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現行の中小企業向け投資関連税制を徹底解説
現行の中小企業向け投資関連税制を徹底解説
近年、日本の中小企業を取り巻く環境は急速に変化しており、生産性向上やデジタル化の推進が求められています。政府も中小企業の投資を後押しするために、さまざまな税制優遇措置を整備しています。本記事では、現行の中小企業向け投資関連税制の概要をわかりやすく解説し、実際にどのように活用できるのかを説明します。
1. 中小企業向け投資関連税制の概要
中小企業が設備投資を行う際、国税や地方税の優遇措置を受けることができます。これにより、事業の成長や競争力強化を促進することが可能です。主な制度として、以下の2つが挙げられます。
(1) 中小企業経営強化税制(国税)
対象設備:
ソフトウェア(70万円以上)
機械装置(160万円以上)
器具備品・工具(30万円以上)
建物附属設備(60万円以上)
税制優遇措置:
即時償却または税額控除10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)
対象となる設備の種類に応じた要件がある
設備分類と要件:
生産性向上設備(A類型):生産性が年平均1%以上向上する設備
収益力強化設備(B類型):投資利益率が5%以上のパッケージ投資
デジタル化設備(C類型):遠隔操作、可視化、自動制御化を可能にする設備
経営資源集約化設備(D類型):修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定以上上昇する設備
(2) 中小企業投資促進税制(地方税)
30%特別償却または税額控除7%(特別償却のみ適用)
この制度は、主に地方税(事業税など)において特別償却や税額控除を受けられるものであり、中小企業の設備投資を支援します。
2. 追加的な税制措置「認定先端設備等導入計画に関する固定資産税の減免措置」
地方自治体が関与する「認定先端設備等導入計画」に基づいて固定資産を導入した場合、固定資産税の軽減措置を受けることができます。
計画に賃上げ表明がない場合:3年間、課税標準を1/2に軽減
計画に賃上げ表明がある場合:
3年以内の投資 → 課税標準1/2軽減
4年以上5年以内の投資 → 課税標準1/3軽減
この制度を活用することで、固定資産税の負担を抑えながら、設備投資を進めることができます。
3. 中小企業の定義とは?
税制の適用を受けるには、「中小企業者等」の定義を満たしている必要があります。
(1) 法人の要件
以下のいずれかに該当する法人が対象です。
資本金の額が1億円以下の法人
資本金または出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
ただし、以下の法人は対象外となります。
大企業の100%子会社(完全支配関係)
2つ以上の大規模法人から2/3以上の出資を受けている法人
過去3年間の平均所得金額が15億円超の法人
(2) 個人事業主の要件
常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
(3) 協同組合等
中小企業等協同組合、商工組合、出資組合など
4. 税制の適用を受けるための手続き
税制優遇を受けるには、一定の手続きが必要になります。以下の流れに沿って申請を行いましょう。
(1) 中小企業経営強化税制の適用手順
設備投資の計画を立てる
設備の種類や投資額を決定
適用要件を確認する
「A類型(生産性向上)」「B類型(収益力強化)」など、要件を満たしているかをチェック
事前確認を受ける
商工会議所や経済産業局で適用要件の確認を受ける
設備を取得し、申告を行う
法人税や地方税の申告時に適用申請を行う
(2) 認定先端設備等導入計画の適用手順
自治体に計画の申請を行う
固定資産税の減免申請を行う
5. 実際の活用事例
(1) 製造業A社のケース
課題: 老朽化した設備の更新が必要だが、資金負担が大きい
活用制度: 中小企業経営強化税制(A類型)
結果: 即時償却を活用し、投資コストを軽減しながら最新の設備を導入
(2) IT企業B社のケース
課題: 業務のデジタル化を進めたい
活用制度: デジタル化設備(C類型)
結果: 税額控除を受けつつ、クラウドシステムやリモートワーク環境を整備
6. 中小企業向け投資関連税制を活用しよう!
現行の中小企業向け投資関連税制は、設備投資を促進し、事業の成長を支援する強力な制度です。特に、即時償却や税額控除といった優遇措置は、資金繰りを改善しながら競争力を高める大きなチャンスとなります。
企業の成長戦略に合わせて、これらの税制を適切に活用し、経営基盤の強化を図りましょう!