桂二葉さんの落語で涙が出た
NHK新人落語大賞の録画を観ました。桂二葉さんが、審査員全員が満点をつけるという圧倒的な結果で優勝されました。(おめでとうございます!)
演じられたのは古典落語の「天狗刺し」。二葉さん独特の高い声と明るいキャラで、約10分、落語の世界に引き込まれました。大いに笑わせていただいたのに、聴き終わった後、涙が出ました。審査員のおひとりの柳家権太楼師匠はコメントで「立派な、いい落語家さんに、なりますから。」とおっしゃった後、くしゃっとかわいい笑顔になり、本当に嬉しそうでした。涙ぐんでいらっしゃったかも。
昨年も同じ賞に挑んだ二葉さん。その時は権太楼師匠がかなり厳しいコメントをされたとのことです。(残念ながら私はその放送を見ていません。)そこから1年、おそらくものすごい覚悟をもってお稽古されたのでしょう。司会の林家たい平さんも、昨年からの成長の凄まじさを絶賛しておられました。
落語は人を笑わせる芸能ですので、面白ければそれで良い、という考え方もあります。ただ、やはり、噺の面白さだけでは満足できません。面白さとともに噺に現れる演者さん自身の面白味や人情、生き様。そこに心を動かされるのです。二葉さんの天狗刺しを聴き終わった後涙が出たのは、彼女のこれまでの努力や覚悟が、落語ににじみ出ていたからだと思います。
二葉さんはお名前だけは知っていましたが、落語をじっくり聴いたのは昨日がはじめてでした。それでも、その噺を通じて、彼女の一途さ、ひたむきさ、そして、面白い落語家になるんだ、皆さんに楽しんでもらうんだ、という覚悟が伝わってきました。
落語だけでなく、他の芸能も芸術も、スポーツも、どんな仕事も、はたまた誰かが書いた文章も、心を動かされるのは目に見えている部分だけではないのかと。見えている部分ににじみ出るその人の人生を感じ、励まされたり、元気になったりするのではと思います。たくさんの人にそうして元気をいただきながら、自分も誰かに元気を分け与えられる人になれれば嬉しいです。
「令和3年度NHK新人落語大賞」は2021年11月30日までNHKプラスで無料視聴出来ます。(登録が必要です)
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