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NIHON GATEWAY NARITAから学ぶ、千歳市の可能性と未来について考えてみた

皆さん、こんにちは。
ニューヨークで建築デザイナーをしているカジーです。

今回は私が仕事で関わっている「GATEWAY NARITA」についてまとめたうえで、このプロジェクトから見えてくる千歳市の可能性について考えてみたいと思います!


1. グローバルに魅了する街づくり

2024年5月9日 - 成田市記者会見(帝国ホテル)にて「日本ゲートウェイ成田」のマスタープランが発表されました。

成田国際空港から車でわずか3分の距離に位置し、東京ドーム約10個分の広大な敷地に建設されるこの施設は、グローバルスペックを備えた価値創造拠点として、日本食の国際展開と文化の発展に貢献します。

主要建物としては以下の通り:
商業複合施設、ランニングトラック、デジタルドーム、ホテル、冷凍冷蔵貯蔵倉庫、フードテックR&D複合施設(国際展示場、国際会議場、キッチンスタジオを含む)、バスターミナル、駐車場棟等(2024年5月時点)

やー、盛りだくさんですね…!
まだマスタープランの段階なので、今後細かい調整は出てくると思いますが、日本が抱えている様々な問題(少子高齢化、労働人口不足、経済衰退など)に一筋の希望を与えてくれるようなプロジェクトになるとワクワクしています。

Gateway Narita - Masterplan by Laguarda. Low. Architects

2. 成田市・千歳市の関連性

2-1. 国際空港と立地

ここからは、成田市と千歳市の共通する特徴・潜在性、そして課題について考えてみたいと思います。

まず共通項の1つとして、地理的な背景と空港が隣接する点が挙げられます。

成田市:自然豊かな環境/強固な地盤/東京都心部から約1時間/通過点
千歳市:自然豊かな環境/強固な地盤/札幌市街地から約1時間/通過点

観光客が入ってきても、目的地ではなく単なる通過点となってしまっているというボトルネックが存在しながらも、豊富な資源(成田山、支笏湖等)や好立地という点で大きなポテンシャルはあります。
ただ、そんな魅力を知ってもらえない。思ったような経済効果がなかなか生まれない。というのが両市の大きな課題となっています。

2-2. 物流拠点

空港を中心とした街づくり(公共交通指向型開発)として、一大物流拠点を担うことが共通のテーマとなっています。空港ビジネスは、大きく分けて①人②モノの2つに焦点を当てています。

①人については、観光客や旅行者の移動によって経済効果が生まれます。

一方、②モノについてはどうでしょうか。航空機で海外へ輸出する場合、高価・軽量・スピードが重要です。そして、各市が物流の主要対象として考えているモノは次の通りです。

  • 成田市:生鮮食品、高級食材、ワクチンなどの医療品

  • 千歳市:半導体、工業製品

今後、効率よく空港と物流施設を結びつけることが、街づくりにおいて重要になりそうですよね。例えば、自動運転車や空飛ぶ車の利用も検討されるかもしれません。

3. 相違点から千歳の特性を探る

ここまで成田と千歳の共通点を考えてきましたが、一方で相違点、異なる要素は何か?それが千歳の街づくりの方向性を考えるうえで、キーポイントになりそうな気がしています。ここからはかなり主観的な考えになるので、エンタメ程度に拝読ください。

3-1. 千歳市は「中長期滞在者向け」の公共交通指向型国際都市に?

成田市では、「国際線の乗り継ぎの合間や海外渡航前後の数日をGATEWAY NARITAで過ごしてもらう」というような短期滞在者向けにビジネスモデルが構築されています。
千歳市では、今後ラピダスを中心とした半導体関連企業の受け入れが進むにつれ、中長期に渡って国内外の研究者、そしてその家族が滞在することが予想されます。

中長期的に魅力ある街として住み続けてもらうためには、エンターテインメント性というよりは「快適さ、食、教育の充実度」のような日々の生活に密接に関係した要素を見直していく必要があるのではないでしょうか。

正直、千歳の市街地には特にこれといった魅力も特徴もありません。食と言っても、特産物やご当地グルメも思いつきません。高等教育も札幌に集中しています。このままだと、北広島や札幌のほうに住居を構えて通勤するような人も出てくる可能性が高いと危惧しています。そうなると、先に述べた単なる通過点としての千歳から大きな変化はないでしょう。

3-2. 国際スマートシティとして生まれ変わる?

そこで、解決策の1つとして「国内初の国際スマートシティ」として国家指定の特別特区化のようなことができないか、と妄想しています。

具体的には、

①まち全体にAI・IoTシステムを網羅し、先進都市としてインフラを整備する
【多言語対応や生活の質向上】
②海外からの居住者区画を新しく計画する【居住空間の魅力向上】
③インターナショナルスクールや海外志向のレストラン(アメリカン、中華、タイ、フレンチなど)を同区画に組み込む【付加価値づくり】

このようなことが実現できれば、千歳に中長期的な滞在したいと思ってもらえるような街づくりができるだけでなく、北海道の別の地方からわざわざ千歳に来たくなるような仕組みができる気がしています。

また、国際スマートシティとして街にAI技術が組み込まれることは、半導体関連企業との相性も良いと感じています。例えば、ラピダス⇒旧レラ(南千歳駅廻り)⇒新千歳空港の物流効率化のため、全自動トラックレーンを設けたり、雪道にも安心安全に半導体を運搬できるようなシステムを創ったりできれば、より日本が世界と戦っていける産業を後押しすることに繋がるのではないでしょうか。

4. まとめ

今回は、「Gateway naritaから学ぶ千歳のポテンシャルについて」考えてみました。かなり主観の強い内容だったかと思いますが、熊本県・TSMCの事例含め、関連したプロジェクトの足跡を辿る事は、良いところはもちろんですが、失敗から学んだり違いと理解できたり、と非常に有意義だと思っています。

千歳の開発も水面下で動き始めている、と噂が入ってきています。
引き続き、多角的な視点から「どのように千歳を盛り上げていけるのか、魅力的な街として長期間住んでもらえるような街にできるのか」小さい脳みそなりに考えていきたいと思います。

では、また!




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