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専業主婦から経営者となり、既存の枠組みを超えた挑戦を。くまもとKDSが探求する「新しい教習所」の姿

初めまして。くまもとKDSグループ広報チームの柴山です!

くまもとKDSグループは現在、熊本市と菊池市で自動車学校を運営している企業です。2021年に57周年をむかえ、今では年間4000人以上の方々に利用されています。

当社は「世のため人のための社会貢献」という言葉を掲げ、健康経営の推進、発達障がいや軽度知的障害のある人向けサポートプランやドローンスクールの展開、外国人人材の採用などを進めてきました。今後も新たな事業展開を模索する中で、大切にしたいのが仲間の存在です。

同じ志を持つ仲間を増やすためには、私たちとしても事業内容だけでなく、会社のことや大切にしている思いを発信していかなければいけない。そう考え、noteでの情報発信を始めてみます。

初回は、代表取締役社長の永田佳子に広報チームがインタビューをしてみました。専業主婦から経営者となった永田が、会社を経営する中で一貫して大切にしてきたのは、「社員に寄り添った経営」と「常識の枠組みを越えた挑戦」。ご覧になってもらえると嬉しいです。

全ては社会貢献のため。前例なくても「やってみる」

――永田さんが代表になり、この数年でさまざまな取り組みを始められてきました。自動車教習所としては、なかなか珍しい部類に入ると思います。

「現状維持は衰退」という、経営者としての危機感が常にあります。車に乗る人が減り、自動運転の登場も迫る中、自動車教習所は間違いなく斜陽産業となっています。そのため、スピード感を持って、まずはできることを「とにかくやってみよう」と試みた数年間でした。

その成果が出てきて、就任後の売上規模は25%増に。パンフレットも以前は見開き4ページくらいだったものが、今では20ページ強になっていますね。

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▲代表取締役社長の永田佳子

――新しい試みを始めるときに、いつも意識されていることはありますか?

大事にしてきたのは「企業経営は、社会貢献のためにある」ということです。いつも「これは“世のため人のため”になるのだろうか」と自問自答しています。この思いを実現するためには既存の常識にとらわれず、ダメ元でもまずやってみることが大切だと考えています。

発達障がい者や軽度知的障害のある人向けサポートプランは、嬉しい成果が出た取り組みの一つです。中には、取得した免許証を泣きながら見せる方もいて。インストラクターがもらい泣きしたあの光景は忘れられません。社会に出る一歩に近づけるお手伝いができたと感じています。

――新しい事業展開だけでなく、組織としてグローバル化が進んだ企業になってきたことも、ここ数年での取り組みかと思います。

そうですね。人口減少により、県内で採用できる数には限りがありますので、ここ数年は外国人採用も強化してきました。今はベトナムやネパール、ミャンマーなどアジア圏を中心とした社員がいます。外国人がただ働ける場所をつくるのではなく、彼らにとっても働きやすい環境になるよう、外国人も日本人と待遇を一緒にしています。

海外からの社員が増えたことで、英語や彼らの母国語を使った、外国人の免許取得のサポートもできるようになりました。また、65歳以上の社員も数人雇用しており、年齢や国籍を問わず、協調性を持って誠実に働いてくれる仲間が増えたことは嬉しいですね。

――外国人採用を進める中で、印象に残っているエピソードはありますか?

ネパール人の社員2人と、65歳以上の社員2人を雇ったときに入社式を行いました。その様子をNHKが昼と夕方のニュースで放送してくれて。そのとき驚いたのが、NHKがアップロードしたYouTubeの動画をネパールにいたご主人が発見して、それを熊本にいる奥さんに知らせてくれたんです。他の社員もYouTubeの動画を知るきっかけとなり、昼休みに集まって、みんなで見ながら盛り上がったのが印象的でした。

その後、安定した生活ができるようになったネパール人の社員は、現地にいたご主人や子供を日本に呼ぶまでにいたっています。今は勤務4年目で、第2子を妊娠しています。

――海外からご家族まで移住してもらうのは嬉しいですよね。

はい。もう一人のネパール人社員も日本に家族を呼んだので、私も驚いています(笑)。でも、それは会社を信頼してくれている証なのかと思うと光栄ですね。社員が豊かな暮らしをできるようにすることも、企業がやるべきことだと考えているので。

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売却か継承か。恩返しのため、KDSの経営者に

――ここまでの話を伺ってきて、会社の今後に対する永田さんの強い思い入れを感じます。社長になるまでの経緯についても聞かせてほしいです。

最初のキャリアでは、第一企画(現・アサツーディ・ケイ)という広告関連の会社に就職しました。2年ほど勤務していましたが、広告関係の仕事はせず、結婚を機に退職しました。くまもとKDSグループは実家の稼業でしたが、私は末っ子だったこともあり、当時は「花嫁になることが夢」くらいにしか思っていませんでしたね(笑)。

社長に就任する2年前から取締役の形で関わっていましたが、子育てに専念していたので、働くことからは10年以上も遠ざかっていたことになります。そんな中で、当時の社長である実母から、私が継がなければ「売却をする」と言われて。迷いましたが、私を子どものことから育ててくれた会社ですので、恩返しできたらという思いで引き受けました。

――とはいえ、いきなり社長になることへの不安はありませんでしたか?

もちろん、不安は強くありましたね。ただ人見知りな私でも小さいころから社員の方がかわいがってくれましたし、大学時代に受付のバイトをするなど、くまもとKDSグループは私にとって思い入れのある場所でした。ここで育ったことに誇りを持っていますし、親が大変なときの姿も横目で見ていたので、他の企業に売却することは考えられなかったですね。

――最終的な意思決定をするときに、後押しとなったものはありますか。

今でも強く印象に残っている2つの言葉が、私を後押ししてくれました。1つは当時の社長である母から言われた「一生懸命やってダメだったら、それはそれでいい。ただ、社員とその家族を背負っていることだけは忘れず経営すること」。もう1つが、高校生の息子から言われた「家族が誇れるような経営者になってほしい」という言葉です。

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――素敵な言葉ですね。実際に社長になってみてからは、どうでしたか?

入社したときに、閉鎖的な雰囲気があるという課題を感じていました。教官は担当制なのでスタッフが一緒に業務をすることが基本的になく、個人事業主に近いためです。だからバラバラだった社員をまとめて、会社として同じ方向を向く必要性を感じていました。

そこで、まずは社員が今感じている課題や会社への思いをヒアリングしようと、1on1を全員と行いました。社員と話して印象に残っているのが、家族に誕生日を忘れられているということ。年齢を重ねるとお祝いされなくなる方も多いので、会社の朝会で誕生日を祝うとともに、ケーキを渡して家に持って帰ってもらうということを始めました。

この施策は「家族の皆さんにお祝いをしてもらいたい」という思いがあると同時に、社員同士でお互いを想い合う気持ちが生まれていくといいな、という気持ちを込めています。会社にいる時間は、家族と一緒にいる時間よりも長いですよね。「第2の家族」といえる部分もあると思います。そのため、できるだけ居心地のいい場にしたいと考えました。

経営者として良い取り組みから学び、今後も挑戦を

――次々と新しいことに挑戦し、成果が出ているように感じますが、失敗した経験も聞かせてほしいです(笑)。

失敗も数多くあります(笑)。数年前、大学のサテライトキャンパスでカフェをやろうと試みました。大学生に教習所のことをアピールする良い場所になると思ったのですが、うまくいかなかったんです。なぜかというと、私が来客用の接待にも使いたかったので、上品なカフェにしたからだと考えています。ワンコインで食べられる場所でしたが、普段着の大学生が少し入りにくい雰囲気で、大学の先生が多く利用するような状況でした。

結局、3年間やってみて赤字が続いたので辞めることに。この失敗から、自分の領域でないことをしてはダメだと思いましたね。調理の専門家がいなかったですし、飲食経営に関する知識もなかった。その道に通じているプロがいないといけないと学びました。

私は特技も専門性もないので、新しい取り組みをするときに、反対にあうときもありました。その過程で、いろんな業界の方から情報を得たり、ニュースを見て勉強したりしながら、経営者として必要な知識を学んできたつもりです。一方で、専門性や経験がなかったからこそ、ガンガン進められてきたと今は考えています。挑戦するぶん失敗もありましたが、経営者として学び、良い取り組みから見習って、今後も新たな試みに挑戦したいです。

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――今後の新たな試みについては、何か考えていらっしゃいますか?

今も行っている発達障がいや軽度知的障害の人向け支援の強化や、注力してきた健康経営*)の拡大、在留外国人のコミュニティ作りなどを検討しています。また、当社は高齢者講習に参加いただく方も年間5000名を超えているので、シニアのための学びの場など、元気な高齢者の方々にとっての場づくりもしたいです。その他、福祉領域での新たな事業展開を考えています。

――そのような取り組みを推進するうえで、何が必要と考えていますか。

事業の立ち上げに挑戦したい人材ですね。今も、コロナ禍で始めた「オンライン学科」は若手社員が主導してやってくれるなど、主体性のある社員が少しずつ増えてきています。

ただ、まだまだやりたいことがいっぱいあるので(笑)。地元が熊本で、いずれ移住して起業したいと思っている方には良い挑戦の場になると思いますし、自分のやりたいことを当社で挑戦するのも大歓迎です。興味のある方は、ぜひ一度私とお話ししましょう!

読んでいただき、ありがとうございました。当社の健康経営やSDGsの取り組みをもっと知りたいと思ってくれた方はnoteをぜひフォローください。当社で働きたいと思ってくれた方(時短、リモート、起業準備中の方も歓迎です!)は、こちらの問い合わせからご連絡いただけると嬉しいです。

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