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ストレス対処は必須のスキル 「怒りを覚えたら10秒待て」とは!?【尾藤克之のオススメ】

17冊目『「バズる文章」のつくり方』(WAVE出版)を上梓しました。

---記事はここから---

5人に1人はうつ病や統合失調症などの精神疾患にかかっているといわれる現在の日本。新型コロナウイルスの蔓延により、その傾向にますます拍車がかかっています。

不安やイライラなど、ストレスへの対処法を知らなければ、仕事もプライベートもうまくはいかないでしょう。困難な状況を一段と悪化させて、それ自体が大きな障害になることが多いという研究結果が存在します。

「図解ストレス解消大全」(堀田秀吾著)SBクリエイティブ

■怒りを覚えたら10秒待つ

私たちは怒りを覚えると、神経伝達物質であるアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。顔が赤くなったり、血圧が高くなったり、心臓の鼓動が早くなったりするのは、これらの神経物質によるものです。

一方、怒りを抑えるのが前頭葉と呼ばれる脳の部位ですが、これが働き出すのに4~6秒かかります。この4~6秒をやり過ごせれば、前頭葉が働き出して冷静に物事を把握しやすくなり、キレるという危険な行動を回避しやすくなります。

著者の堀田秀吾さんは、

「ノースウェスタン大学のフィンケルらは、15~17歳の交際経験のある936人の男女を対象にアンケート調査をしました。過去1年間に、恋人に対して暴力的な行動をしたことがあるかなどを尋ねた後、暴力や暴言を行う人たちにどんな特徴があるかを調べたところ、暴力的な行動をしていた人は自己統制力が低いという共通点があることがわかりました」
と言います。

「なんと自己統制力が低い人は、高い人と比べると約10倍近く暴力的な行動をしていたというのです。またフィンケルらは、18~21歳の71人の被験者たちに、イライラする内容(交際相手が浮気をする内容)のシナリオを開かせ、心に浮かんだことを自由に話してもらうという実験も行っています。この実験では、被験者を次の2つのグループに分けました」

グループ1 = シナリオを聞いた直後に思ったことを言ってもらう。
グループ2 = シナリオを聞いたあと、10秒待ってから思ったことを言ってもらう。

「すると、後者は前者に比べて暴力的な言葉を使う頻度が半分以下になったというのです。この実験はまさしく前頭葉の働きを利用することで怒りをマネジメントしたケースです。ストレスによって怒りが溜まったときには10秒待つ。たったそれだけで爆発を抑えることができるのです」

■感情をコントロールする意味
EQ(Emotional Intelligence Quotient)という理論があります。私たちが望ましい社会生活をおくるには、IQ(頭のよさ)ではなく、EQ(心の知能指数)が重要であることや、成果に影響を及ぼしていることを理論化したものです。日本では、約20年前にEQJAPAN,Incが理論を確立し、EQ理論提唱者のイェール大学のピーター・サロベイ博士(現イェール大学学長)、ニューハンプシャー大学教授のジョン・メイヤー博士と共同研究を行っていました。

当時、私はEQJAPAN,Incでソリューション、戦略・研究開発を統括する責任者の職位にありました。EQ理論のひとつに「6セカンズ」と呼ばれるものがあります。カッとすると、感情(情動)がハイジャックされて、暴言や暴力につながったり、余計なひと言を言ってしまうことがあります。そうならないために、カッとなったら6秒間沈黙して、感情をうまくコントロールするというものです。

堀田教授が紹介する「10セカンズ」は、EQ理論の「6セカンズ」に通じる要素があると考えられます。私たちが望ましい社会生活を送るには、感情を調整する包括的なコミュニケーション力が必要です。

近年、感情のコントロールを苦手とする人が増えています。公的な場で感情をあらわにすることは品位にかかわるので避けなければいけません。

本書には、スタンフォード大学やハーバード大学など、最先端の心理学、脳科学、行動経済学などの諸分野で実験によって効果が証明された、具体的アクションが網羅されています。この機会に感情をコントロールする意味について考えてみてはいかがでしょうか。メンタルがむしばまれがちな今の時代、ストレス対処は必須のスキルといえます。(尾藤克之)

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Jcastニュースに掲載された記事をnote用に編集しています。

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