見出し画像

2nd.幸せの形は人それぞれ

作詞:こだま
作曲:こだま

 幸せの形は人それぞれ 大人になる度知ってきた
 それをわかりたくないなんて 眉を細める
 僕はまだ子供なのかな

 もう歳なんてとりたくないって 思い始めたのはいつからだろう
 昔はあんなに大人になりたいと思ってたのになぁ

 目まぐるしく過ぎる現実に すり減った感情
 ねぇ僕らの行き着く先って どこなのかな?

 戻りたい 戻れない日々に
 帰りたい 帰れないあの日
 示された道なんて何が 正しいかわかんないや

 なんて時々 苦しいんだけど
 今ある環境を大切にしよう

 幸せの形は人それぞれ わかったフリしてるんだけど
 このモヤモヤってなんだろう?
 僕は何を欲しがってるんだろう

 描いてた夢は いくつ描き替えた?
 遠い日の声 僕に呼びかける

 今思う 僕らは何を学んだか 何を捨てたか
 何も知らないことはそれでも幸せと呼べるから
 ありふれた平凡な日々も 特別なことなんだって

 なんて時々 苦しいんだけど
 今ある未来を僕は大事にしよう


中学生の頃は、僕にとって多感な時期だった。

死ぬほどハマることができたのもこの時期で、
この頃始めたギターも今だに続いている。

音楽の他にお笑いなんかも好きで、
他の楽曲である「Blue」に登場する相方と一緒に、
お笑い芸人を目指していたのもこの時期だ。

この頃の僕はやっぱり今と同じで、
目の前に広がる世界がすべてだったと思う。


ある知人がいた。
世間的に言えば、いい大人。

その人との付き合いは数年のものだったが、
上記の相方も僕もとてもお世話になった。

見るからに幸せな家庭があって、
きっとその幸せは永遠に続いていくんだと思っていた。

僕も相方も高校生になり、
だんだんとその人との関わりは減っていった。

今ではほとんどなくなった風習である、
「年賀状」くらいでしか現状は知れなかったが、
その頼りも大人になっていくにつれ、尽きていった。

相方とも連絡をとらない期間も多くなっていったが、
それから数年経って久しぶりに会話をしている時、

「〇〇さんがどうなったか知ってる?」
と聞かれた。

上で書いた"いい大人"の人のことだ。

まぁ簡単に言えば、
その人の不倫がバレて一家離散みたいになってる、と。

まさか…と思った。
幸せを絵に描いたような、とはあの家族のことだったから。

その人と最後に連絡をとったのは、8年ほど前だった。
もう最近のことは知らない。

相方と2人で、昔遊びに行ったことのある
その人の家を見に行くことにした。

家が枯れる、という言葉が相応しい外観になった家。
庭の草も伸び放題。

あの頃遊んだ、思い出の庭なんてどこにも見当たらない。
遊具もなくなっていた。

ああ、時間はこんなにも残酷にすべてを変えてしまうのか。

相方をちらりと横目で見る。
相方も絶句していた。

あの頃過ごした景色を、なにか分からないものに奪われた。
そんな漠然とした不安が胸の中に渦巻いていた。

幸せ、とは程遠い。
勝手に幸せを定義して期待していたのは自分たちだが。

そう、僕たちは勝手に他人の幸せを定義したがる。

これがいいよ、こうしたほうがいいよ、
この学校が、この会社が、

そんな言葉を、これまで生きてきた中でたくさん聞いてきた。

だけど本当は、幸せの形なんて人それぞれで
本人が幸せならそれでいいんじゃないのか?って

あの枯れた家を見た時に疑問に思ったんだ。

そしたら、この楽曲の歌詞が浮かんできた。
曲をつけるのも含めて10分ぐらいで完成させた。

おそらく自分で作った曲の中で最速だ。
なのに伝えたいことを詰め込めた。

先日、友人にこの曲がすごくよかった、と言われた。
きっと自分の過去をナチュラルに切り取って書けた歌だからだと思う。


不倫をして、一家離散になったけど、
幸せであってほしいと思う。

その不倫がどんなものだったのか知らないけど、
きっと逢瀬を繰り返していた時は幸せだったのかもしれないし、
一家離散が不幸、という定義を決めることは、他人にはできない。

そう、きっと幸せだったんだ。

この歌は、とても近いのに遠くから眺めている
という情景を描き出したリアル。

周りになんて言われようと、本人が幸せならそれでいんじゃね?
幸せか分かんないけど、幸せであってほしいと願うくらいは勝手だよね。

そういう見方をして、歌詞を見るとこの歌の深みが出てきます。

いいなと思ったら応援しよう!