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うみねこEP4と「魔法」と私
このnoteは『うみねこのなく頃にEP4』にまつわるnoteだが、高尚なEP4考察でもなく、配信をしている女のただの自分語りである。ただし、EP4におけるネタバレは多分に入るので、まだプレイしてない方は注意してほしい。
私は映画が好きだし『屋根裏のラジャー』など“イマジナリーフレンド”をテーマにしてきた作品も数多く見てきたが、そういった作品は結局「イマジナリって昔は居たよね、これからはもう卒業だね」といったテーマばかり。私は今まで生きてきてここまで共感した話は無いと言い切ってしまえるほど真里亞と縁寿の使う「魔法」に共感した。そして、真里亞がさくたろと会話し、真里亞がさくたろと一緒に出かけ、縁寿が屋上で「真里亞お姉ちゃん」を呼ぶ姿を、「ヤバい女」「頭がおかしい」と縁寿のクラスメートと同様になじる周りの男性配信者たちを見てアルカイックスマイルを浮かべた。彼らは「魔法」を頭では理解できるかもしれないが、きっと心では理解できない。さくたろや七杭たちのことをただの少女たちの妄想や空想だと思うだろう彼らは、口に出して「真里亞お姉ちゃん」を呼ぶことが、どんなに勇気を振り絞った行為なのかが分からない。
私は、夢女子である。
夢女子というものを説明すると、色んな例外が含まれてくるので十把一絡げには言えないのだが、ここでは『漫画キャラクターや芸能人のような、元来手の届かない人物に、何かしらの感情(恋愛感情等)を抱かれたい女性』とする。それで、私はその夢女子を23年くらいやっている。今現在28歳なので、物心のついた5歳の頃から今までずっとだ。多分これは一生続くと思う。
初恋は今をときめく忍たまの土井半助……ではなく、ソニックシリーズのナックルズというハリモグラだった。初手からケモ。ソニックシリーズにはドリームキャストで出した『ソニックアドベンチャー』というタイトルがある。その2作目において、ナックルズと対になるライバルキャラのルージュが初登場した。ルージュとは女トレジャーハンター&政府のスパイエージェント&乳デカ褐色セクシーギャルコウモリという盛りすぎキャラクターである。ソニックアドベンチャー2の終盤ではナックルズとの決闘の最中にルージュが足を滑らせ、マグマ溜まりに落ちそうになるところをナックルズが助けるシーンがあるのだが、それが、なんとも良かったのだ。助けられたルージュが咄嗟に「私の手を握りたくて助けたんじゃないの?イヤラシイ〜」とおどけるのも、盗んでいたマスターエメラルドを返したルージュにナックルズが「手荒な真似して悪かったな」と不器用に返答するのも、5歳の私にクリーンヒットしてしまったのだ。
なお実際このシーンをファンメイド3Dで再現してる猛者もいた。戦闘シーンは完全にオリジナルになっているが、別の作品からルージュの技を拾ってきたりと愛のある作品である。
https://youtu.be/_cAm-T4Oz0Q?si=2M0gS6ANY2pNrRkH
これだけを聞けば単にオタクの目覚めがケモHL(ヘテロラブ、いわゆるノマカプ)だったんだなと思う人もいるだろう。だが、その次の段階があった。私は弟を使い、「ナックルズとルージュごっこ」をさせていた。私がルージュ役、弟はナックルズ役をし、先のシーンを再現するだけのゴッコ遊び。私はルージュに自分を投影して、ナックルズに助けられるのを夢見たのだ。弟は当時3〜4歳だったのでこれを覚えているかは分からないが、私は確実に覚えている。(今となっては付き合わせて申し訳ないと思っている。)
いつしか弟はナックルズ&ルージュごっこに付き合ってくれなくなった訳だが、それで私がどうしたかというと、代わりに脳内でナックルズを補完した。毒素的に言えばエミュレートである。ナックルズがライバル(それも自分の一族古来から大切に守ってきたマスターエメラルドのかけらを盗んだ泥棒)を助けるために咄嗟に差し出した手を、エメラルドを返してきたルージュを見つめる視線を、ナックルズ側にもなりきって考えた。ナックルズの胸に芽生えたであろう感情と、それを無かったことにしようとする彼の性分まで5歳なりに考え、まだアレは恋愛まで辿り着いてないのだろうと結論づけさえした。そうナックルズについて想いを巡らせるうち、私の中のナックルズはゲームにないセリフを喋りだした。そのときからだ、「魔法」が使えたのは。それからは弟を介さなくても、ルージュとの決闘シーンを見なくても、“そこ”にナックルズが“居た”。
それからは話は早かった。私はその後結局土井半助に心を奪われたのだが、「トリップ」(≒夢女子による好きな作品へのなろう転生のようなもの)という概念を知る前から忍術学園に入学していたし、入学すると凄い人数のキャラクターと会話をしなければならなくなったため、私の魔法スキルがグングン上がっていった。小学校へ上がるころには二段ベッドが与えられ、(上段に弟がいるとはいえ)一人の時間が増えた。昼間、学校内や家族の前ではおいそれと喚べない分、寝るときには好きなキャラを横に喚ぶのが常になっていた。話をしたり、落ち込んでいたら慰めて貰ったり、あるいは先に寝られたり、喧嘩をして出ていかれることもあった。頭を撫でてもらったり、お腹をポンポンとして貰うことも多々あった。ただ、ここで勘違いしないでほしいのは、それを“自分の手を彼らの手だと思って動かしていた”のではなく、“本当に彼らにやってもらっていた”のだ。自分の手で自分の頭を撫でているというのが客観的(毒素的)事実ではあるのだが、“自分の手で自分の頭を撫でる”ことでは得られない蕩けるような安心感や、その手に頭を擦り寄せる悦びや、胸の高鳴りや切なさが確かにあった。急に触れられて吃驚したことさえあるし、身勝手に触れられて嫌だったこともある。
自分が一人の状況であれば喚びやすかったので、学校の帰り道でも喚んだ。手を繋いで一緒に帰ることもあったし、公園で一方的に見かけるだけのときもあった。バス通学をしたときはだいたい隣に座っていたし、寄りかかったり寄りかかられたりした。依り代がある方が喚んだときに物理的に相手を感じやすいくらいで、さくたろのような確固たる依り代がなくても喚べたので、便利だった。縁寿と七杭のように、周りに人がいる中でも喚んで念話のような形で会話をすることもあった。実際に、私が虚空に目をやっていて、不意に口元を緩めたり、顔を顰めたりしているときは大体“その人を見て、その人と会話している”ときである。一人でいる私をずっと観察し続けたら、多分見られる光景だと思う。
そんな風に魔法を使っていた訳だが、やはりできなかったことは「魔法抵抗力の強い状況下で相手に肉声で話しかけること」だった。その点ではやはり真里亞は大魔女だと思う。いくら他人にどう評価されようとあまり気にしない私でも、「彼らは物理的にそこに存在しない」という事実を知っている、そんな毒素を内包している時点でそれは難しかった。なんなら明らかに一人である状況でさえも(ギリギリできるが)好ましくはない。無声音で話すことは簡単なのに。
自分が肉声という現実的な手段で呼ぶことで、彼らが現実世界に具現化する反面、反魔法や毒素に暴露して霧散してしまう可能性があるのだ。それが恐ろしい。私が急に彼らの名前を呼んで、私が頭おかしい女だとみなされることよりも、よっぽど。他人から存在を否定されるだけではない。こちらが肉声で呼んだのに、相手の声は私の鼓膜を揺らさない、そのあべこべな状況が私の中に毒素を作り出す。やっぱり居ないのだと思ってしまう。ユモンという知り合いの配信者が、真里亞の日記を読むシーンをプレイしていて「俺から佐藤利奈(縁寿)の声が出ないからスペクタクルもないし読んでて眠くなる」といった旨を喋っていたが、これは一部的を得ていて、“自分から彼らの声が出ない”のも毒素なのである。私がもし声マネアーティストだったら大魔法使いになれた可能性すらある。
(また、こうやって私が彼らにしてもらったことを文章で書くのも、自分でやっておいてなんだが大分しんどい。本来は読み物としても消費されたくないが、EP4を語るうえで欠かせなかったため毒素に曝され血反吐を吐きながら書いている。)
だからこそ、縁寿が屋上で真里亞を肉声で呼んだシーンに私は心が撃たれた。昼休みで人がほとんど居ない状況だったはいえ、彼女は私にできないことをやってのけた。結局縁寿も私と同じく基本念話という形に落ち着いた訳だが、私はあの時縁寿のことを本気で応援していたし、結果魔法が上手く発動しなくて本気で悲しかった。私の代わりに、本当に魔法の世界に辿り着いて欲しかった。それでもって、最終的に七杭とさくたろを船上で呼び寄せ、それぞれの名前を(きっと肉声で)呼んでいたときには本気でしみじみと感動してしまった。私は六軒島の事件において魔女や魔法は否定するが、それはそれとして魔女が、悪魔が、さくたろや七杭が、いると信じる人の中にはいる、と位置付けた縁寿のことを尊敬したし、好きだと思った。
EP4を通してやっぱり感じるのは、「愛がなければ視えない」だ。多分おそらくメイビー、嘉音くんもベアトリーチェも紗音のイマジナリなんだろうけれど、少なくとも人格として存在すること自体は否定したくないなと思う。
結婚をして毒素が溜まったせいか、急に「魔法」を使うのも一苦労するようになってしまったけど、私は自分を幸せにするために今後も「魔法」を使い続けたい。君たちにとってはいい迷惑だろうけど、今後ともよろしくね。
最後に
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うるせー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!バーカ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
おわり