![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81460478/rectangle_large_type_2_cee05eeff355d462a86bd2010b781650.jpeg?width=1200)
耳がとろける会議
ついに、出会ってしまったのかもしれない。
ちょっとハスキーで、おっとりとして、それでいて凛としている、
理想の声に。
ミニーマウスのカチューシャをつけた女性が、アイコンの中で控えめに微笑んでいる。直接あったことはない中国人の同僚。アイコンしか情報がなくて、その写真が今の彼女なのかすら分からない。(昔の写真を使っている人がけっこういる。)
そんな彼女と、あるプロジェクトではじめて一緒になった。
はじめての会議は、わたしを含めて日本人ふたりとそして彼女ひとり。外国人の同僚が会議にいれば、当然つかう言語は英語になる。そのはずだった。
「はじめまして、よろしくお願いします。」
「それではこの内容はわたしが確認しておきます。」
びっくりした。中国人の彼女からなめらかな日本語が聞こえてくる。しかもネイティブ級。というか、わたしよりも綺麗な日本語だった。
そしてなによりも、その声が綺麗で、ストレスなく入ってくるの。
渋みもありつつ滑らかな味わいのワインのように。
甘口だけど後味さっぱりな日本酒のように。
たとえが全部お酒なのこわい。
えーっと、甘くて酸っぱいイチゴのように!
ごめん、わたしの食への興味は薄かった。
一見すると相反する特性が絶妙なバランスでまざりあったとき、極上というのかもしれない。
ちょっとハスキーで、おっとりとして、それでいて凛としている、
彼女の声は、ひとを、主にわたしをうっとりさせる。
声って大事で、わたしはこれまで、会議ではハッキリと話すようにしてきた。少し強弱をつけて、語尾は言い切るようにする。
「お願いしますっ。」
それは会議には緊張感があったほうがいいと思っていたから。
それにたいして彼女の声は、フラットでゆっくり、そして語尾は消えるように抜けていく。
「おねがいします。」
それでも、主張するべきことはしっかりと言う。会議全体の雰囲気はなごむけれど、決めるところはしっかり決める。
もしかすると、会議の場では緊張感よりもなごやかな方がいいのかもしれない。
緊張感があると、場がひきしまって意見を受け入れてもらいやすい、と思っていた。けれど、なごやかな方が、萎縮する人が減って意見がでやすくなっていいだろう。
心理的安全性が大事っていうものね。時間内に終わらせることばかりに意識がいって、参加者を焦らせて意見がでなくなっては意味もないものね。
つくづく声って大事だなと思う。もちろん内容もだけど。
彼女の声に聞きいるようになってから、他の人の声も気になるようになった。
オンライン会議のほとんどは、顔が見えないから声だけに集中することができる。
言葉が強くならないように、語尾を丸くする人。
意見を否定されて少しイライラしている人。
会議の時間が過ぎて焦っている人。
顔がみえなくても、声で相手の表情が予想できるようになった。
いやいや、仕事で相手の表情を読めてもいいことないから。少し鈍感な方がいいからね。
声に集中するのもほどほどにしよう。
さて、明日は彼女も参加する会議がある。他の外国人もいるので、今回は英語。
英語も美しいんだよ。会議の内容は入ってこずに聞き入っちゃうんだよね(笑)。唯一楽しみな会議です。
よし、集中しようー!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。また次の記事でお会いしましょうー!
いいなと思ったら応援しよう!
![ちゃわん(Kaori Onozaki)|月曜18時更新](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/44403317/profile_b016f90446f7a6d228707003943b94c6.png?width=600&crop=1:1,smart)