第3回「うつわを愛でる会」は、やっぱり好きが広がるイベントだった。
第3回目の「うつわを愛でる会」無事に終わりました。
今回もはじめから終わりまでたのしくって、終わってからもしばらくみんなでお喋りが続くほどでした。
参加してくれたのはこの4名。
左から齋藤さん、藤本さん、いぬつかさん、山本さん。
なんとみなさん、京都、兵庫、大阪、熊本と県外から集まってくれて驚き。貴重な祝日の午前中に、わざわざお越しくださりほんとうにありがとうございました。
最初は、恒例の自己紹介からスタート。
お茶を飲みながらそれぞれの話をしてほどよく打ち解けたところで、お待ちかねのおやつタイム。
横浜で買ったという白トリュフ仕立てのソフト煎餅や、東京からお取り寄せしたというお煎餅、高山製菓のかきもちに、和菓子屋さんの桜餅に豆大福(!)、手作りオートミールクッキー(!!)まで豊富すぎるラインナップ。それぞれが机に出すたびにワーっと盛り上がります。しかもね、甘いの→辛いの→甘いの→辛いの…のエンドレス。まるで計算したかのような組み合わせで、喋りながら手が止まりません。いったいどうしてくれるのでしょうか。
そしてお腹がほどよく満たされてきたところで、いよいよ本題であるうつわのお話へ。
齋藤さんは、彩りがきれいな湯呑みを持ってきてくれました。
この湯呑みは齋藤さんの両親が揃えたものらしく、幼い頃から家族みんなでつかっていたのだそう。手作り品なので、それぞれ少しずつかたちや色が違っていた。当たり前のように側に寄り添ってきたもので、実家を出てからもずっと愛用し続けているとのことでした。
透明感ある白い肌に、スッと描かれた線模様がうつくしくてみんなで釘付けに。さらによく観察してみると土を平たくしてくるっと巻いたような感じの跡を発見し、大コーフン。順番に「触っていいですか?」と声を掛け合いながら触れあい、堪能しました。
たしか、このとき齋藤さんはポソッと「いま自分がうつわを好きなのは、両親の影響が大きいかも…」というような話をしていました。たしかに、幼い頃からすてきなうつわに触れることで、なにかこう、美意識の輪郭みたいなものはできてくるのかもしれないし、長く一緒にいることで相棒のような存在になってくるのかもしれないなぁと。
私は大人になってからうつわに触れるよろこびを知ったので、幼い頃からこんなすてきなうつわに触れていた齋藤さんをなんだか羨ましく思いました。
きっとご両親もすてきな方なのだろうなぁ。
続いて山本さんは、2つの湯呑みを持ってきてくれました。
まず写真右の湯呑みについて。
山本さんのお父さんは沖縄で陶芸をしていたらしく、その影響で山本さんも幼い頃からうつわに触れてきたといいます。しかし山本さんが本格的にうつわにハマったのは家を出て独立してからのこと。ある日を境に、お父さんから譲り受けたこの湯呑みを「いいなぁ」と思うようになったそうなのです。
そこからさらに、山本さんは写真左の湯呑みに出会います。
これはある日、山本さんがお父さんの陶芸の師匠の家に遊びに行ったときのこと。
師匠が山本さんにこの湯呑みでお茶を淹れて出してくれたそうなのですが…
山本さんは触れた瞬間、直感的に「この湯呑みはオレのものだ!」と思ったのだそう。そうして飲み終わったあと、師匠に「この湯呑みを譲ってもらえませんか?」とお願いして、運良く自分のものになったのだそう。
え、なぜ?なんという…(絶句)
みんなこの話を、目をまんまるくして聞きながら矢継ぎ早に山本さんへの質問が飛び交います。
うつわを好きになったのは、心境の変化があったのですか?
なぜ「オレのものだ!」と思ったのですか?
この湯呑みのどこに惹かれたのですか?
山本さんは一人ひとりの質問に丁寧に答えながら、「子どもの頃からうずくまっていたなにかが溢れ出したのかもしれない」ということや、「色々な職を経て、いま新しいことに挑戦している」という話をしてくれました。
なんだか、うつわとの出会いとともに人生の歩みを進める山本さんのお話に、聞きながら鳥肌が立ってしまいました。そんなことってあるんですねぇ。
ゆるやかに場の空気がヒートアップしてきたところで、お次は藤本さん。
透明感あるきれいなブルーの長皿を持ってきてくれました。
この色のきれいさに、相変わらずみんなでワーっと盛り上がります。
そして藤本さん、このお皿を見ながらポツリポツリとこんな話をしてくれました。
藤本さんがこのお皿を買ったのは、焼き物の産地で有名な佐賀県の有田町でした。
藤本さんには息子さんがいて、当時福岡の大学に通っていたそうなのですが、色々あって大学へ通えなくなってしまったのだそう。藤本さんにとっては初めて直面することで、どう息子さんに寄り添っていけばいいのかわからなかった。藤本さんはせっせと福岡へ通いながら、「私がこんな状態じゃいけない…」と思い悩んでいた。そんなときに、ふと有田でこの長皿と目があった。全てを包み込むようなおおらかさに惹かれて、すがるような気持ちで買ったのが、この長皿だったそうなのです。
それからこの長皿を使うたびにふと、そのことを思い出すし、息子さんはいまは元気で暮らしているということでした。
このお話を聞きながら、あぁ息子さんは幸せものだなと思いました。藤本さんの気持ちは、きっと直接的ではなくとも伝わっているのだろうなぁ…と。そして「全てを包み込むようなおおらかさ」をうつわから感じたという藤本さんのお話を聞いていると、はじめましてのはずなのに、この長皿を不思議と愛おしく思えてきました。きっとみんなも同じ気持ちだったのではないかなと思いますよ。
そして、大トリはいぬつかさん。
渋めの小皿を持ってきてくれました。
「これは高校生のとき、自分で薪窯で焼いたものです」と話してくれて、みんなでエーッと驚愕。顎がはずれそうでした。
聞くと、高校の授業の一環で、陶芸を体験するという時間があったらしくそのときに焼いたものということでした。卒業生がつくった薪窯で、みんなで交代交代、火の様子や温度をチェックしながら焼き上げたといいます。
なんと本格的なのでしょうか。
さらにびっくりしたのが、いぬつかさんは当時和歌山県の高校に通っていて寮で暮らしていたのだそうですが、陶芸を指導してくれたのは、陶芸家の「森岡成好さん、由利子さん」なのだそう!マジではずれた顎が戻りません。どうしてくれるのでしょうか(2回目)
このnoteを初めて読んだ人に捕捉すると、「森岡成好さん、由利子さん」は草々で取り扱わせてもらっている陶芸家さん。先月初めて工房へ行き、noteを書き、いまメインテーブルで展示をしている方たちなのでした。
いぬつかさんもお二人の工房へ行き、作陶の現場を見せてもらったのだそう。しかも当時いぬつかさんの高校にあった薪窯は、森岡夫妻の指導のもとで卒業生がつくりあげたものなのだそう…。
こんなことってあるんですね。
ちなみにいぬつかさんは現在、料理のワークショップをしながら日本を車で縦断中で、これから北海道を目指して旅をするそうです。今回はちょうど九州から関西にくるタイミングで、この「うつわを愛でる会」が開催されることを知って参加してくれたのだそうです。
いぬつかさんは、これからのことについてポソっと「自然と繋がりたい」というようなことを話していました。きっと、陶芸で土に触れたことや料理で食材に触れることを通して自然との繋がりを意識しはじめたのだろうと思います。感性が豊かでワクワクするような未来のお話に、みんなで顔をほころばせながら第3回「うつわを愛でる会」は終了となりました。
会のあと、参加者からこんなDMをいただきました。
そういえば今回、募集をかける前から「参加したい」とDMがきてびっくりしました。いつも人集まるかなぁ…と不安まじりに募集をかけるのに。
当日がたのしみすぎて眠れなかった、という感想もなんだかとてもうれしかったです。実は私もそうでした!
***
あぁ…今回も濃密な時間となり、ほんとうにありがとうございました。
やっぱり、人の好きなものを見せてもらうことっていい時間だなとあらためて思います。このホクホクな気持ちを大切に、引き続き、私もうつわを愛でていきたいと思います。
うつわと暮らしのお店「草々」
住所:〒630-0101 奈良県生駒市高山町7782-3
営業日:木・金・土 11:00-16:00
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