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スタートアップCFOのCFA Level1 受験期
はじめに
先日、密かに勉強を始めていたCFA Level 1の合格発表があり、無事に合格することができました。今回は、CFAを目指したきっかけと勉強方法について簡単にご紹介したいと思います。
プロフィール
バックグラウンド
純ジャパ(日本で生まれ育ち、海外留学経験なし)
金融業界の実務経験なし(監査法人 → コンサル → 事業会社)
TOEIC 800点台(かなり昔のスコア+対策頼み)
保有資格:公認会計士(CPA)、CMA 2次試験合格(未登録)
2児の父で、勉強時間の確保に苦戦
実態
TOEIC対策が中心で、ビジネスで本格的に英語を使った経験はほぼありません(重要な仕事では通訳を頼るほど)。
ただ、公認会計士と日本の証券アナリスト資格を持っているため、会計の基礎知識は一定程度ありました。特にFinancial Statement AnalysisやCorporate Issuersは会計士として優位に進められた印象です。
CMAはかなり昔に学んだだけで実務経験もないため、ほとんど忘れており、勉強しながら「そういえばこんなのあったな」と思い出す程度でした。
勉強のきっかけ
理想のCFO像を考える中で、「緊急度は低いが重要なこと」として
産業のリアルな知識を得る
海外投資家とのコミュニケーション準備
の2つを考えていました。昨年からは産業理解のために四季報写経を始め、海外投資家対応の準備としてCFAの勉強にチャレンジすることに。
緊急低、重要高なので、日々一定のリソースを割り振る形で、長期間かけて少しずつ学習を積み上げるスタイルを意識しました。
未上場CFOが足元の業務以外で必要な勉強は四季報写経とCFAの勉強の気がしてきた。
— rdr3(ベンチャーCFO (@rdr311) June 8, 2024
四季報写経:投資家の選択できるユニバースを理解し、その中で自社の違いを説明するため
CFA:投資家と議論するための一般教養。海外投資家を見据えた英語の勉強
もちろん、CFAだけで英語がペラペラになるわけではありません。ただ、投資家が当たり前に使う投資に関する知識を英語でインプットできる点や、私自身に日常的な英語使用環境がないため、ペースメーカーとしても適していると感じました。
また、家族と仕事を最優先にしており、試験当日の休暇1日以外は特別な時間をもらわない方針で勉強を進めていました。
スケジュール・勉強時間
期間
2月に試験を申し込み、11月に受験
学習期間は約9ヶ月
2月~9月
平日は毎朝1時間、休日は2時間ほどを目標に勉強
できない日もあったので実質200時間ほど(1ヶ月25時間 × 8ヶ月)
10月(直前期)
平日は朝1時間に加え、土日で合計8時間ほど勉強
約50時間を上乗せしたため、合計は250時間程度になりました
勉強方法
1. まずは「勉強方法」の勉強
効率的に進めるため、以下を参考にしました。
2. 使用教材
Schweser
Study Noteと模擬試験(Moc)1回分のみ使用
CFA協会の公式教材・問題
各章のPractice問題と模擬試験2回分(申し込むと無料でついてくるやつ)
日本語で理解を補う書籍
統計学素人として、ここできっちり勉強(大野先生の書籍紹介で知りました)
リスク・リターンやポートフォリオ効果、債券のデュレーションなど、公式ではなく文章から腹落ちできる良書
経済のクレジットサイクルのイメージを掴むのに役立った(誰かもブログで紹介してました。)
実況!証券アナリスト1次試験講座 証券分析とポートフォリオ・マネジメント 3: デリバティブ
当時Kindleで無料だったので、デリバティブの計算基礎の確認にちょうどよかった
3. 学習手順
Schweser Notesでインプット → 章ごとに協会Practice問題
Inputは1回転、Practice問題は読後と全章終了後の2回転
不明点を補強
大野先生の受験ガイドブック、日本語教材、ChatGPTに質問
試験2ヶ月前から模擬試験を解く
CFA協会の模擬試験2回分(2回とも合格ラインギリギリ届かず)
最後に本番の試験環境で合格点を取りたく、Schweserの模擬試験も再度解く(点数は大きく変わらず)
模試1回転目の間違い問題は1週間以内に再度解き直し
直前期は「間違いノート」で復習
協会Practice問題の2周目で間違えた問題や英語表現がわからなかったものを紙のノートにまとめる
試験前夜や当日はこのノートばかり見て確認
「一度間違えた問題は何度も間違えがち」「一度正解した問題は理解定着しやすい」という経験則もあり、直前期の効率的な復習に役立ちました。
もしやり直せるなら
英語力が十分でなく、読んでもすぐに忘れることが多かったため、最初からもう少し問題演習を中心に進めてもよかったかもしれません。また、協会の章ごとの練習問題がかなり難しく感じられたので、模擬試験を軸に進めるのも一つの手だと思いました。
振り返って
つらかったこと
勉強時間の確保
育児と仕事をこなしながらの勉強時間確保はやはり大変でした。朝型に切り替え、平日は出社前、金曜の夕方、休日は子供が起きる前に勉強。金曜夕方は仕事や飲み会などと、自分次第なので、仕事を溜めない・飲み会予定を管理するなど工夫しました。
模試などまとまった時間が必要なときは、直前2ヶ月前くらいから土日のどちらかを勉強にあてさせてもらいました。家族の理解
妻からは「家族に迷惑をかけないように」と言われていたので、極力家族との時間を削らず進めました。それでも直前期は、一人の時間を増やしてもらうなどサポートが必要に。子供には試験終了日に「これからはもっと遊べるね」と言われ、我慢してくれていたことを改めて実感し、感謝の気持ちでいっぱいです。すぐには活かせない知識のもどかしさ
「緊急ではないけど重要」な位置づけで学習を始めたため、今すぐ仕事に直結しないもどかしさはありました。実務で必要な知識不足を感じると、そちらを優先したくなる衝動もありましたが、前職コンサル時代の“仕事フルコミット”モードは抑え、長く、淡々と続ける形で乗り切りました。
楽しかったこと
英語で学ぶ新鮮さ
これまでは「英語を勉強する」ことが多かったのですが、今回は「英語で勉強する」経験が新鮮で楽しかったです。日本語と異なる文章構造や説明の仕方も新鮮でしたし、読み進めているうちに読解スピードが上がっていくのを実感できたのは大きなモチベーションになりました。理論が定着していく手応え
CFAに限らず、資格試験の良いところは、流行りのニュースを追いかけては忘れていくのとは違い、体系的な理論を繰り返し学んで頭に叩き込める点だと思います。単発的な情報に流されず、思考の基礎が構築されていく学習の心地よさがありました。CFAのネットワーキングイベント
合格前でも参加できると知り、一度足を運んでみました。皆さん気さくで、資格をまだ持っていない私にもフレンドリーに接してくれました。普段会うことのない業界の方とお話できたり、実際に試験で学ぶ内容を仕事で活かしている方のお話を聞けたりと、とても刺激的でした。今後も積極的に参加していきたいと思います。
おわりに
今回無事にLevel 1に合格できたので、次はLevel 2に挑戦する予定です。今後も学習の進捗や得た知識をシェアしていきたいと思います。興味のある方はぜひチェックしてみてください!
まとめ
CFA Level 1合格までにやったこと
約9ヶ月で250時間ほど確保
SchweserNotes+CFA協会のPractice問題+模擬試験
わからない箇所はChatGPTや日本語の参考書で補強
「間違いノート」作りが直前期に効果的
これからCFAを目指す方へ
英語力に不安があっても、ペースメーカーや用語の英語インプットとして取り組む価値あり
できる範囲で時間をつくり、少しずつコツコツ進めるのが大切
ネットワーキングイベントにも合格前から参加可能なので、情報交換に活用を
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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