SWOTを究める②:探求すべき「本当の強み」
SWOT分析についての続編です。よろしければ、こちらもご覧ください。
SWOT分析は現状の分析で留まらずに戦略を導き出すことが目的です。そこで大切なのは「強み」と「機会」にフォーカスすることです。
今回は「強み」について考えていきます。
「強み」を知るたった一つの尺度
ではまず、どうやって「強み」を知れば良いのかを考えます。
ドラッカーはこんな言葉を残しています。
強みはある一点によってのみ測られる。それは、成果である。強みはぼんやりとした抽象的なものではなく、成果という具体的なものの中に、その姿を表すものだ。「強み」は成果を通してその姿を表す。
ここで言っている「成果」とは何でしょうか。
ドラッカーは、こうも言っています。
企業の目的は、それぞれの企業の外にある。
事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。
企業の目的として有効な定義は一つしかない。
すなわち、顧客の創造である。
わたしなりに解釈すると、成果とは顧客の創造、すなわち「お客様が自社の商品・サービスを選ぶこと」ではないかと考えます。言い換えると「強みはお客様が決める」のです。自分たちが強みだと思っていても、それがお客様自身に価値を生まないと意味がありません。
お客様は、なぜウチの商品・サービスを選ぶのか
では、お客様は何によって商品・サービスを選ぶのでしょうか。それは、Quality(品質)・ Price(価格)・ Service(サービス)の組み合わせです。頭文字をとって、QPSと覚えてください。
なお、Serviceには少し補足が必要です。「お客様が直接的に対価を支払わない価値」のことを言います。例えば、立地などはこれに含まれます。コンビニはどこへ行っても同じような商品・サービスを提供しています。だから、普通は一番近くのコンビニに行きますよね。これが立地が生んでいる価値です。ただし、多少遠くても素敵な対応をする店員さんがいたらそっちへ行く、なんていうこともあります。こうした接客というサービスも、強みに含まれます。
このQPSは、お客様にも競合にも見える強みです。ライバルの商品・サービスや他業種の商品・サービスを徹底的に観察することで、自社に活かせることが見えてきます。
「良い点」と「強み」は違う
一方で、お客様にも競合にも見えにくい要素があります。いわゆる、「ヒト・モノ・カネ」などに代表される経営資源です。
ざっとあげると、
【ヒト系】
・スキル
・ノウハウ
・組織体制
・制度(教育、その他)
・社風
【モノ系】
・工場
・店舗
・工作機械
・ITシステム
・…などなど、諸々の設備
【カネ系】
・コスト構造(固定費・変動費)
・財務内容(安全性、収益性、生産性)
などです。
ただし、ここでも注意が必要です。それは「強み」ではなくて、ただの「良い点」になっていないかということです。もちろん、「良い点」はたくさんあった方が良いです。でも「強み」は、成果によって測られます。売上や利益に貢献しているか、あるいは、イノベーションが起きているか、など、具体的な成果に結びついているかをチェックします。
強みの中でもどのような強みにこだわるか
さて、ここまででも、十分に強みが見つかるはずですが、さらにポイントがあります。それは、どのような強みにこだわるか、です。以下の3つの観点で考えます。
一番になれるか
わくわくするか
儲かるか
特に「一番になれるか」どうかは、どの領域で戦うかで変わってきます。中小企業の場合は、小さくても良いので日本一になれるニッチな領域はないかという見方も大切です。
このように、本当の強みが見えてくると、その強みを活かせる「機会」はどこにあるのかと考えられるようになります。
SWOTのもう一つのポイントは「機会」の探索です。これについては、また今度、書いていきます。
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