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日本は遠くなりにけり(英国出国編)

↓続編はこちらから。
日本は遠くなりにけり(日本入国編)
日本は遠くなりにけり(待機編)

英国に住んで25年。
日本に帰ることがこんなに大変になるなんて、誰が予想しただろう。
今回の帰国は、これまでにない貴重な体験になるだろうから、記録として書き留めておこうと思う。

ロンドンの警戒レベルが「Tier 4」となり、「仕事など法的に認められた理由」がない限り海外渡航は禁止となった。予定していた年末の帰国を決行するか否か迷ったが、「ひとり暮らしの母の介護」に加えて「クライアントさんに会う」という理由は正当性ありと判断。多少厄介ではあるが、帰れるうちに、行けるところまで行くことにした。

英国で新型コロナの新種ウィルスが見つかって、クリスマス前後にあれよあれよという間に日本側も検疫を強化。出国前72時間以内に検査をし、陰性の証明が必要(厳密にいうとこれをもって「検疫所長が指定する場所での」14日間の待機を免除ということになるらしい)とのことで、まずは検査を予約することに。

ヒースロー空港にある、私費で検査を受けられるクリニックのウェブサイトには、「LAMP」のプルダウンメニューにすでに「LAMP (Japan)」というオプションがあって、英国にしては意外な商売っ気に驚く。検査結果が出るまで90分とのことで、余裕をもってフライトの4時間前を指定して予約。79ポンドなり。もちろんカード払いオンリー。

出発当日は、想像通り渋滞もなく、いつもよりも短時間でヒースローに到着。ターミナル5の到着ロビーの端っこにある検査センターに向かうも、意外と予約時間に厳しくて、早く着きすぎてもダメとのこと。屋内よりも感染リスクの低い外で待つほうがいいかしら、と外に出るも寒い。結局入ったり出たりドア近辺で30分ほど時間をつぶす。

カートの大荷物と移動するのが鬱陶しいものの、実際の検査は受付も含めて実にスムーズ。名前と生年月日、パスポート、メールアドレスなどの確認があり、大使館から送られてきたフォームも必要なし。「日本用」の陰性証明を用意してくれる(陰性ならば)。

鼻から綿棒で検体を採取する検査は初めてだったけれど、担当の方が上手だったのか、聞いていたほど痛くもなく数分ですべて終了し、また待ち時間。今回は本当にそれ以上でも以下でもなく、ぴったりタイマーで計っているとしか思えない正確さで90分後に「検査結果が出ました」のメールがきた(検査結果はオンラインで見られます、とあるが、ログインしても見られず。カウンターに行くまでわからなかった)。

検査センターの一部に証明受け取りのカウンターがあり、そこで名前を告げて証明書をもらう。最近話題の「新種」は、自覚症状がほとんどないケースが多いと聞いていたので、ここで陰性と判明するまでは、ちょっとドキドキした。ちなみに検査センターのウェブサイトによると、陽性と判明した場合は、検査センターのほうで乗る予定だった航空会社とのやりとりのサポートや帰宅の方法のアドバイスなどもしてくれる、とあるので、それはそれでそこまで心配しなくて大丈夫だと思う。

この検査は12月29日現在では義務付けではなく、ただし、証明書がない場合は、検疫所の指定する宿泊施設に14日間滞在しないといけない、ということのようだ(証明書がある場合は3日)。

めでたく書類も揃って、チェックイン。カウンターで「質問Web」に関する案内、健康カード、誓約書の3点を渡される。質問Webは、QRコードから質問に答えて送信、送信完了時に表示されるQRコードをスクリーンショットなどで保存しておき、入国の際に提示する、というもの。健康カードと誓約書(入国後のフォローアップを許可するという誓約書)は、このあとずーーっとつきまとう2点で、何人もの人が確認するものの手元から離れない旅のお供となる。

搭乗前には体温検査があったくらいで、手続き上はそれほど大きな違いはなかったけれど、搭乗口近辺は、恐ろしいくらいの静かさだった。私の乗った飛行機のエコノミー部分の乗客は15人くらいだろうか。1列につきひとりかふたり、という感じ。快適な旅だった。




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