5年半の重みを考える機となれば~5年半ぶりのカマタマーレ讃岐戦に寄せて
2019年6月1日13時。その日その時は刻一刻と迫っている。
5年半、という年月が長いのか短いのか自分にはよくわからない。この5年半の間に自分に関して言えば、脳梗塞は再発したし、こないだは家の中で階段から転落して軽く骨まで折ったらしい。
(らしい、というのはその状態を単に医師からの口述で聞いただけで、レントゲン撮影などで見たわけではないからだ)
50歳にもなるって言うのに、相変わらずドタバタと生きている。馬鹿なヤツだ。
この時、無理を承知で自分の車を転がして自走で行った。そうしなきゃいられなかったからだが、今ではとてもできない。でも、そうしなきゃいけないと思い込んでしまうぐらい気が張っていたんだろう。時期的には最初の脳梗塞の後なのだが、この頃はまだこんな無茶をする度胸があった。今では到底できない。
この時、俺はゴール裏に行ってた。応援したかったから。そして、脳梗塞での入院等があって、久々に応援に参加した秋のザスパクサツ群馬戦で己のできなさを知るに至り、こりゃもう俺、応援から身を退いた方が良いなって思ってた。この試合は、結果がどうであれ、俺の中では最後の応援行為をする試合って思っていた。今よりは全然声は出るけど、でも、入院前よりは確実に落ちてたし、90分立ちん坊もしんどかった。
何より、何かの拍子に倒れたりして周りに迷惑とかかけんの嫌だなって思ってた。ただ、幸いなことに倒れたりはしなかったので、それは良かったが・・・。
試合の方は、覚えている人もいるだろう。こちらにもチラッと書いた。
せっかくPKを得たのに、当時の讃岐のエースだった高橋泰に決められてしまった。攻撃の人員を総動員しても、勝つことはできなかった。1点が遠すぎた。試合が終わり、とりぎんバードスタジアムは沈んでいた。
俺はというと、死ぬほど疲弊していた。この日この時のために、持てる全力出したれ、と思って勇んで乗り込んで来たのに、まるで力になれず、いつも以上にへばる体たらく。ああ、こりゃもうダメだと思っていた。
上のnote記事でも触れてるけど、自分のその時の感じでは、たぶん応援行為を継続すんのは無理だろう、と。この状態ではゴール裏に行っても、周囲に必ず何かしら迷惑をかけちまう、などと思い、だったら、もう止めて違う楽しみ方をしよう、と思った。
以来、ゴール裏に行くのはぱったりと止めて、メインスタンドやバックスタンドで写真を撮りまくる日々になった。この間に2度目の脳梗塞でぶっ倒れ、その後、今主に使っているニコンのカメラをデビューさせた。いいカメラなのだが、使用者の腕前が追いついておらず、些か宝の持ち腐れ状態になってしまっている。
それはともかく、こんな自分が来たる6月1日の試合に向けて思うのは、この5年半に過ごしてきた時間や関わってきた選手・監督・コーチ・スタッフ、その他、周りの多くの人々がしてきた奮闘努力が、できるだけ無駄にならずに何らかの肥やしとなってきたかどうか、そして、この5年半、如何なる方向にガイナーレ鳥取は向かい、どういう形で成長してきたのか。それを見届けたいのだ。
もちろん、相手のカマタマーレ讃岐にだって同じようにいろいろなことがあっただろう。ことに長らく苦楽を共にしてきた北野誠前監督とは、いろいろあったものと思う。彼にも彼らなりの苦闘の歴史がある。お互いに重荷を背負っている。それらのぶつけ合いであると共に、この5年半で両者がどれだけ逞しくなれたのか、それを競う試合にもなってくるだろう。
俺自身は、今のガイナーレ鳥取やカマタマーレ讃岐がどんな風に戦うか、だと思っている。そりゃあ、ガイナーレ鳥取を応援する立場からしたら、ガイナーレ鳥取が勝った方が良いに決まっている。でも、それはあくまでも願望で、正直言えば、どちらにもけが人が出ず、無事に試合が終わり、大団円が迎えられれば、それに越したことはない。
ただ願うのは、5年半の間に両チーム(特にガイナーレ鳥取)が辿ってきた軌跡が、無駄なものではなかったことを確かめたい。今のメンバーも人員こそ整いつつあるが、必ずしも万全ではないし、チームそのものの状況も決して良くはないかもしれないが、それでも、そんな状況下で彼らにできる最善を尽くしてほしい。その結果、この試合に勝てたら万々歳だし、仮に結果が伴わずとも、罵詈雑言の類は口にすまい。
こんなポエムじみたテキストを書いたって、同意などされないだろう。それは百も承知だし、俺も別に同意してくれなどとは言わない。ただ、こんなことを考えつつ、来るその日を待ち侘びている人間がここにいる、ということだけは知っておいてほしいだけだ。
できれば、当日はたくさんの人々に来ていただきたい。あの5年半もの間に立場を異にした両者が、再びとりぎんバードスタジアムで相見える時、どんなケミストリーが起きるのか?
それを刮目して見届けていただきたい。できれば、最後のホイッスルが鳴るまで、目を離さないでいただけると非常に嬉しい。
2019年6月1日13時。その日その時は刻一刻と迫っている。