なぜデザインなのか、なぜデザインリサーチなのか
※デザインリサーチの教科書 / 木浦幹雄 の 要約です。
より深く知りたいと思った方以下から。
「デザイン」あるいは「プロダクト」という言葉は受け取る人によって様々な意味で解釈されます。これまで主にユーザーとしてデザインと関わってきた方は、第一章から読んでいただけるとデザインリサーチがいかに必要とされるものか、その背景についてより深い洞察を得られると思います。
デザイン=見た目の話?
著者の中では、グラフィックデザインやプロダクトデザインは「デザイン=見た目の話」の文脈の中で培われてきた言葉だと言います。実際、これらを学校で学ぶ際は、材料やツール、テクニックを教わり、評価対象は「いかに美しい見た目か/どのような製造方法か」でした。
それは、しかし、プロダクトが何らかの物理的なオブジェクトであったからで、現代ではスマホアプリのように物理的な実態を伴わないものから、Uber Eatsのようにユーザーに'体験'を提供する一連のサービスもプロダクトとして扱われるようになってきたのです。このモノからサービスへの移り変わりはデザインに求められる評価にも変化を与えました。サービス化したプロダクトは、ユーザーとの良い関係を長期的に築く必要があります。その為には、美しさもさることながら、ユーザーを中心に設計されたプロダクトを提案する必要があります。
人々を理解する能力
ユーザー中心設計は、人々の本質的なニーズへの追求を必要とします。
人々がどのように働き、遊び、暮らしているのか。そしてその中でそのような人たちと接し、何に価値を感じているのか。人々はどのように暮らしたいと考えているのか。これらを徹底的にリサーチし、人々にとってより理想的な生活を実現するために、プロダクトにできることは何か?を考えるのである。そしてプロダクトが、利用されるその瞬間だけではなく、その人の人生という数十年スパンの中で、どのような価値を提供できるかについて検討するのである。子どもが玩具で遊ぶのは人生全体から捉えるとごくわずかな期間かもしれないが、10年後、あるいは30年後、その玩具で遊んだ経験がその後の人生にどのような影響を与えるかを検討しなければならない。
デザインリサーチは、デザイナーの主要なスキルセットである「人々を理解する能力」を切り出し、体系化したものです。プロダクト開発においてデザイナーが関わるべきプロセスは次の3つです。
- Opportunity Scout (機会発見)
- Storytelling (ストーリーテリング)
- Prototyping (プロトタイピング)
Opportunity Scout とは、ユーザーインタビューを実施したり、行動を観察したりすることで洞察を得ることです。イノベーションのためにどのような領域が存在するかを発見します。
Storytelling とは、その得られた洞察を、同僚あるいは潜在的な顧客に伝えることです。
Prototyping とは、洞察から構築した仮説を検証し、プロダクトのためのアイデアに、妥当性があるか否かを検証することです。
本書には、これらのプロセスにおける手順を、詳細に(200ページ以上!)記されています。
ユーザー中心設計の考え方が広まるにつれて、リサーチに基づくデザインへの期待が高まり、昨今では、上流工程からプロダクト開発にデザイナーが関与することも多くなっています。これからのデザイナーは、クライアントと一緒にチームとして成果を出す姿勢が求められていくでしょう。
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