さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(19)
12月29日。
夫がロンドンを出発し、明日東京に到着する。
コロナ禍の水際対策で、日本政府は原則的に
新規の外国人の入国を許しておらず、
一部の例外に該当する場合も、平時なら
日本入国時にもらえる査証を
出国前にあらかじめ入手する必要がある。
11月に母が入院し、
ジェットコースターのように
思いがけない年末へと向かうなかで、
精神的にひとりでいることが辛くなってきて、
最初に、夫のビザについて、
在英日本大使館へ問い合わせをしたのは、
11月末のことだった。
当時、英国からの外国籍者は
入国拒否の対象となっていたのだが、
例外的に日本人の配偶者は、
適正なビザを取得することで、
入国が許される、はずだった。
大使館の担当者さんからの返信は早く、
短期滞在査証申請のために、
以下のものを用意するように言われた。
-申請書
-写真
-申請者のパスポート
-私のパスポートのコピー
-私の英国でのビザのコピー
-申請者の職場からのレター
-直近3か月分の銀行の明細
-隔離と移動に関する滞在予定表
-婚姻の情報がわかる戸籍謄本
-招聘理由書
-私からの身元保証書
招聘理由書や滞在予定表、身元保証書は、
すでにフォーマットが用意されていたので、
そこに記入すればよいようになっていた。
そこでさっそく準備を始めたのだが、
あれよあれよという間にコロナの状況が
オミクロン株出現のせいで悪化。
12月2日の段階で、これまで発行した
短期滞在の査証は年末まで効力を失う、
というお知らせがあった。
12月中に緊急で渡航が必要な場合は、
個々に相談してください、
とお知らせメールには書かれていた。
そこで、我々の状況は変わっていないので、
引き続き、ビザの申請をしたい旨、
日本大使館に再度連絡すると、
「査証の申請が可能かどうか」を確認するために
以下の書類をまず送るように、とのこと。
ー渡航が必要な事情説明書
ー母の主治医からの診断書
翌週になんとか両方とも用意し提出。
その日のうちに返信があり、
残りの書類をもって、申請してください、
とのことで、ホッ。とした。
なんとかすべての書類を揃え、
大使館のアポイントメントをとり
申請したのが12月17日(金)のこと。
翌週にはクリスマス休暇が始まることもあり、
少し心配したのだが、なか2営業日の、
12月22日(水)に無事にビザがおりた。
振り返ると、このときにビザがおりたことは、
私にとっては、この上なく幸運なことだった。
その後につづく、多くの(辛い)出来事を
くぐり抜けていくのに、夫の存在が
とても大きなものになっていったから。