KDDIデザインの現場から:au海外放題プロジェクトの振り返り
今回は、デザインセンターが関わる具体的な事例通して、業務のイメージをご紹介します。
はじめに
新型コロナウイルスの影響が徐々に収束し、海外旅行の復調にともない海外での通信利用ニーズが増しています。増加するニーズをとらえられるよう、KDDIでは「au海外放題」サービスの成長を目指すプロジェクトを立ち上げました。プロジェクトでの主な取り組みは次の3点です。
利用者像の明確化
情報の整理整頓
利用導線の最適化
これらを通じて、サービス内容を正しく理解いただき、多くのお客さまにご利用いただけるサービスの実現を目指しました。
プロジェクトの概要
体制
このプロジェクトは、2023年6月から12月にかけて実施され、以下の専門チームが結集しました。デザインセンターは、お客さま体験の設計だけでなく、部門間のコミュニケーションデザインを含む、プロジェクトマネジメントの役割も担いました。
プロセス
まず、デスクトップリサーチ、ユーザーインタビューを通して、競合通信サービスとの立ち位置を確認し、ペルソナ・体験設計を実施しました。
簡単な手続きで、お使いのスマホをそのまま海外でも使える国際ローミングと、そのほかのサービスのそれぞれの強みや弱みを把握することができました。
定義したペルソナとカスタマージャーニーをもとに、利用導線の再設計と評価を実施しました。お客さまのお困りごとを把握するために、カスタマーセンターに寄せられた声も参考にしました。電話・チャット・店頭と、様々なチャネルから集められたお客さまの多様な声を分析できるのは、KDDIならではだと思います。
その後、調査と評価結果をもとに導線を改修し、公開に至りました。また、評価時のお客さまの言動をきっかけに、料金体系を見直しました。事業価値を担う企画部門のメンバーが、改めて客観的な視点を持った効果だと考えています。
具体的な成果
プロジェクトの成果は多岐にわたります。
「au海外放題」の認知~利用までの体験設計
ビジネス提供価値と、お客さま提供価値の明確化
サービスサイト~アプリのユーザビリティ評価と改善
利用者層やニーズを再定義し、料金体系の改善と効果的な認知向上施策の実施
担当デザイナーの声
早期からプロジェクトに関与し、長期間にわたってサポートすることで、デザインプロセスが徹底できたと思います。
当初は海外旅行の一般的な層をターゲットにした事業ですが、ユーザー調査をすることで、よりサービスの利点が伝わる利用者像の発見につながりました。
初回ローンチタイミングでの改善点を見極め、機能を段階的に実装することで、事業観点とお客さま体験観点の両立を図ることができたと思います。
サービス企画部門の声
今回は、共通の目的を持ったビジネス、開発、デザインのバックグラウンドを持った人財が参画し、それぞれの領域に責任をもってプロジェクトを推進しました。そのため、改善されたプロダクトやアウトプットに対するコメントだけでなく、デザインプロセスを取り入れたプロジェクトの進め方に対するコメントが多くあがりました。
サービスに対するお客さまの考えを第三者視点で改めて認識でき、料金体系改善に活かすことができた。
プロジェクトの効果として、目の前の単発の課題解決だけでなく全体像が良く見えた。
ユーザー調査を実施したことで、お客さまが何故「au海外放題」を選択してるのか明確になった。
ユーザビリティテストを行うことで、自身では気づけない視点での改善点が明確に見えた。
また、開発のメンバーからも、以下の通りデザイナーが早い段階で入り、順序立ててプロジェクトを推進することの意義を感じたとの声があがりました。
ユーザー調査/分析を実施したことでお客さま像の理解が深まり、高いモチベーションを持って開発に取り組めた。
早い段階から画面設計を推進したことで、手戻りの少ない効率的な開発が実施できた。
今後の展望
プロジェクトの成果を振り返りつつ、今後はサービス企画部門とデザインプロセスを一緒に進めていき、さらなるプロジェクトの展開を目指します。
今後の記事では、デザインセンターが担当する多様な領域のプロジェクトについても触れる予定ですので、ぜひご期待ください。