は以下の3つに大別されます:

  1. 電子帳簿等保存

    • 概要: 電子的に作成した帳簿や書類をそのままの形式で保存します。例えば、会計ソフトで作成した仕訳帳や総勘定元帳をPDFやExcel形式で保存することがこれに該当します。

    • 適用は任意: 必ずしも電子帳簿保存を採用する必要はありませんが、採用することで効率的なデータ管理が可能になります。特に、大量の紙の帳簿を保管するスペースを削減できるため、事務所の効率化が図れます。

  2. スキャナ保存

    • 概要: 紙で受領した書類をスキャナで読み取り、画像データとして保存します。例えば、取引先から受け取った紙の請求書をスキャンしてPDF形式で保存することがこれに該当します。

    • 適用は任意: スキャナ保存は手軽に電子データ化できる方法であり、多くの事業者にとって便利な選択肢です。特に、紙の書類が大量に発生する業種では、スキャナ保存によって紙の管理コストを大幅に削減できます。

  3. 電子取引データ保存

    • 概要: 電子的に受領した取引情報をそのまま電子データとして保存します。例えば、オンラインで受領した電子請求書をPDF形式で保存することがこれに該当します。

    • 義務化: 2024年1月1日以降に行われる電子取引については、記録改ざん防止措置を講じた上で電子データをそのまま保存する必要があります。具体的には、タイムスタンプの付与や、改ざん防止技術を用いた保存が求められます。

4. 改正のポイント

2023年度税制改正により、以下の点が緩和・変更されました:

  • 優良な電子保存制度: 過去の国税の調査結果が優良であると認められた事業者に対する要件が緩和されました。これにより、優良事業者は保存要件を簡素化できるメリットがあります。

  • スキャナ保存の要件緩和: スキャナ保存の手続きや要件が簡素化され、利用しやすくなりました。例えば、従来はスキャンしたデータに対して厳格なタイムスタンプの付与が必要でしたが、改正後は一定の条件を満たす場合に限り、タイムスタンプなしでの保存も認められるようになりました。

  • 電子取引データ保存の義務化: 電子取引のデータは必ず保存する必要がありますが、保存要件が満たされれば簡便な保存方法も許容されます。例えば、クラウドサービスを利用して電子データを自動的に保存することで、手間を省くことができます。

5. 実践例とメリット

次に、実際の企業での導入例を通じて、それぞれの保存方法のメリットを具体的に見ていきましょう。

電子帳簿等保存の実践例

事例1: 株式会社A

株式会社Aでは、会計ソフト「TKC FXクラウド」を利用して電子帳簿等保存を実践しています。具体的には、日々の仕訳データや総勘定元帳を電子データとして保存することで、紙の帳簿を保管するスペースを大幅に削減しています。また、データの検索が容易になるため、必要な情報を迅速に取得できるメリットがあります。

メリット

  • 保管スペースの削減

  • データ検索の効率化

  • 紙の劣化や紛失リスクの低減

スキャナ保存の実践例

事例2: 株式会社B

株式会社Bでは、紙の請求書や領収書をスキャナで読み取り、PDF形式で保存しています。スキャナ保存により、紙の書類を電子データに変換することで、紙の保管コストを削減し、業務の効率化を図っています。さらに、スキャンしたデータはクラウド上に保存されているため、複数の担当者が同時にアクセス可能です。

メリット

  • 保管コストの削減

  • 業務効率の向上

  • データの共有が容易

電子取引データ保存の実践例

事例3: 株式会社C

株式会社Cでは、電子メールで受領した請求書や取引情報をそのまま電子データとして保存しています。電子取引データ保存により、取引情報を迅速かつ確実に保存できるため、業務の透明性が向上しています。また、電子データはクラウド上に自動保存されるため、バックアップが容易で、データの紛失リスクを低減できます。

メリット

  • 業務の透明性向上

  • データのバックアップが容易

  • 紛失リスクの低減


電子帳簿保存法の改正により、事業者は帳簿書類等の電子データ保存において多くの選択肢を持つことができるようになりました。適切な保存方法を選び、効率的に管理することで、業務の効率化を図りましょう。

例えば、TKC FXクラウドを利用して電子的に作成した帳簿や請求書をそのまま保存する場合、データの改ざん防止措置が施されているため、法的要件を満たすことができます。また、紙の書類をスキャンして保存する場合も、スキャナ保存の要件に従うことで、手間を大幅に省くことができます。


この記事が、電子帳簿保存法の理解と実践に役立つことを願っています。各事業者の状況に応じて、最適な保存方法を選択してください。
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