オンライン事務化は実現するか?働き方改革で見落とされがちな「3つの視点」
今回は働き方改革に関する記事です。
これまでSNSで時々シェアしてきたハンコ文化についての記事ですが、国内でも有数の規模を誇る国立大学・東北大学がニューノーマル(新常態)を見越してついに押印廃止を決断したとのこと。
全国の大学ではいまオンラインによる授業が積極的に行われており、前期は対面授業を行わないと決めたところもあるようですが、緊急事態宣言を受けて在宅勤務が職員にも広がったことが大きいのだと思います。
東北大学は6月1日よりオンライン事務化宣言をし、押印廃止だけでなく、学生対応や相談のオンライン化の拡充、職員のテレワークもさらに推進するそう。すでに事務職員1600名もリモートワーク可能な環境らしい。
1600名の職員というと、企業でいえば楽天や富士ソフト、パイオニアなどの大企業と同等の組織規模なんで、凄いことですよね。
私のなかでは正直、国立大学という組織はこのオンライン事務化と遠い存在のように思っていたので驚きました。
これが上手く行けば他の大学法人だけでなく、行政など似たような体質・文化の組織にも波及するかもしれませんね。
しかし、年8万時間を費やしていたっていうのも凄まじいですね。
正社員の給与を時給換算すると大体1500円~2000円ですから、単純な人件費換算でいえば1億2000万~1億6000万相当の削減にもなるためめちゃくちゃ大きいですよ、これ。
自治体も下手したら同規模の作業時間と人件費を掛けてるいるかもしれませんね。まさに塵も積もれば山となるです。
今後このオンライン事務化がどのような成果を生み出していくかに期待したいニュースでした。
働き方改革の3つの視点
働き方改革と聴くと皆さん、何をイメージしますか?
恐らくは、業務量のコントロールとだらだら仕事をせず定時退社を推進していく①残業時間の削減、働く上で何らかの制限のある方や外国人など多様な人財が活躍できるようにする②リモートワークの推進がイメージつきやすいのではないでしょうか。
これらはいずれも時間や場所に対する施策として有効です。
在宅勤務を多くの方が経験したことによって、通勤時間や満員電車から解放されこれらの効果を実感した人も多いと思います。
しかし、働き方改革をより意味あるものとしていくためには時間と場所の2つの視点だけでなく、加えて③目的と意味意義の見直しということが必要です。
つまり思考停止してむやみやたらと残業時間を削減したり、出勤ができないから仕方なくリモートワークを…というのは本当の働き方改革とはいえません。
東北大学の事例からも見て取れるように、職員・学生の安全を守り多様な働き方を実現するためのリモートワークの導入と、そのために必要なオンライン事務化による業務効率アップなどの上位の目的を定めたのち、その達成のために何がボトルネックになっているかを炙りだすことも有効です。
「なんとなく無駄だよね」という感覚ではダメということですね。
8万時間の削減というのもネックになっている作業(仕事ではなく!)の特定とそこに費やしているコストの可視化、無くした場合の影響を考慮した上で、組織として総合的に判断し無くすという選択に至ったはず。
その際、慣習化されていた業務の前提を問い直し、「押印はなぜしていたのか?押印という業務の意味とは?」と本質を考えることが大切です。
その結果、押印がなくても決裁ができるものが判明するかもしれませんし、もしその仕事の意義が”確認や承認”ならば、違う手段で代替できるのでは?という発想もすぐにできますよね。
今後何かしら働き方改革を進めるならば、自分たちにとっての働き方改革の目的と必要性、そして意味意義も問い直して行きましょう。働く時間と場所の改革は、これが為されて初めて本当の効果が生まれます。
リモートワークしたくても判子が必要だから無理!という話は、もはや笑い話ですよ。
(だからといって電子ハンコを導入するのも思考停止ですが(笑))