小説 俺が父親になった日(第二章)~俺たちの始まり(2)~
私鉄で十駅ほどある新興住宅街。辿り着いた家もまた、建って間もなく煤けていないベージュのサイディング壁で囲われていた。
俺はチャイルドシートのベルトを外して、キラをアスファルトの上へと降ろしてやった。
ダボダボの服をそれなりに整えようとしゃがんだ俺の目には、キラの表情がどこか硬くなっているように見えた。
守谷巡査長がインターホンを鳴らすと、俺と似た年恰好の一見優しげな男と、その妻らしきちょっと綺麗目な女が現れた。キラの右手を握りながら、俺は一歩下がってそのやりとりをず