
最強の攻撃手(レイダー)を決めないか?〜インド・プロカバディ選手紹介[2024年版]〜
漫画は完結してから読む派の皆さん。朗報です。
『灼熱カバディ』完結したばかりの名作です。
なんと、無料で全話読むことができます!(マンガワンというアプリで、1日8話という制限はありますが)
暑い夏のお供にぜひいかがでしょうか?
1日8話制限がもどかしくなってきたら紙の単行本や電子書籍での一気読みもオススメです。
単行本や電子書籍にはマンガワンでは読めない「おまけ漫画」なるものが付いている巻があります。
ファン向けのお楽しみストーリーはもちろん、キャラクターの深掘り等を含むサイドストーリーはぜひ読んで欲しいな〜というところです。
[単行本]
特に物語後半の試合の見開きコマなどは、紙が断然映えるなと思います。
[電子書籍]
個人的に電子書籍はDMMブックスで購入しています。初回90%還元や、期間によっては30%還元キャンペーンをやっているので嬉しいですね。
さて、灼熱カバディの宣伝はこれくらいにして……
最強の攻撃手(レイダー)を決めないか?
※この記事は灼熱カバディを読破した方向けです。
(もしくはカバディのスーパープレイに興味があるよ!という方向けです。灼熱カバディの試合の結末などのネタバレは含みませんが、原作のシーンやキャラクターに言及した箇所はあります)
"最強の攻撃手"
作中でも何回も繰り返されるキーワードですね。
灼熱カバディを読んだ方なら、誰しも”攻撃手”と書いて"レイダー"と読んでしまうことかと思います。
あなたにとっての最強の攻撃手は誰ですか?
最強の攻撃手を目指した王城正人?
それを超えたい主人公・宵越竜哉?
水泳から来た天才・高谷煉?
全てを兼ね備えたオールラウンダー・佐倉学?
インドから来た元MVP・ヴィハーン?
絶対的王者・不破仁?
作中には色んなタイプのレイダーがいるので悩みどころですね。(個人的には「パワー」に沸くタイプなので、もしチームを作るならフィジカルに優れた佐倉学を入れたい気持ちがあります)
灼熱カバディ界での”最強の攻撃手”を決めるのもなかなか困難ですが、現実のカバディ界にもいろんなすごい選手がいます。
じゃあ、現実の”最強の攻撃手”って誰なんだ?
"最強の攻撃手”はどんなプレイをしてるんだろう?
今回はそんな疑問から出発し、
個人的に”最強の攻撃手”と言えるんじゃないかと思う本場インド・プロカバディリーグのレイダーを5人紹介したいと思います。
※便宜上「最強の」というワードを使っていますが、チームスポーツにおける「強さ」は一義的なものではないかと思います。
とはいえ、人は「サザエさん 強さランキング」とか「孫悟空とモンキー・D・ルフィ、どっちが強いの?」みたいな議論をうっかりしたくなる生き物。そういう意味で、この記事での「最強」は強さを評する言葉というより、あくまで選手を知るためのとっかかりとして考えていただければと思います。
今回紹介するレイダー5名+α
インド・プロカバディリーグの直近のシーズンである”PKL Season10”(2023年12月-2024年3月)の選手から、5名+番外編1名をピックアップしました。
直近シーズンの成績等を一定考慮しつつ、独断と偏見でピックアップした選手を短い動画とともに紹介していきます。
自分にとっての”最強の攻撃手”は誰だろう?
そんな目線で考えつつ実際のプレイを見てみると、ちょっと面白いかな?と思います。
①Maninder Singh -圧巻のパワーレイド!34歳の大ベテランー
1990年 、パンジャブ州出身のレイダー。
2014年のSeason1から参加しているベテランプレイヤーです。(Season2-4は怪我のため欠場)
この選手、現在34歳とレイダーとしてはかなり息の長い選手ですが、まったく年を感じさせないフィジカルとそこから繰り出されるパワーレイドがすごい!
↑の動画では「コーナーからタックルに来た選手を真正面から押し返しつつ、同時に足も引っ張られながらも帰陣するプレイ」&「タックルで若干持ち上げられながらも、少し横に力を逃がしつつパワーで帰るプレイ」を魅せてくれています。す、すげー!
灼熱カバディ191話で山田駿が「いざとなれば暴れて帰れるのがパワーレイダーの強み」と語っていますが、まさにこの「暴れて帰る」を体現しているのがManinderのプレイだなと思っています。
かなりの人気&実力派選手で、"Mighty Mani", "Super Mani"という愛称もあり、昨シーズンの年俸は2.12cr(日本円で約4000万円)。
レイド総得点ランキングは4位です。
↓Maninderのものすっごいフィジカル(インドのカバディプレイヤー、とてもよく脱ぐ)とプレイがたくさん見られる動画がこちら
これだけ激しくぶつかるプレイが多い中、1シーズン通して出場するのって半端ないなと思います。
ご本人のInstagramでは、日々屋外でストイックにトレーニングをしている様子が伺えます。
毎日毎日地道なトレーニングをすると、あの肉体になれるんだろうか……。
(あと本当の与太話ですが、ヘアスタイルがストリートファイターのガイルみたいで見分けがつきやすいなと思っています)
②Ashu Malik -Season10のニューヒーロー、多彩なレイドは必見ー
2002年生まれ。
Season8(2021-2022年)にプロデビューしたハリヤナ州出身の若手選手です。
23歳以下のリーグである”Yuva Kabaddi Series"での活躍をきっかけに、プロにスカウトされた選手です。
このAshu Malikという選手、上記で紹介したManinderのような目を見張るパワープレイや、格別のスピード、ジャンプやドゥッキのような派手なプレイが目立つわけではないんですが、攻撃が多彩で大量得点が多いです。(1試合での平均得点は12点でシーズントップ)
↓な、なんかわかんないけどすごく簡単そうに大量得点している!? すげー!?(誰か解説して……)
Season8ではレイド得点ランキング37位、
Season9では12位
と、徐々に活躍を見せていたAshu Malikですが、 Season10では見事、得点王・ベストレイダーに輝きました。
(あとで紹介するArjun Deshwalと同率一位)
というのも、Ashuが所属する”Dabang Delhi"というチームには、人気も実力も圧倒的な大スター・Naveen Kumarという選手がいて、Ashuは2,3番手のレイダーでした。
Season10は、そのNaveenが怪我でシーズン途中で離脱し、2番手だったAshuが途中から大活躍する形になりました。インドの選手層の厚さを感じます。
余談ですがこのAshu Malik、結構若いので、2026年のアジア競技大会(愛知・名古屋開催)の中核選手になったりしないかなあ、生で見たいなあ、と淡い期待を寄せてたりします。
本日は、愛知県東海市のスポーツ推進委員の方々に、カバディを紹介。2026アジア競技大会カバディ会場の東海市で、このような活動ができとても嬉しい!
— 日本カバディ協会【公式】 (@jaka_kabaddi) May 26, 2024
引き続き盛り上げていきたいと思います! pic.twitter.com/rPQLjfXO7m
③Pawan Sehrawat ーインドの大スター、攻守ともにダイナミックなプレイ!ー
1996年、ニューデリー生まれのレイダー。
Season11において、最も年俸の高い選手です。(2.60cr=日本円で約4500万円)
インド国内の著名なスポーツ選手に贈られる、アルジュナアワードを受賞した人気選手です。
インド映画界のスターTiger Shroff(PKL10のブランドアンバサダー)もPawanがいちばん好きな選手だ、と語っていたりしますね。
Pawanのプレイは前回の記事「灼熱カバディのプレイって実現可能なの?」でも取り上げましたが、”Hi-Flyer"の愛称通り、人を跳び箱みたいに飛び越えるダイナミックなプレイが特徴的です。
↓前の動画とは異なる、歴代スーパープレイ集をどうぞ。
このPawan、何がすごいって上の動画のようなレイドでの活躍もありつつ、守備でもきっちり活躍するところがすごいなあと思います。
↓の動画、レイドに出た後の速攻に即座に反応して、レイダーの手首を掴んで一人で引き倒すプレイ。
黄色ユニフォーム17番がPawanです。
(腕一本で人ひとり倒してる!? す、すげー……)
PKLでは得点王とはまた別で、ひと試合あたりの活躍に関してもレコードが残ります。例えば、
レイドで10点取ると”Super 10s"
ディフェンスで5点取ると"High 5s"
といった形で、ひと試合で目覚ましい活躍をした回数も記録される、という感じです。
通常、メインレイダーはあまり守備には参加しないので、”Super 10s"の記録のみ加算されていくのですが、このPawan、ひと試合に”Super 10s"と"High 5s”を両方記録した唯一の選手でもあります(しかも2回も!)
Pawan Sehrawat is the only player in #PKL history to score a #KabaddiDouble not just once but twice 🤯
— ProKabaddi (@ProKabaddi) April 21, 2024
👉 Season 10, Match 123
👉 Season 8, Match 125
𝐊𝐚𝐛𝐚𝐝𝐝𝐢 𝐃𝐨𝐮𝐛𝐥𝐞 🟰 A rare instance where a player scores a Super 10 & High 5 in a single match 😮#ProKabaddiLeague pic.twitter.com/FalcxiHSpZ
ちなみにこのPawanがSeason10で所属したTelugu Titansは、全22試合中2勝20敗の最下位チームでした。
灼熱カバディ23話でも「カバディってどれだけ強い攻撃手がいても、味方(しゅび)がダメだと追いつけないようになってんだよね」と水澄が語っていますが、本当にその通りなんだなあ、と思います。
④Arjun Deshwal ー”レイドマシーン”の名は伊達じゃない!2シーズン連続の得点王ー
1999年、ウッタル・プラデシュ州出身のレイダー。
PKL9-10、2シーズン続けての得点王です。(Season10ではAshu Malikと同率一位)
PKL9ではMVP・得点王の2冠に輝き、チームの優勝にも貢献しています。
"Super 10s"のランキングは1位、”レイドマシーン”という愛称があるほどです。
↓トゥータッチや、ジャンプ、掴まれてからのエスケープ等、鮮やかな点の取り方の数々。
(今気づいたんですが、左腕のタトゥーは”Kabaddi"と書いてあるんですね)
↓特に守備に掴まれてからのエスケープが上手。
それ故に大量得点が多いのかなあと思っています。
このArjun、パワーがスゴい、というよりはテクニックがスゴい、という印象で、先程紹介したAshu Malikとちょっと似たイメージを持っています。
実際、ArjunとAshu、どっちがすごいんだ?みたいな比較記事も書かれています。結論、どっちもすごい、みたいになっています(笑)
(要約:Ashuはキャプテンとしてリーダーシップを示したが、Arjunはレイド成功数ボーナスポイントがわずかに上回っている)
また、11歳まではクリケットをしており、その後カバディに転向したらしいです。16歳でU-16のナショナルチームに入り、U-19の州チャンピオンにも選ばれるなど目覚ましい活躍で注目を集めてプロデビュー、という流れのようです。
⑤Mohit Goyat -比較的小柄ながらアグレッシブなプレイが魅力!-
2002年、ハリヤナ州出身のレイダー。
Season8でデビューし、新人王を獲得しています。
このMohit Goyat、2021年Season10の得点ランキングは14位とそこまで高くはありません。
でも、灼熱カバディの読者にはぜひ見てほしい!
という観点で紹介したく選びました。
(そもそも得点ランキングは、チームの強い弱いに関わらず、レイダーの層が薄いチームのメインレイダーがランキング上位になりやすいです、先程のPawanとか)
灼熱カバディでは、フィジカルに恵まれない立ち位置のレイダーが何人か出てくると思います。王城正人しかり、英峰の若菜剛とか、あとヴィハーンもそうですね。
ここまで動画を見てくださった皆さん、思いませんか?
インドのカバディプレイヤー、みんなデカくね?
プロカバディ選手、175-185㎝、80-85kg付近が身長体重のボリュームゾーンの印象があります。
その中で細身の選手って活躍できるの? というのが個人的な疑問でした。
でも、このMohit Goyatを見て、結構小柄に見えてもこんなにアグレッシブなプレイができるんだ!と驚きました。(おそらく身長は175付近、70キロ台前半位かなあと思います)
↓動画の加工でちょっと見づらいのですが、速さと身のこなしがものすごいレイドを見て〜!!!
”Hitman”と評されている通り、超アグレッシブな切れ味鋭いレイドが魅力です。(1:15-)
守備のキャッチをジャンプで振り払って、フォローに来た守備と取っ組み合ってからランニングして帰陣するプレイなんかは、本当にパワフルだなと思います。
また、このMohit Goyat、レイダーで登録されているものの、かなりオールラウンダーに近いというか守備にもかなり果敢に参加します。
画面奥、右コーナーにいるのがMohit Goyatですが、レイダーの手首を掴んで引き倒す、スーパータックルにカウントされたプレイをどうぞ。
(この場面は人数が少ないので守備をやっている側面もあるかと思いますが、守備の人数が多い場面でも割とアンクルキャッチを仕掛ける印象です。ただこのオレンジユニフォームのチーム”Puneri Paltan”はかなりレイドの強い選手が多いので、レイダーも果敢にディフェンスにいけるんだろうなあ、と思ってます。が、どうなんでしょう)
番外編:Aslam Inamdar -Season10のMVP・攻守盤石のオールラウンダー-
2000年生まれ、先程紹介したMohit Goyatと同じ”Puneri Paltan"のキャプテンを務めるマハーラーシュトラ州出身のオールラウンダー、Aslam Inamdar。
オールラウンダー?いや、レイダーを紹介せんかい!
と思われるかもしれませんが、オールラウンダーながらチーム最多のレイド得点数を誇るAslam。
そのレイドは、速さもありながら華麗でパワフルなのでぜひ紹介したく、番外編として選びました。
↓ノールックバックキックや、目にも止まらぬ速攻、鮮やかなジャンプ、もつれこんでのスーパーレイド
(速さに強みがあるという点では上のMohit Goyatと近いながらも、ジャンプが得意(たぶん?)だったりして、ちょっと違ったプレイスタイルだなと感じています)
また、守備でもかなり活躍しています。
Mohit Goyatと二人がかりでManinderを止めるシーンなどはかなりアツかったです。
Aslamの攻守盤石なプレイもあり、Puneri PaltanはSeason10で優勝をおさめました。AslampもMVPプレイヤーにも選ばれています。
超余談ですが、選手のInstagramや個人Youtubeチャネルを見ている感じだと、AslamはMohit Goyatとなんだかいつも仲良さそうです。
”最強の攻撃手”、見つかりましたか?
いかがでしたでしょうか?
熱が入ってしまってやや書きすぎましたが、まだまだ紹介したい選手がたくさんいます!
今現在(2024年8月)はインドプロカバディリーグはオフシーズンですが、次のシーズンもまもなく始まるとつい先日アナウンスがありました!
Season11のオークションはムンバイにて8/15,16に実施予定。
ぜひこの記事から気になる選手を見つけていただいて、次のシーズンを待てればなと思います。
少し名前を覚えている選手がいると、観戦が断然楽しいなと感じます!
それではここまで読んでいただいてありがとうございました!カバディ!
※この記事を読んで、①実際のプレイを生で見てみたいよ~とか、②試合をフルで見てみたいよ~とか、③その他のレイダーも知りたいよ~とか思われた方向けに、下の方に色々リンクを付けておきます。
ご参考までどうぞ!
①実際のプレイを生で見てみたいよ~
一般観覧可能な大会情報は、日本カバディ協会の公式サイトにあります。
首都圏の方であれば、
2024年8月3日(土)~4日(日)の第17回東日本カバディ大会
2024年11月16日(土)~17日(日)の第34回全日本カバディ選手権大会
等は例年一般観戦できる(はず)です。
見に行くのは厳しいよ~という場合も、大会の映像は日本カバディ協会のYouTubeで見ることができます。選手が解説してくれるので、とても分かりやすいです。
②試合をフルで見てみたいよ~
日本の試合は上記のリンクからいつでも見られます!
今回紹介したインドプロカバディリーグの試合も、放映権を持っているStar Sportsというメディアの公式Youtubeからフルで見られます。
1シーズン200試合以上の中から、今回の記事に合わせて3試合、見応えがあるかな?という試合を選んでみました。
↓今回紹介したAshu Malik率いる"Dabang Delhi" vs Aslam率いる"Puneri Paltan" のゲーム
↓今シーズン一番面白かった! と色んなところで宣伝している"Dabang Delhi" vs "Patna Pirates" のゲーム
↓今回紹介した
Maninder率いる”Bengal Warriors" vs "U.P. Yoddhas"のゲーム
③その他のレイダーも知りたいよ~
簡単な紹介と動画リンクを貼っていくので、気になった方はぜひ見てみてください〜プレイ集なのでサクサク見られます。
3rdレイドは必ず決める
【Sachin Tanwar】
鮮やかなドゥッキと華やかな記録のレジェンド【Pardeep Narwal】
復帰が楽しみ!人間業とは思えないプレイの数々【Naveen Kumar】
若手だけどテクニックは熟練の域!
【Narender Kandola】
ドゥッキスキルや身体能力がピカイチ!
【Sudhakar・M】
(執筆・公開:2024年8月2日)
筆者は競技や漫画と何の利害関係も持たない一般人です。競技未経験・観戦経験も浅いので、誤りや理解が浅い部分ご容赦ください。またリンク先のHP、情報、動画はオフィシャルに公開されていると判断できるものを選んでいますが、何か問題があれば修正するのでご連絡ください。
また、インドの地名のカタカナ表記はJETRO表記に則っています。