黄色い潜水艦の歌は沈むどころか浮上を促す歌
皆さんもビートルズの有名なこれを、一度ぐらいは耳にしたことがあるだろう。
特にサッカーファン、というよりサポーターの場合、今のこういう御時世ではなかなかできないだろうが、それ以前はスタジアムで聴くことも多いし、それどころか自分たちで歌っていたこともあるだろう。
例えばこんな風に。
ガイナーレ鳥取の場合
ギラヴァンツ北九州の場合
採用例はこれだけでない。多くのチームが採用している、言わば超メジャーなチャントと言える。
野球応援でいえば、ピンクレディーの「サウスポー」などのようなものだ。
いや、下手をすればあれ以上によく知られているだろう。
サッカー界に於いて、このように応援に使われる本曲は、「黄色い潜水艦が海の底に沈みゆく歌」どころか、「浮上を促す歌」として存在している。
今は原語である英語以外のカヴァーは不可能に近いと言っても良いが、かつては日本語でもカヴァーされたことがある。
金沢明子さんのあまりにも有名なヤツだ。仕掛け人は大瀧詠一さんである。そして編曲がクレージーキャッツの一連の作品で知られる萩原哲晶さんで、しかもこれが遺作だという。
挙げ句の果てに、ポール・マッカートニーがこれを聴き、気に入ってしまったことはすっかり有名らしい。
これがまたビートルズとしては、ライヴコンサートを止めようという時期の1966年に出たアルバム「Revolver」に収められているのが痛快だ。
歌っているのはリンゴ・スターであり、彼の声はこうした、何処かすっとぼけた曲にはマッチしているみたいだ。
そういう曲なのだが、何故これがサッカーのチャントに流用されているのかについては、正直なところ、自分には皆目見当がつかない。明らかにサッカーには似合わないようなのんびりした作品なのに。
かく言う私も、ガイナーレ鳥取でゴール裏にいた頃、しょっちゅう歌っていた。バカでかい声を張り上げつつ。自分としてもこう、シンパシーを抱いている歌だったので、親和感はあった。
これからも、たくさんの人たちに歌い継がれてほしいと思う。それだけわかりやすい曲だし、歌っていても楽しい。そして、この普遍的なビートルズナンバーの知名度が、更に上がってほしい。
ちなみに曲の大部分を作ったとされるポール・マッカートニーや、歌っているリンゴ・スターは現在に於いても存命中だ。
そんな彼らに、日本でこの曲はこんな風に、幅広くサッカーの応援に使われているんだよ、と知られてほしい。
例えば、Twisted Sisterというアメリカのバンドが、彼ら自身のヒット曲である「We're not gonna take it」をベガルタ仙台のサポーターが「Twisted」というチャントにしたことを面白がったように。