リーダーシップとは「自分を含む未来の人たちに対してエネルギーを与える」こと
老化して死ぬということを「命を失う」と捉えるのか、それとも「命を燃やす」と捉えるのか、そこには大きな違いがある。生命科学的思考という本に、そんなことが書かれていました。
「命を燃やす」とは、その喪失と引き換えに、未来の自分、家族、周囲、社会、未来の人たちに対してエネルギーを与えられる何かを生み出している状態を指します。
出典:ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考
「自分を含む未来の人たちに対してエネルギーを与える」、これはリーダーシップそのものです。リーダーシップは、リーダーに期待されるものですが、リーダーではなくてもリーダーシップは求められます。目の前のことをやるだけではなく、自らの意志で行動し、誰かの役に立つということです。
リーダーシップの連鎖がその会社らしさをつくる
わたし達人間は、生物学的には1年もすれば細胞がすっかり入れ替わります。それでも、自分であることができます。これは、組織も同じです。放っておけば、ただ老化してしまうけど、誰かの役に立とうと命を燃やすことで、組織は未来に向かっていきます。そして、そのことがその会社らしさを作っています。
では、組織においては、誰が命を燃やすのでしょうか。
当然ながら、経営者は命を燃やさなくてはなりません。漫然とやっていたのでは組織は老化するだけです。自分たちの商品・サービスを磨いて誰かの役に立つようにしていかなくはなりません。そして、誰かの役に立つための場を社員に提供していくことも求められます。そのことで社員もただ漫然と作業をするのではなく、創意工夫を通じて働く喜びを得ていきます。
リーダーシップは人から人へ連鎖していくものです。誰かのリーダーシップが、周囲に影響を与えて、前向きな組織になっていくのです。
静かだけどみんなに勇気を与えるリーダーシップ
先日、とある会社のキックオフに参加しました。社長様は、お客様や仲間を大切にする経営理念に立ち返りながら未来に向けた話をしていました。「コロナの影響もあり、前期は、減収減益。色々と今までにないことに対応もしてきた。これは、チャレンジでもあったが、お客さんに喜んでもらえた。そのことで得られたノウハウもある。これを次につなげていこう」という言葉でした。普段から穏やかで暖かい話しぶりの社長様です。グイグイと引っ張るわけではないけど、みんなに勇気を与える力を持っています。「どうにか乗り越えることができた、ご苦労様」というみんなへの感謝だけではなく、「誰かの役に立とうとした結果、前進できた」というメッセージにこの方のリーダーシップを感じました。
人柄と言えばそれまでです。ただ、みんなに勇気を与えたのは、二つ理由があると思います。ひとつは、目先の利益のことではなく、社会の中での自社の存在意義として経営理念を語ったことにあります。もうひとつは、お客様も含めたみんなと未来へ向かいたいとする人間観です。コロナ禍で大変だけど、その大変の中でお客様や仲間とともに進んでいきたい、そんな思いに素直に感動しました。この会社の中でのエピソードを聞いていると、みんな会社や仕事、お客様のことを愛していることが分かります。このリーダーシップをつないでいくお手伝いをこのあとも続けていきたいと思います。