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ミルクボーイがDXを説明したら

挨拶

内海「どうもお願いします。ありがとうございます。今、ハードウェアトークンをいただきましたけどもね。ありがとうございます。こんなんなんぼあってもいいですからね」

駒場「いきなりなんですけどね、うちのおかんがね、好きなIT用語があるらしいんやけど」

内海「そうなんや」

駒場「その名前を忘れたらしいねん」

内海「IT用語の名前忘れてまうってどうなってんねん。あれやろ、IT用語ゆうたらどうせ、クラウドネイティブか、ノーコード開発か、エッジコンピューティングやろ!」

駒場「俺もそう思ったんやけどちゃうらしくてな、いろいろ聞くんやけど、全然わからへんねん」

内海「そうなん?」

駒場「うん」

内海「ほんだら俺がね、おかんの好きなIT用語、一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたかとか教えてみてよ」

定義

駒場「おかんが言うには、ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることやって言うてた」

内海「ほぅ。……DXやないかい?その特徴はもう完全にデジタルトランスフォーメーションやがな。すぐわかったよこんなもん」

駒場「俺もDXやと思てんけどな」

内海「そうやろ?」

駒場「おかんが言うには、最近流行りのXaaSを導入して社内システムの開発運用費用を下げることやともいうねんな」

内海「あー。ほなDXと違うかぁ。DXはね、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することを指す言葉やねん。DXちゃうがなそれ。もうちょっと詳しく教えてくれる?」

いいDX

駒場「おかんが言うには、海外の自動車メーカーが開発したアプリでは、ARを利用して販売店に行かずともリアリティのある試乗体験ができるらしく、コロナ禍も相まって成功を収めてるらしいねん」

内海「DXやないかい!DXはデジタルの力を、効率化・省力化を目指したITによる既存ビジネスの改善にとどまらず、新たな収益につながる既存ビジネスの付加価値向上新規デジタルビジネスの創出に振り向けることやと、経済産業省のデジタルガバナンスコード(旧DX推進ガイドライン)にもそう書いてあんねん」

駒場「俺もそうやと思ったんやけどな」

内海「そうやろ?」

駒場「そういえば、おかんの会社でもこないだ社内申請がWeb化された言うてたけど、よう聞いてみたらフォームへの入力項目がただPDFに印字されて結局それを会社でプリントアウトして紙で提出する言うてた」

内海「ほな、DXちゃうやないかい。デジタル化はDXの一部やけど、それだけじゃDXとは言わへん。というかその社内申請の件は単なるデジタル化すら危ういがな」

駒場「言われてみればそやな」

内海「せやろ? そもそも、よく誤解されるけど、単なる既存業務のデジタル化はDXとは呼ばんわけよ。もうちょっとなんか言ってなかった?」

ダメなDX

駒場「なんでも、おかんの会社では経営企画と情シスの何人かを兼務させたそれらしい名前の部門作って旗振りさせてるんだけどPoCを繰り返すばかりでなかなか前に進まないらしいねん」

内海「DXやないかい。そしてそれはDX推進上のよくある失敗例やないかい!DX を実現していく上では、デジタル技術を活用してビジネスをどのように変革するかについての経営戦略や経営者による強いコミットメント、それを実行する上でのマインドセットの変革を含めた企業組織内の仕組みや体制の構築等が不可欠やねん」

駒場「なるほどな、おかんの会社でもこれは経営課題や、ってなっとるらしいからな」

内海「絶対それはDXや!おかんがやりたいのはDX!」

DXの進め方、雇用市場の変化

駒場「わかれんへんねん」

内海「なんでわかれへんのそれで」

駒場「俺もDXや思てんけどな、DXパートナーを謳うコンサルやSIerにやらせとけばいけるやろ言うてたんや」

内海「DXちゃうやないか!DXは単なるシステム構築と違うて、あくまで経営層の強いコミットメントを伴う業務改革を前提にしとる言うとるやろ。だからIT部門や、ましてコンサルやSIerに丸投げしてもうまくいかんねん。あくまで自社の業務に精通し、実行力と権限があり、できればデジタル技術に明るい社員が粘り強く推進することが必要やねん。そういう意味ではコンサルやSIerから引き抜いてきただけでもだめで、トライ・アンド・エラーを繰り返しながらDX人材を自社で育てる覚悟がないとあかんねん。まぁ、特に非IT業の場合、最初はコンサルやSIerに伴走してもらう必要はあるかもしれへんけど、あくまで旗振りは自社のDX担当社員で、試行錯誤のプロセスを通じて血肉としていかなあかんなぁ。まぁ、実際デジタル技術への精通いうところが際立って、コンサルやSIer経験者が事業会社に吸い込まれる現象がIT人材市場ではすでに起きてる感じはするんやけどな」

駒場「わからへんのよ」

内海「わからへんことない!おかんの好きなIT用語はDX!」

駒場「おかんがいうには、DXではないっていうてた」

内海「ほなDXちゃうやないか!おかんがDXではないと言えばDXちゃうがな!」

駒場「そうやねん」

内海「先言えよ!DX人材の育て方やIT人材の雇用情勢の変化を長ったらしく言うてるときどう思てたん?

駒場「申し訳ないなと思って」

内海「ほんまにわかれへんがな、それどうなってんねん」

駒場「おとんがいうには、OA化ちゃうかって」

内海「いや、絶対ちゃうやろ!もうええわ。どうもありがとうございました」

おしまい

※ 2024.3 DX推進ガイドラインがデジタルガバナンスコードになっていたのを発見したので、本文中の関連する部分を少し修正しました。


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