【#京芸V展】『Unseen Sights 光のその先』とは?「京都市芸バーチャル展」について紹介
2020年度京芸卒業生と探る、新たな展示の光景
本展覧会では「可能性」に焦点を当て、大学卒業を目前に様々な可能性を秘めた3名の方の卒業制作を中心に展示を行います。今回は、京都市立芸術大学油画専攻から進士三紗さん・土屋咲瑛さん・山田実奈さんの3名に作品を出展いただくことになりました。
3名の卒業制作は、2月に京都市京セラ美術館で行われた「作品展」でもすでに展示されています。ですが、一つの展示室に複数の学生の作品が並ぶ作品展とは違い、今回はアーティストごとに部屋を設け、作品のコンセプトに合わせたオリジナルの展示空間を用意しました。
現実の美術館では、施設の特性上ある程度画一的な展示になりますが、バーチャル空間であれば場所や費用の制約を受けることなく、作品に合わせて自由に展示空間を作ることができます。時間をかけて制作された作品だからこそ、オリジナルの展示空間を実現することで、作品の魅力を最大限に引き出せる展覧会にしたいと考えています。
加えて、油画を含むファインアートはこれまでオンライン展示には向かないジャンルだと考えられていましたが、本当にそうなのか、オンライン上でも作品の魅力を引き出す方法はないのか、その答えの一つもここで提示したいと考えています。
本展覧会を通じて、作品自体の持っている可能性や、バーチャル空間上での展示の可能性を示すことによって、まだ誰も見たことのない光景(=Unseen Sights)をみなさんと共有できればと思います。
「空間ごと」味わう作品の世界
作品のタッチや質感をその場で感じ取れることは、現実空間での鑑賞の醍醐味です。オンライン展示ではそういった情報が抜け落ちやすいため、その点では現実空間の方が鑑賞に適していると言えます。
ですが実際には、その周囲の情報も鑑賞体験をかたち作る大切な要素だと考えています。例えば作品の展示場所や周りの床と壁の色、展示室の明るさ、雰囲気、聞こえてくる音。もちろん一番重要なのは作品の存在ですが、その周囲の情報も複合的に結びついて、私たちの鑑賞体験が作られています。
この点、オンラインではこういった要素を自由にコントロールすることが可能です。費用や物理的な制約を受ける現実空間とは異なり、作品に合わせて展示空間を作り出すことができます。
今回はオンラインのこの特性を活かして、作品のコンセプトを空間全体で感じ取れるような展示空間を作りました。協力していただいたアーティストの方と相談を重ねながら、順路や空間構成にも意図を持たせるようにしています。展示室を巡りながら、空間全体で作品の世界を味わっていただけると嬉しいです。
展覧会ディレクター Azumi
▼光の向こうには別の展示空間が
バーチャル展の可能性を切り拓く
「京都市芸バーチャル展」の目標は、作品を見せるための一つの手段としてバーチャル展を確立させることです。美術館に展示する代替の手段ではなく、意義を持ってバーチャル展という展示手段を選択してくれるようになってほしいのです。
この『Unseen Sights』という展覧会では、主に油画や日本画などのファインアートと呼ばれる分野の作品をバーチャルで展示するとき、いったいどうあるべきなのだろうかという観点から企画をしました。
私たちが出したひとつの答えが、コンセプトの空間再現でした。もちろんこれはひとつの提案でしかなく、もっとバーチャルだからこそできる内容もあったのかもしれません。
鑑賞してくださる皆さん、そして今後バーチャルでの作品展示を検討される作家の皆さんにも、バーチャル展のあり方を一緒に考えていただきたいと思っています。
まだ未知の領域であるバーチャル展という分野を切り拓いていく。この展覧会からまだ先、これからどんな新しい形のバーチャル展が生まれてくるか楽しみにしています。
「京芸V展」総合ディレクター 早蕨わらび
開催概要
展覧会名
『Unseen Sights 光のその先』
出展作家
進士三紗/土屋咲瑛/山田実奈
(2020年度 京都市立芸大 卒業生)
会期
2021年2月27日(土)~2021年3月14日(日)
会場
バーチャルSNS「cluster」特設会場『Unseen Sights 光のその先』
clusterの使い方はコチラ
開場時間
2/27(土)20:00公開
毎日0:00~24:00
主催
「京都市芸バーチャル展」プロジェクト
▼会場リンク
京都市芸バーチャル展とは?
バーチャル展の可能性を切り拓くため、京都市立芸大の学生が有志で企画制作しているプロジェクトです。展覧会企画に始まり、作家への出展依頼や展示設計、バーチャル空間の制作、イベント企画などを行っています。
ほかの展覧会企画
▶『Kou展 If you meet with...』
▶『#共創展』
公式サイト
公式Twitter
©京都市芸バーチャル展2021
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