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【読書メモ】ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考

本書は生命科学の知見から社会や組織の成り立ちを考えることがテーマになっています。思わず「そうか、なるほど…」と唸ってしまう示唆が得られる素敵な本です。

印象に残ったことをひとつあげるとすれば

この一節にグッと来てしまいました。

私たちが生きて老化し死ぬということは、前述のとおりエントロピーの増大が進んでいくということです。ここでの「命を失う」とは、ただ単に年齢を重ね「負のエントロピー」の力(エントロピーを減少させる力)を失うことです。「命を燃やす」とは、その喪失と引き換えに、未来の自分、家族、周囲、社会、未来の人たちに対してエネルギーを与えられる何かを生み出している状態を指します。この違いはエネルギーを消費した「結果」として生み出されるものなので、命を失っただけなのか、燃やして何かを生み出したのかは、いつも事前にはわからず、事後的に明らかになります。

「命を失う」のと「命を燃やす」のとでは全く違いますよね。命と引き換えに何を残すかを決められるのは意志を持つわたし達人間だけです。

そこからあれこれ考えたこと

つまり、なんのために生きるのか、ですね。これも子どもと見ていて毎度グッとくるのがアンパンマンマーチ。

なんのために 生まれて なにをして 生きるのか こたえられないなんて そんなのはいやだ!

そうか! アンパンマンも命を燃やしているんだ!

お腹が空いて困ったひとに顔を食べさせる。その事で相手が元気になる。そして、アンパンマンも心が暖かくなる。彼は、再び顔を焼いてもらって出かけます。朝の顔は、お昼にはもう違う顔になっている。でも彼がアンパンマンであることは変わらない。いや、むしろこうした行動が彼をアンパンマンたらしめているのです。

いつだったか、会社のボスに問われました。「コンサルタントを引退するときに何を成し遂げていたいか、具体的なアウトプットは何か」という問いです。漫然と過ごしていては、ただ「命を失う」だけ。何を残したかで「命を燃やす」ことができたか証明されるのです。

わたし達の体は常に細胞が死んでいき、一方で新しい細胞が生まれていく。1週間前と同じ体ではない。でも、それでも「わたし」である。ただし、1週間後に自分が何者になっているかはわからない。いつも「事後的に明らかになる」のです。

何になりたいかと考えるよりも、何を残したいかと考えたほうが良い。できれば、誰かの役に立つ何かを。


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