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速読は危険?10分で読み、30分で記事を書くコラムニストの読書スタイル

世の中には、さまざまな読書術があります。本を読むスタイルは多種多様ですが、一体どれが正しいのか心配になってしまいます。これまでも、技術論や方法論がたくさんありました。「本を○倍速く読む方法」「○○リーディング」など挙げたら切りがありません。

速読だけが読書じゃない
現在、さまざまな読書術が注目されています。読書の輪が広がることで、「ビブリオバトル」「読書会」などのイベントも各地で開催されています。読書術は一般的に、本を速く読むための技術として考えられています。速度をアップさせれば、効率的に大量の本を読むことができるからです。いくつかの方法論では、1分間で数万文字を読解することが可能とするものもあります。

一般社団法人日本速脳速読協会によると、日本人の平均読書速度は500~800文字/分とされています。参考までに、私は1冊のビジネス書を約10分で読みます。しかし、本を速く読むことと、その内容が身につくことは別の話です。最も大切なのは、本で読んだ内容を価値ある情報としてアウトプットできるようになることです。

本を読み、その内容を価値ある情報としてアウトプットできるようになって初めて、その本の内容を身につけたといえるのです。

現在、筆者はコラムニストとして、多くのニュースサイトに記事を投稿しています。ニュースサイトで書き始めたのは10年ほど前になります。最初は、一般的なコラム記事やトピックになりそうなルポ記事を書いていました。ある日、出版社の編集者から、書評をニュースサイトに載せてほしいと依頼されました。結果的に、紹介した記事はYahoo!ニュースでアクセス1位となり、Amazonが完売。すぐに重版がかかりました。

今でこそ、書評サイトは群雄割拠で至るところに存在しますが、当時は書評専門サイトなど、筆者の知る限り存在しませんでした。しかも、Yahoo!ニュースなど大手ポータルに掲載している人など皆無でした。定期的に載せていたのは、日本で筆者くらいのものでした。その後、評判が広がり、日に何冊も献本が届くようになりました。記事を書くことでAmazonで完売するなど評判になっていたので、日に日に献本数は多くなりました。

1冊を10分で読み、30分で記事を書いて、10分で記事の投稿作業をします。1冊を読んで1本の記事を書くのに1時間以内と決めています。コラムニストの仕事は筆者にとって本業ではないため、多くの時間を割くことができません。それでも、継続することで大きなアウトプットを得ることができるはずです。

実は活字離れをしていない                      先日、「月に読む本が1冊未満」だったビジネスパーソンが6割を占めたというニュースが話題になりました。読書離れと言われて久しいですが、電車に乗って周りを見渡せば、ほとんどの人がスマホを見ています。ニュースをチェックしていたり、電子書籍で本を読んだりしている人もいます。さらに見回せば、本を読む人が少なくありません。

つまり、活字(文章)が廃れているわけではありません。本の読み方が変化しているのです。読書そのものが変わったと考えるべきでしょう。今の時代は、どうやって読書と向き合うかが大切です。時代が変化して変わるもの、変わらないものがあるということです。

では、変わらないものとは何か。本書でも説明していますが、「本は自分の好きに読めばいい」ということです。好きに読んで楽しむことが大切なのです。情報が氾濫している今の読書スタイルは捨ててしまっていいのです。その方が、本のことがもっと好きになるはずです。

毎日の時間に「読書タイム」があると、人生は豊かになります。日々の生活の中に、ほんの少し読書の時間があるだけで、心にゆとりができ、仕事もプライベートも充実していくはずです。好きな本に囲まれ、好きな本と過ごす時間は何ものにも代えがたいものです。筆者自身、多くの本を読み、アウトプットすることで成長することができました。

あなたの心を豊かにする一冊を
本というメディアがなぜ素晴らしいのか。それは人の心に与える影響力が大きいからです。筆者にとって読書とは、書籍を紹介するのみならず、見識や有効な人間関係を構築する上で好影響を与えています。読書には、何よりも読む者の心を豊かにする効果があります。

他人の経験や知識を、本を通じて自分のものにすることができるからです。正しい読書法を身につければ、数十人分の知識や経験を身につけることも可能です。あなたが、心を豊かにする一冊に出会えますように。

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尾藤克之(コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員)
16作品目「頭がいい人の読書術」(すばる舎)を上梓しました。

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