救世主、現る
失業し、
転職の活動もできないまま腰痛に苦しんでいた頃、
私はSNSに近況ばかりを綴っていた。
それしか時間を消費する術がなかった。
仕事をしている友人たちのリアクションは薄かった。
そんな私の独り言を見て
知り合いからのコメントが入った。
ほぼリアルタイムで反応した。
以前、
私は音響のエンジニアをしていた。
映像に音楽や効果音、ナレーションを加えて
調整する「MA」という仕事である。
大半はテレビ番組やCMだが、
ビデオ作品を担当することもある。
ある時、
医師の研修のために使われる
手術ビデオのシリーズに関わった。
その際、
監修として協力してくれた外科医がいた。
打ち上げで意気投合したことから交流が始まり、
気がつくと
飲み仲間の1人に加わっていた。
その都築センセイが
「腰が悪いなら専門医を紹介するよ」と言ってくれた。
大学時代の友人が
腰のトラブルに関するスペシャリストで
私の地元の病院で働いているらしい。
藁にもすがりたい心境だったので
素直に助けを借りることにした。