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富士
2014.09.13 Saturday
私は何を学んだのだろうか。
日本の象徴、世界遺産、この国で一番天に近い場所、富士山。
ここを見事に登りきれば何かが分かるはず。そう想っていた。
私は何を得たかったのだろうか。
「富士山に興味ある?」
「興味無い」
即答で答えた。
でもすぐ考え直して言った。
「一度は登ってみたい場所だよね」
誘われることも、登れるタイミングも、もう一生出てこないだろうと感じ参加することにした。
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会社から帰ってからすぐにジムに通い、
登山用品も集め、
伊吹山にテスト登山して少し自信が芽生え、
日に日に登山が楽しみになってきた。
登りきれたら何が待っているのだろう。
そう期待を膨らませながら。
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朝一にレンタカー屋で合流し、岐阜から長野を経由し山梨・静岡へ。
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たどり着いた場所は、真っ白の霧の中。
今から何に挑むのか目の当たりに出来ないまま雨の登山へ。
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今までの山登りの中でこれほど綺麗な山道はなかった。
それほど足を踏み入れる人が多いのだろう。
雨は強くなる一方だが、林の中を通るため清々しかった。
とにかく長い5・6合目間をひたすら歩き、林が明けたらいつの間にか青空だった。
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勾配は緩やかのためそれほど激しい道ではなく、
ただ長い長い砂利坂道をひたすら歩く。
雲よりも高い場所になり、真っ白の月と美しい夕日に目を奪われた。
疲れを忘れさせる美しさ。
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夕日が終わり、夜がくると急に寒くなった。
7合目から本7合目の見晴館までがとても辛かった。
宿が見えているのに足が踏み出せず、顔が急に熱くなりひとり座り込んだ。真っ黒な空に煌煌と輝く月と、その光を受けて沈む雲たち。
スーパームーンが近いこともありその様子は美しく、癒してくれた。
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宿に着くと沢山の勇者達がカレーを食べていた。
今晩はカレーだ!
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トマトに野菜の和え物、キュウリのお漬け物、カレーに福神漬け、らっきょう、お茶。
山小屋の晩ご飯とは思えぬ美味しさにビックリした。
見晴館のご主人は農家をしているので自慢の野菜とのこと。
納得。
おいしい料理で満たされたあとは、同じ岐阜から来たおじさん達とストーブに当たりながら雑談。
おじさん達はゆっくり寝て頂上を目指すそうだ。
21時就寝。
2人で一つの布団。私達は3人で2枚の布団を使用した。
深夜0時にあまりの喉の渇きに目が覚め起きた。
水を求めに行くと凄い風の音。
「どうか登れますように!!」
天候が悪いと山小屋の人に止められることもあるようなので、
耳栓をして目を閉じても、風の音が聞こえる度に祈った。
2時になり、誰かの目覚ましが鳴った。
あまり寝れなかったが気分はやる気満々。
調子が悪い仲間も居た為、私のスペシャルおやつのチョコグラノーラと美味しい牛乳を食べることに。
喜んでもらえ、肩こりが報われた瞬間だった。
出発。
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まだ外は真っ暗だが、頂上を見上げると登山者の頂上へ列をなしているのか、ヘッドライトで見事な夜景。
すぐに疲れが来た。
このなだらかな砂利道が憎い。
なだらかな砂利道嫌い。
焼き印の棒にしがみつきながらズルズルと登る。
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4時を過ぎると朝やけが美しく目を奪われた。
このままじっとして見つめていたい気もするが、
せっかくここまで来たので出来る限り頑張って上を目指したい。
9合目で山小屋で頂いた朝ご飯のおにぎりを食べながらご来光を見ることにした。
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こんな美しい景色は多分初めてだろう。
あの時は見るので必死だったが、思い出して書いている今は涙が出そうだ。雲が渦を巻いている。下は雨なのだろうか。
雲の上はこんなに明るく美しく、日が昇る。
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胸に刻んだ。
登ることにしてよかった。
お金掛かったけど、飛び込んでみてよかった。
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出来るだけ遠回りを、出来るだけ興味の無いことにも参加するように心掛けていてもなかなか出来ないものである。
何時までが若いのか分からないけど、
出来るだけ多くのことに自分を放り込んで行くことが大切なんだ。
可能性は無限にあるだろう。
そう願おう。
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頂上に目指した所で小粒の雹が降り出した。
「いたい いたい いたい!!」
痛くて面白かった。
山の上はもう真冬。
つららも立派だった。
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頂上についた頃には富士山は雲に覆われまた真っ白。
9月ということもあり神社も閉鎖。
祈る当てもなく、地球の源・火口にお姉ちゃんの安産を叫びお祈りした。
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下山。
あまりにも早く簡単に下山できそうな感覚に寂しさを覚えた。
あんなに苦労した山小屋まですぐに到着。
辺りはすっかり陽がのぼり、雲もなく
富士の樹海を見ながらひたすら降りる。
須走の特徴の砂走りに到着。
これが意外にキツかった。
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足がズボズボと入り、一度走り出したら止まれない。
「こわい!こわい!」
楽しいけど非常に体力を消耗し、膝が笑った。
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下山できてしまうことに寂しさを感じながら
誘ってくれた人に感謝と、
仲間達に感謝と、
天候に感謝と、
富士山に感謝と、
感謝感謝ただただ感謝の想いいっぱいで歩いてた。
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下山完了。
お土産を買い、空腹過ぎて気持ち悪くなりながら温泉へ。
行きは見ることが出来なかった富士山全貌が見えていた。
「あそこを登ったんだね・・・」
「頑張ったね・・・」
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さっぱりしたらお待ちかねの“げんこつハンバーグ”の「さわやか」へ
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満足。
帰りの車はみんな熟睡で、
私は助手席なので微妙に眠ってしまいながら帰路の風景を見つめた。
浜松の風車と夕日が美しく、この旅は地球の素晴らしさを改めて感じた旅だった。
家に帰り爆睡し、6時起きで会社へ。
昨日の出来事が夢のごとく感じられ ふわふわした一日だった。
何を学び何を得たのかは後々感じられる。
経験とはそういうものだ。
また自分に栄養を与え何かを吸収できるように
日々頑張ろうと想う。
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