
『Running Lean』10周年記念版 by Ash Maurya
原文:https://blog.leanstack.com/running-lean-10th-anniversary-edition/

時が経つのは早いものです。『Running Lean』の最終版から10年が経ちました。あれから私は、世界中の数百ものプロダクトチーム、コーチ、ステークホルダーを、何千時間もかけてトレーニングおよびコーチングしてきました。私のゴールは、本書で最初に示されたステップバイステップの体系的なプロセスを、私のプロダクトだけでなく、さまざまなプロダクトや業界において検証および洗練することでした。
本書はいくつかの疑問には答えてくれましたが、以下のような難しい質問に次々と直面することになりました。
どうすればリーンキャンバスだけで投資家(やステークホルダー)にアイデアを認めてもらえるのか?
どうすればゲームやファッションのような「欲望駆動」のプロダクトで課題インタビューを実施できるのか?
どうすれば非テック系のプロダクトやサービスにRunning Leanを適用できるのか?
新版では、これらの疑問をすべて解決しました。
その過程において、私は追加のビジネスモデリングツール、新しく生まれ変わった検証戦略、さまざまな方法論やフレームワーク(リーンスタートアップ、デザイン思考、ビジネスモデルデザイン、JTBD、システム思考、行動デザインなど)と統合した、さらに実践的なテクニックを開発しました。
非常に不確実性の高い状況下で画期的なイノベーションを実現するには、 1つのフレームワークに限定するのではなく、すべてのフレームワークからベストなものを選択すべきだと考えました。これらのフレームワークは重複するところもありますが、それぞれが他のフレームワークを凌駕するスーパーパワーを持っています。これらのスーパーパワーを新しく作ったフレームワークのフレームワーク(継続的イノベーションフレームワーク)に収めました。新版では、それを紹介しています。
新版では、リーンキャンバスに加えて、以下の内容も取り上げています。
アイデアを形成する「トラクション・ロードマップ」
リスクに優先順位をつける「顧客ファクトリー指標モデル」
顧客を不覚理解する「顧客フォース行動モデル」
『Running Lean』の10周年記念版では、以下のことがわかります。
初期のビジネスモデルを形成するための、より効果的なストレステストのテクニック
解決に値する本当の課題を発見するための、完全に刷新した課題発見インタビュースクリプト
顧客に「あったらいい」ではなく「欲しい」と思わせる、実践的なプロダクト構築プロセス
ここまで読んだ方は、単なるマイナーチェンジではないことに気づかれたかもしれません。そのとおりです。10周年記念版でもある第3版では、新たに120ページが追加されました。また、いくつかのパラグラフを除き、すべてを完全に書き直しています。
長年の経験を持つ実践者でありコーチでもある方が本書の早期アクセス版を読んだときのコメントを紹介しましょう。
これは新版というよりも、新しい本という感じだ。あまりにも違うので、少なくとも新版の枠には入れられないだろう。ざっと目を通そうかと思っていたが、じっくり腰を据えて読む必要がありそうだ。
Rossは前の版をみんなに読ませたくらいなので、よくわかっているのだと思います :)

個人的な理由
「もっと早く『Running Lean』を読んでおけばよかった」と言われたときは「私もです」と答えています。私は本書に書かれたすべての過ちを犯してきました。前の版は自分の考えを明確にするためのものでした。新版は、その考えに磨きをかけるためのものです。
前の版の『Running Lean』は、自分のために書きました。
今回の第3版は、起業家であるあなたのために書きました。
Running Lean(と私の会社LEANSTACK)のミッションは、起業家精神の教え方や実践方法を民主化することです。つまり、次世代の起業家たちが、少なくとも同じ過ちを犯さないように手助けしたいのです。
誰も欲しがらないものを作るには、人生は短すぎます。