
川崎市市制100周年記念 Colors かわさき 2024展
2024年11月22日から12月1日までの10日間、作者に障がいがあるか・ないかということにとらわれず、一つ一つの作品の魅力をダイレクトに感じてもらうことを目指す展覧会「Colors(カラーズ)かわさき2024展」を開催しました。2公募アーティスト142名の皆さんと、市立特別支援学校の子どもたち58名の絵画合計200作品を展示し、1,470名の方に来場いただきました。
「生成AIに作品をみてもらおう」 by Techl‘s(テックルズ)
今年は「アートとテクノロジー」をトピックに、生成AIによるアイディア出し(画材・モチーフなど)を活用して描いた作品の展示も行いました。11月24日には、技術協力をお願いしたテックルズさんによる体験コーナー「生成AIに作品をみてもらおう」を開設し、生成AIに自分が描いた絵を読み込ませて作品の良いところについてコメントをもらう体験をしていただきました。

スタッフも、音楽のまちかわさきのキャラクター「かわさきミュートン」のイラストを描いて生成AIに読み込ませてみたところ…「りんご成人の木漏れダンス」という可愛らしいタイトルをつけてくれました。作品の良いところとして、「丸い顔と葉っぱのユニークな組み合わせ」「このキャラクターは世界中を旅して友達をつくる笑顔の大使になれるかもしれません」などと瞬時に生成AIが分析した情報をわかりやすい言葉で表してくれました。たくさん褒めてくれるので、なんだかとても良い絵を描いた気がしてきて描くのが楽しくなってきます(笑) 「これは当たっている!」「こんな見方もあるのか~」「絵がうまくなった気がする!」などと来場されたみなさんが笑顔で楽しむ姿が見られました。
[トークイベント]「生成AIをつかってみました」
Techl‘s(テックルズ)×NPO法人studio FLAT
同じく11月24日に、テックルズの代表・竹田修平氏と本展覧会ディレクターの大平暁氏によるトークイベントを開催し、ゲストには今回生成AIを絵画制作に活用する取り組みにご参加いただいたアトリエ聖風の施設長・高杉昌宏さんをお迎えしました。生成AIによるアドバイス生成の実演を交えながら、実際に生成AIを使用してみての感想や、気をつける点、施設利用者さんの様子、今後の展開についてお話いただきました。高杉さんのお話のなかで、「生成AIを作品制作に使用した利用者さんたちが楽しそうに制作していた」というお話が印象的でした。

[鑑賞会]ことラーと一緒にみよう!Colors展
by こと! こと? かわさき(※)
市民発の対話型鑑賞会「ことラーと一緒にみよう!Colors展」では、ファシリテータの方を中心に参加者の方同士で「思ったこと」や「感じたこと」などを語りながら作品を鑑賞しました。参加者からは「他の参加者のみなさんと一緒にみながら様々な意見をきくことで視野が広がる間隔を得られた」などのご感想をいただきました。(11月29日~30日に計5回開催)

※「こと! こと? かわさき」「ことラー」とは
「こと!こと?かわさき」は、川崎市が「アート・フォー・オール」の一環として取り組んでいるアートコミュニティ形成プロジェクトです。
「ことラー」は、アートを介してコミュニケーションする人々。様々な背景や興味関心を持つ人々が集い、対話を重ねて活動しています。
ことラーさんたちによる準備や鑑賞会の詳しい様子は「ことことかわさき」さんのnoteでご覧いただけます。
参加型アート「SAORIアートを織ろう」
さをり織りとは、均一に織るのではなく、感じるままに好きなように織る織物で「差」を「織る」という意味があるそうです。福祉施設で利用されることも多い「さをり織り機」を会場に常設し、来場されたみなさんに体験いただきました。シンプルな操作でみるみる織りあがっていくので織り始めたら止まらなくなる方も…。
(織り機貸し出し協力:NPO法人studio FLAT)

参加型アート「100周年を彩ろう」
市制100周年を記念して、小さな紙に100周年にちなんだ思い思いにデザインした「100の数字」や絵を描いて、川崎市のイメージカラーの赤・緑・青のパネルに貼りました。最終日には出展アーティストのみなさんや来場者のみなさんの絵でいっぱいに埋まりました。
(パネル制作協力:NPO法人studio FLAT)

「視線入力アート体験」 by そらとわすくーる
展覧会最終日の12月1日には、視線入力装置と重度障害児支援システムEyeMoT Sensoryを使って目の動きでパソコンを操作して絵を描く活動をされている施設さんによる体験ワークショップを開催しました。視線で色や線の種類を選択したり絵を描いたりするのは予想以上に難しく、参加者の皆さんは思わず「あれれ…出来ない…」「難しい~」などと声を発しながらも楽しんで絵を描いてくださいました。できあがった作品はポストカードにしてお持ち帰りいただきました。

アーティストの制作風景動画
アーティストの作品制作の様子を、7分程度のVTRに記録・編集し、会場で公開しました。施設の職員さんと相談したりしながらじっくりと作品と向き合って描かれている様子をご覧いただきました。
(撮影協力施設:社会福祉法人はぐるまの会/社会福祉法人川崎聖風福祉会アトリエ聖風、ディスプレイ貸出のご協力:東芝ライテック株式会社)

展覧会を終えて
今年は1日だけ夜20時まで開館を延長してみたところ、学校のお仕事を終えた特別支援学校の先生方や、お仕事帰りにお子さんの作品を観に来られたご家族の方にお越しいただけました。会場内は「おしゃべりしたり声を出してもOK」な雰囲気を大切にしています。近隣の保育園から小さなお客様のご来場があったり、ご家族やお友達と和やかな雰囲気のなかでご覧いただきました。これからもColorsかわさき展らしさを保ちつつも色々と試行錯誤できればと思います。
来年はぜひ出展してみたいというお声もいただき嬉しい限りです。
(毎年6月上旬頃から作品出展者の募集を開始しています。募集時は川崎市文化財団のHPでお知らせします。)
来場された方の感想より一部抜粋
「多くのアーティストさんの作品を1度に見られる機会なので楽しみにしていました。ステキな作品が見られて穏やかな気持ちになれました。」
「娘が気に入った作品が多くありました。参加型100周年のイラストもあり、楽しかったです。こういう表現の場はいいですね。」
「Colorsという通り色があふれていて、どの作品も、たのしくて描いている気持ちが伝わってくるものばかり。とてもひとりではだまっていられず、誰かと、みている気持ちを伝えたいと思いました。
制作風景動画をみながら、やはり、スタッフの方とのやりとりも楽しみながら、楽しそうに作品作りをされていたのが印象的です。AIの絵からインスピレーションを得て描き、AIが題名を作るというのも、こんなネーミングなのかと、とても興味深かったです。」
おうちで Colors かわさき展
会期終了後は、インターネット上で作品写真やキャプション情報をギャラリー風に無料公開しています。展覧会場360度ビューの写真も公開していますので、会場の雰囲気をご覧いただけます。https://kbz.or.jp/paraartnet/gallery_ctg/colors_2024
川崎市市制100周年記念 Colors かわさき 2024展
・日時 2024年11月22日(金曜)〜12月1日(日曜)
・会場 ミューザ川崎シンフォニーホール4F 企画展示室(川崎市幸区大宮町1310)
・入場料 無料
・主催 公益財団法人川崎市文化財団