コロナ関係補助金は雑収入にすると不利?
新型コロナウイルス感染症に係る医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業補助金(リンクは大阪のもの)というものがあります。
コロナ対策で医療機関等が消毒液、空気清浄機、検温器の購入をすればその医療機関等の規模によって購入金額を補助するというものです。
関与先の医療機関ではすべての方が申請をしているわけですが、この処理について少し悩ましいことになりましたのでメモします。
前提 経費差額 措置法第26条
医院、歯科医院の事業所得を計算する場合には特例(措置法第26条)があります。
簡単に説明すると保険適用の収入が5,000万円以下の場合には実際に支払った経費に関わらず、収入に一定の割合をかけた経費を認める。というものです。(医者などへの優遇税制だという議論もありますがここでは気にしません。)
例:
保険収入:2,500万円
実際経費:1,000万円
決算書上の利益:1,500万円
これに対して措置法第26条(いわゆる 経費差額)をもちいて計算すると
保険収入:2,500万円
概算経費:1,800万円=2,500万円×72%(経費率)
特例を用いた利益:700万円(経費差額:800万円=1,800万円△1,000万円)
とこのようにあまり経費がかからない(自己所有物件で開業、従業員もなし)場合ですと経費差額が大きくなり有利になるケースが多くなります。
感染拡大防止補助金の取り扱い
ここで問題になるのは前述の感染拡大予防補助金の取り扱いです。
持続化給付金などと同様に雑収入に計上するのが普通の取り扱いかと思います。そして、雑収入はこの経費差額の計算の保険収入には含まれないため、経費差額の恩恵が受けれません。
保険収入:2500万円 雑収入(補助金):100万円
実際経費:1,000万円 感染拡大防止経費:100万円
決算書上の利益:1,500万円
これに対して措置法第26条(いわゆる 経費差額)をもちいて計算すると
保険収入:2,500万円 雑収入(補助金):100万円
概算経費:1,800万円=2,500万円×72%(経費率)
特例を用いた利益:800万円(経費差額:700万円=1,800万円△1,100万円)
つまり感染拡大防止補助金を受け取ることにより、従来より保険収入しかない事業者は経費差額の特例を用いた計算をした場合にはその利益が補助金部分上乗せになる。
現実を反映していない計算では?
感染拡大防止のために費用を拠出してその費用は全額補助されるとしてもその影響で利益が多く計上されるというのはどうも現実を反映していないように思える。つまり、その他の前提条件が同じ(売上、感染拡大防止以外の経費が同じ)状況では感染拡大防止事業を行った人と感染拡大防止事業を行っていない人では感染拡大防止事業を行っていない人の方が税負担が少ないということになります。
解決方法としては補助金を雑収入として計上せず、補助金は実費弁済なので感染拡大防止対策費として申請した経費と補助金の相殺処理とするべきではないかと考える。しかし、現行の取り扱いでは相殺処理は認められていない。
最後に個人的な感想
措置法というある種の恩恵を受けているのであるから固い言わずに。。。という気持ちもあるが、感染拡大防止事業をしなかったほうが得だったのでは?と思える現状はとても悲しく思います。
(感染拡大防止事業を行うことによって評判がよくなって売上も伸びるよね。
その事業が補助金を使ってできるからハッピー。
それで今期の税負担が増えても 結局はその補助金も税金からの支出だし、世の中回ってるなぁ。 と前向きに思うことにしましょう。そうしましょう。)
注:取り扱いに関しては誤りなどありましたらご指摘ください。