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謹賀新年!ダークなストーカーゲーム3本をさわやかにレビュー

殺人事件を描いたミステリーが、2時間ドラマとしては定番の存在感を持っているように、世間的には許しがたい行為であっても、フィクションとしては魅力的…ということは多い。

「MOON RISE EFFECT」で描いた「ストーカーもの」もそのひとつだと思う。
ストーカー自体は、ストーカー規制法ができたのが2000年ということもあって、比較的新しい概念の犯罪だ。

ただそのインパクトは強く、ストーカーという語句が生まれ始めた90年代、テレビでは「ストーカー 逃げきれぬ愛」というドラマが即座に流れている。

ようするに、ひらたく言うと、「ストーカー」=「人に異常な執着を見せる人」というのは、メッチャ怖いということだ!

そこでこの記事では、ストーカーもののスマホゲームについてレビューしたい!

謎解き・脱出ゲーム:マヂヤミ彼女 ~リアルホラー系ゲーム~

画像出典元:「謎解き・脱出ゲーム:マヂヤミ彼女 ~リアルホラー系ゲーム~」(https://itunes.apple.com/jp/app/id683945916?mt=8)

ストーカーものの脱出ゲームとして話題になった作品が「謎解き・脱出ゲーム:マヂヤミ彼女 ~リアルホラー系ゲーム~」だ。

ゲームシステムとしては典型的な脱出ゲームで、画面をタップしながら情報やアイテムをゲット、謎を解いていく…というスタイル。

ただ、前半と後半で主人公が異なっており、前半はある女性がストーカーになっていく過程を描き、後半はストーカー化した女性によって閉じ込められた彼氏を描いているという構成がユニーク。

後半、ストーカーによって閉じ込められるというくだりも怖いのだが、それ以上に秀逸なのが前半

彼氏の浮気を疑った女性が、彼氏の携帯のロックやパスワードを解除して、真相に迫ろうとするのだが、真相に迫る過程はすべてプレイヤーがゲームとして体験する。

ゲームと言えど、人の携帯電話をのぞき見する背徳感、そして見つかるんじゃないかというドキドキ感がスリリング。

疑いが嫉妬を生み、嫉妬が執着へと変化する過程も、なんとなく理解できてしまうので、ストーカーに感情移入できちゃう自分に恐怖を感じてしまう作品だ。

とっても良作なのだけど、iOS11には対応していないため、最新のiPhoneではプレイできないというのがとても残念!

脱出ゲーム:赤い女

ストーカーに感情移入できてしまう「マヂヤミ彼女」に対し、ガチでストーカーへの恐怖を味わわせてくれるのが「脱出ゲーム:赤い女」だ。
ゲームシステムとしては「マヂヤミ彼女」同様、オーソドックスな脱出ゲーム。

本作は主人公がトイレに閉じ込められたところからスタート。トイレからの脱出を目指すことになる。
このトイレが、まぁ怖い!なんといっても、きちんとトイレらしく汚いのが怖いのだ!

最近は、駅のトイレや公園のトイレといった公衆トイレも比較的キレイに整備されているところが多いが、10年前は公衆トイレと言ったら非常に汚かった。本作はそんな、圧倒的な汚さを誇った昔のトイレを、極めて誠実に描いている

しかも、見た目的に汚いだけでなく、ゲーム内で便器にある匂い玉を取る…なんてイベントも発生。ゲーム内とは思いつつ「うぇぇぇ、気持ち悪い…」と感じること間違いなし。

この気持ち悪さが、ストーカーである赤い女の怖さに繋がっている点が見事だ。赤い女は主人公のことを(歪んではいるが)愛しているので、愛の言葉を告げてくる。だが、恋愛表現のすべてが、まさにこのトイレのような気持ち悪さを持っていて、おぞましい

ストーカーの持つ「愛」の異常性を実感したいなら本作ほどうってつけなものはないだろう。

脱出ゲーム:ギフト

「脱出ゲーム:赤い女」とセットでプレイすることをオススメしたい脱出ゲームが、「脱出ゲーム:ギフト」だ。

ゲームシステムは「脱出ゲーム:赤い女」と同様なので、「赤い女」をプレイしていればスムーズにプレイできるだろう。

ただ、ゲームシステムが似ている一方で、舞台はまったく逆! 本作の舞台は、とってもキュートな、女の子の部屋。意を決して片思いの相手に告白した主人公が、念願かなって意中の女の子の部屋にあがることができた…という設定だ。

一見怖くもなんともない…と思うかもしれないが、心配ご無用!徐々に怖さが現れてくる。

そして、現れる恐怖の姿もまた、「赤い女」と逆のテイスト。「赤い女」が、ストーカーという加害者側の異常性のみを描いているのに対し、本作では被害者側の異常性にもスポットライトを当てている。

「被害者側の異常性」というと、「いじめられる方にもいじめられる原因がある」という加害者擁護の言葉に聞こえるかもしれないが、ここで言いたのはそういうことではない!言いたいのはある異常な事態に巻き込まれた時、人間は、誰しもが異常な判断をしてしまう可能性があるということだ。

たとえばわかりやすいのはパニック状態。人は災害などに遭遇した際、たとえ繰り返し避難訓練をしていたとしても、パニックに陥ってしまい、訓練とは全く別の行動を取ってしまうことがある。

或いは、欲望や感情によって、本質から目を遠ざけてしまうということも。頭のどこかで「そんなうまい話ないよな」と分かっていても、金銭欲や性欲にあらがえず、罠にはまってしまうようなパターンだ。

いずれも、正常な判断ができなくなっている…という意味で、「異常性」といえる

自分の異常性に気づいた時には、引き返せなくなっている恐怖──そんな恐怖を味わいたい人に、本作はオススメだ。

MOON RISE EFFECTもよろしく!

ストーカーものサイコホラーに興味を持ったアナタ!

部屋を破壊して侵入しようとしてくるストーカーに抗うスリリングなアクションアドベンチャー「MOON RISE EFFECT」も、是非プレイしていただきたい!


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田中一広@五感を刺激する異界体験クリエイター
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