墓場まで持ってくつもりでしたが……。

一生他人に明かさず墓場まで持ってく、持っていかなければならない秘密の、ひとつやふたつ全ての人々にあるのではないと思う。無論おれもその手の秘密がある。秘密の公言は、自分や他人を傷付ける可能性を秘めており、言わずに越したことはない。言わぬが花、というやつである。ただやはり自身の良心の呵責に耐えかねて公言してしまう場合もある。今回限りの秘密の暴露は、それに該当する。御託が長くなってしまった。本題に入ろう。

あの頃のおれはTwitter(現在はXか)にひねもす常駐しており、いかに女性と"関係を持つか"ということを模索し続ける日々だった。勉学も仕事も完全放棄で、女性に入れ込んでいた訳だ。今思い返せば馬鹿馬鹿しくて「なにやってんだ、お前」と言いたくなる。若い頃なんて往々にして無分別だけど、あの頃のおれは輪にかけてバカだった。

で、あの日もまたぞろTwitterにて女性を漁るべく電子の海を漂流していたら、突然鍵垢にフォローされた。名前は……特定されないようA子にしておこう。女性のこととなると、来々軒の出前より迅速なおれは、A子にフォロー申請をした。が、許可される様子はない。その日は動きがないと思い眠りについた。翌る日の午後、Twitterを確認するとフォロー数が増加しているではないか。光の速さでタップしたらA子だった。さっそくDM……ではなく、まずツイートを遡って彼女の好みを探る。一通り作業を終えたら、すぐさま「フォローありがとうございます!よろしくお願いします!」という当たり障りのないリプライを飛ばした。返信も「こちらこそ!」みたいな内容だったと思う。それからリプライを定期的に送っては反応を確認しながら距離をじわじわ詰めた。いつしかDMにてやり取りするようになっていて、「どちらにお住まいですか?」「近い!今度会いましょうよ〜」なんて冗談ぽく言ったら了解までいただいてしまった。だから会いにいったよね。ところが、相手が辺鄙な場所に住んでいるせいで、めちゃくちゃ移動時間を要した。流石のおれも疲れちゃったよ。東京都内ならよかったのに。A子といざ対面するとさほど整った顔面じゃない……というか自分好みではなかった。近場のカフェで長時間会話したけれど実りのあるトークもなかったと思う。まあやることやった女性を悪しざまに言うのって気持ちよくないんで、悪口はこの辺にしようか。

以上ここまでなら普通の猥談だけど、この話、まだ続きがある。

まずE男さんという人物について話そう。E男さんとはTwitterを通じて知り合った。短い期間ではあったけれど、かつてE男さんとおれは関係があった。関係、と言っても性的な関係ではない。健全な方の、である。
さて、そのE男さんとやらはTwitterに実装されていたスペース(スペースが分からない人は検索して下さい)を、頻繁にやっており、自分もそこそこ参加した。おおかた無の時間になるものの、時間潰しにはちょうど良くてそれなりに楽しんでた。アニメやら映画やらトークは多岐に渡るんだけど、その中でおや?と思った話題がある。"女性"である。どうもこのE男さんの語る意中の女性とは、おれがかつて関係を持った女性、すなわちA子ではないか?そう思ったのだ。根掘り葉掘り聞くたびに、おれの疑念は確信へと近づいていく。パズルのピースが埋まって、ゆっくりと、しかし確実に全体像が見えてくる感覚である。そして、その最悪なパズルは完成してしまった。本人に正直に言うか言うまいか迷った。迷った結果、直接伝えはしないが、noteにおいて語ることにした。

趣旨から逸れることは重々承知の上で言うが、こうして振り返ると、Twitterは意外と狭い世界なんだ、ということだ。ネットやりたての頃は無限の世界が広がっていると思いワクワクしたけれど、はたして錯覚でしかなかったのではないか、今となってはそんな気がしている。

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