コピーライターの業務フローを公開
~ 見積・納品・請求までコピーライティング業務の流れを解説 ~
コピーライター業務の流れとは
キャッチコピー、タグライン、スローガンといったコピー類。SNSやブログの普及でコピーを書く機会が個人でも増えている一方、当方のような企業系コピーライターは依頼されて(ありがたく)書くワケですけど、そもそも一連の流れって知られていないようでして、ちょいと取り上げてみようかと(謎。
【1】コピーライターの業務フロー
コピーが納品されるまで
まず、全体的な流れをざっくり挙げてみます。業務フローとしては大きく5つの流れに分けられます。
ここで取り上げるのは、コピーライティングの書き方自体にフォーカスした制作工程ではなく(この点についてはいずれどこかの機会で触れたい題目ではありますけど)、当回ではコピーライティング業務における、相談から請求にいたるまでの一連の流れ、つまりは業務フローという視点で触れてみます。
それでは5つのステップの流れにそって解説してみましょう。
ステップ➊:相談/オリエン
➊-1. 相談
相談時の主な経由は下記のとおりです。
1)旧職時代の同僚や上司経由
2)旧職時代の関連会社や取引先経由
3)過去案件でご一緒した担当者/社経由
4)当方公式サイト経由
5)X(旧Twitter)経由
6)自発的な営業経由
1)2)フリーランス独立当初のみ。3)4)企業理念などブランディング関連のやや特殊な案件が多いからか近年増加。5)軽度の質問はたまにあるも発注にはあまり至らず。6)おかげさまで独立当初から営業自体ほぼなし(謎。ちなみに、相談時は口頭かSNSのDMが圧倒的に多く、電話やメールは減少傾向。
➊-2. オリエン
概要説明や事前共有など、いわゆるオリエンテーションで確認する主な項目は下記のとおりです。
1)プロジェクト概要
2)クライアント、代理店、制作チームなどの座組
3)ターゲットとなるユーザーやマーケット、展開(掲載)メディアなど
4)自身や参画各人のタスク
5)スケジュール
6)予算感
1)まずは基本の概要。2)制作チーム、3)展開メディア、4)詳細タスクなど、相談当初のタイミングでは不確定なことも少なくない。5)なるはやが必定(謎。6)当初に指定されることもあるが、基本的には算出を求められることが大半。その際は1)5)だけで算出を求められることも少なくない(汗。
ステップ➊の時点での請求
基本的に請求なし。
先方都合による発注取り消し=失注の場合は請求発生の場合もあり。
ちなみに、以前は見積算出フィー=算出費用の慣習もあったが近年はほとんどなし(汗。
ステップ➋:見積/発注
➋-1. 見積
見積時に算出する主な想定区分は下記のとおりです。
1)プロジェクトスタディ的な区分
2)コンセプトやロジックワーク的な区分
3)ワーディングやコピーワーク的な区分
4)フィードバックやリファイン的な区分
5)打ち合わせやプレゼン提案的な区分
6)出張などの交通費や拘束的な区分
1)既存関連資料類のキャッチアップ対応や連絡やりとり。2)は3)を対応する上での整合や情報設計対応。3)ワーディング全般。4)調整や修正全般。5)出席や提案全般。6)移動や拘束(遠方時)。見積は人日単価×想定人日=工数算出のため価格体系は人日単価のみとなり文字単価という概念はなし。
➋-2. 発注
発注時の主な確認項目は下記のとおりです。
1)発注書
2)NDA(秘密保持契約=Non Disclosure Agreement)
3)アカウント関連
4)その他の契約関連
1)プロジェクトで自身が担うタスクの具体的な対応内容。2)先方書式によるNDAの取り交わし。3)取引口座やマイナンバーの写しなど(請求時の場合もあり)。4)業務委託など対応形態に準じた先方書式の契約書。加えて納品物の買取制/更新制を定めた契約書や念書など。原則原本による取り交わし。
ステップ➋の時点での請求
基本的に請求なし。
先方都合による発注取り消し=失注の場合は請求発生の場合もあり。
ステップ➌:キックオフ/打ち合わせ
➌-1. キックオフ
打ち合わせ当初、いわゆるキックオフ時の主な確認事項は下記のとおりです。
1)最新タスクの確認
2)コミュニケーションツール類の確認
3)共有ツール類の確認
4)納品形式の確認
5)進行、納期、ローンチなどスケジュールの確認
1)自身の分とともに関係者タスクも把握。2)従来は電話とメールだったが、昨今はBacklog、Facebook、Slackなどコミュニケーションツールが主流。3)従来はメール添付(圧縮)やファイル共有ツールも、昨今はDropbox、Gドラ、MSのSharePointなど共有ツールが主流。4)5)基本事項の確認。
➌-2. 打ち合わせ
打ち合わせについての主な確認項目は下記のとおりです。
1)対面形式(オフライン)/遠隔形式(オンライン)
2)1)オンラインの場合のツール
3)関係者ヒアリングの有無
4)当該商品の提供や試供の有無、当該サービスの体験の有無
5)当該場所の見学や実地の有無
6)提供資料の有無
1)コロナ以前は対面、コロナ禍は遠隔、コロナ後は対面も徐々に復活。2)Zoom、Google Meet、MSのTeams、Skypeなど。3)4)5)いずれもありの場合は対応負荷が増すため見積前に可能なかぎり確認考慮しておきたいところだが当初は不明なことが多い(汗。6)サイト、パンフレット、社内資料など。
ステップ➌の時点での請求
基本的に請求発生。
先方都合による発注取り消し=失注や規模増減の場合は、当該状況に準じて請求。
ステップ➍:提案/フィードバック
➍-1. 提案
主な提案のパターンは下記のとおりです。
1)ドキュメントのみの提案
2)1)+対面(オフライン)/遠隔(オンライン)の説明
3)提案先
1)コピー、タグライン、ネーミング類に加えコンセプトやロジックなどワーディングが主なため基本的にドキュメントはテキスト形式。2)1)に加えて説明が必要な場合は対面/遠隔を要確認。3)2)が必要の場合は先方担当者に加え代表、上長、第三者などへの説明を求められることもあるので要確認。
➍-2. フィードバック
主なフィードバック(FB)のパターンは下記のとおりです。
1)現場チームからのFB
2)関連部署、関連外部、代表、取締役、上長などからのFB
3)法務、薬事、内規などガイドライン、許諾、商標、翻訳などからのFB
1)先方担当者/社に加え代理店や制作会社など複数に渡る場合も。2)先方担当者/社となる1)に加え、関連の部署や外部、代表、取締役、上長からもFBが入る場合も。3)法務、商標、翻訳など、1)2)に加えてさらにFBが入る場合も。見積時はそうした点までをも想定して算出しておきたいところ。
ステップ➍の時点での請求
請求は必須。
先方都合による発注取り消し=失注や規模増減の場合は、当該状況に準じて請求。
ステップ➎:納品/請求
➎-1. 納品
主な納品=ファイル形式は下記のとおりです。
1)Office=パワポ(.pptx)、ワード(.docx)、エクセル(.xlsx)
2)PDF(.pdf)
3)プレーンテキスト(.txt)
4)メール、メッセージ、チャット、CMSでの直打ち
1)企業系ワーディングのためMacよりWin対応形式が多い。2)併せてPDFも生成。3)アドバイスや単純校正など軽微な内容の場合。4)直記述の場合もあり。CMS=Contents Management Systemは現状は少数。5)元原稿や初稿(rev01)以降の校正など、1)2)類のファイルのコメント欄で納品する場合も。
➎-2. 請求
請求は必須。
見積当初から大きく対応内容が変わる場合は対応事前に都度再見積や最終見積を共有確認。
必須記載:請求ID/請求日/対応内容/数量/金額/請求先/支払日/入金先/署名捺印。
【参考】コピーライター業務一覧
ここまで解説したコピーライターの業務フロー➊~➎のステップを一覧にすると以下のイメージです。
【2】コピーもフローも明確に
発注前に不明や不安をなくす
レギュラー案件や何度も対応してきた案件でもないかぎり、定番定型のスタイルがあまり存在しないコピーライティング業務。だからこそとくに初めて依頼する発注側は不明や不安な点も多いはずです。かつて発注側に身を置いた者として、そうした点をできるかぎり事前に明確にするよう心がけています。
金額面と成果物をクリアに
依頼時の確度にもよりますけど、①対応内容、②打ち合わせ回数、③ヒアリングなど拘束具合が見えれば想定工数で金額感を算出できるし、成果物(対応イメージ)、さらには本稿のような業務の流れまでクリアにしてもらえれば当方なら「流れ」に乗って安心して発注できますけど、どーでしょうか(謎。
(了)