公務員になった理由、辞めた理由

私は三年間の教員経験の後、地方公務員(市職員)へと転職しました。

教員をしていた間の経験談などはマガジン『教員を辞めた理由』をご覧ください。

この記事では、なぜ教員から公務員へと転職しようと思ったのか、そしてなぜ辞めようと思ったのかについて書いていきます。

目次

・公務員を選択した理由
・公務員を辞めた理由
・全体の奉仕者という言葉

公務員を選択した理由

私は、都心部ではなく、私自身が住んでいるような地方における音楽活動を盛んにしていきたいという想いを持ち続けています。
教員という職業を選択した理由も、教員という仕事を通して音楽に興味関心を抱く人々を増やし、想いを実現していくためでした。
しかし、現実はそううまくいきませんでした。

そして教員から公務員へと転職するのですが、これには二つの理由がありました。

・就業時間とプライベートのメリハリがしっかりしているため、プライベートの時間でしっかりと音楽活動ができる
・地方公共団体が地方の芸術文化の発展のためにどのような政策や支援をしているのかをより深く知ることができる

この二つの理由のために転職をしたのです。

『公務員は安定している』という言葉をしばしば耳にします。
実際、毎月安定した収入があり、福利厚生も充実しています。
現時点ではまだ終身雇用も謳われています。

こういった労働条件と、私個人の二つの理由を合わせたときに、メリットが大きいと判断して転職をしました。

それではなぜ公務員を辞めるという選択肢が生まれたのでしょうか。

公務員を辞めた理由

私が公務員を辞めた最大の理由は、ネガティブな理由ではありません。

独立し、音楽教室兼音楽事務所の開業や、演奏家としての活動を始めようと思ったからです。

公務員になってからこの決断に至るまでは早く、公務員として働いたのはたった9ヶ月間でした。

ありがたいことに音楽家としての小さな仕事の話を頂くことは教員や公務員の頃からありました。
しかし、教員や公務員の身分ではもちろん謝礼を受け取るわけにはいかないため、ボランティアで受けるようにしていました。

しかし、そちらを本業にしてやっていきたいという想いが強くなったのです。

また、私自身は働きながらでも趣味として音楽活動を続けていました。
しかし、働くことと音楽の両立が難しい社会の仕組みや、文化部が就職に不利であるといった固定概念によって運動部が優先されるような学校の風潮などから、地方の音楽業界が衰退してしまう可能性が見えてきました。
そして、なんとか音楽業界を取り巻く環境を変える必要があると感じたことも大きな理由です。

このあたりについてはまた改めて別の記事で書こうと思います。

ここまでは公務員のメリットについて書いたので、デメリットにも少し触れておきたいと思います。

・副業禁止
・年功序列型賃金
・全体の奉仕者、公僕という概念

まず副業についてですが、現代ではかなり手軽に副業を始めることができます。
本業に支障をきたさない範囲でできるようなものもありますが、公務員は変わらず副業をすることが禁止されています。

副業については、民間企業においてもまだ許可されている企業は限られていると思います。
しかし、少しずつ副業や兼業に対する見方が変わってきているように思います。

そもそも企業の場合、副業・兼業に対する法的な規則はなく、企業が作成している就業規則によって制限されているはずです。

一方、地方公務員においては、地方公務員法にしっかり明記されています。

(営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

このあたりの違いも、今後は大きく影響が出てくると思えます。

 

そして年功序列型賃金です。

この制度は、そこそこに仕事ができる人にとって最も有利なものだと思います。

いくらバリバリ仕事をしたとしても、給料が跳ね上がることはありません。
人事評価制度はありますが、『だいたいみんなこうだから』という評価しかされません。
逆に言うと、相当劣悪な勤務態度でない限りはどんな人でも昇給していくのです。

この制度で果たして仕事に対するモチベーションが高まるでしょうか。
仕事に対してどのように向き合いたいかによって、メリットにもデメリットにもなり得る要素であると思います。

 

そして最後は全体の奉仕者、公僕という概念です。

地方公務員法には以下のように明記されています。

第三十条 すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

この条文はおそらく地方公務員であれば誰しもが覚えている条文です。

公務員であれば、市民が納めた税金から給料が支払われます。
おそらく税金を自ら進んで納めたいと思われる国民は稀でしょう。
仕方がなく納める人がほとんどです。

この事実から、市民のために全力で業務を遂行することは当然です。
しかし、全体の奉仕者という言葉を履き違えている方がいることも事実です。

公務員として働いている間に、公僕という言葉を耳にすることもありました。
この言葉には衝撃を受けました。
基本的人権が尊重されている現代において、人権を失うような言葉だと思います。

もちろん、全市民に対して平等に奉仕する心づもりで業務にあたっていましたが、自分自身も一市民であることは忘れてはならないことだと思います。

この辺りを割り切ることができる方であれば問題ないかもしれませんが、私は正直気になりました。


いかがだったでしょうか。
いま現在地方公務員を目指している方など、少しでも参考になれば幸いです。

公務員の仕事は私たちの生活に不可欠なことばかりです。
公務員として働かれている方々に感謝の意を込めて今回の記事を締めさせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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