「どこがダメ?」「すみません」企画書、関東と関西で違いがある?
先日ある著者とお話をしていたときに「企画書の傾向に地域差はあるか?」という話になりました。「東京はお金の企画が出やすい」「大阪は話し方の企画が人気」などといった傾向があるのかないのか…。
もしかしたら「ある」のかもしれませんが、僕が企画書を見た限りの中では「ない」です。
と、それでは話が終わってしまうので、改めて地域差について考えました。
そこで一つ発見、あくまで肌感覚に近い傾向ですが、東西の違いを微かに感じる箇所があります。
なお、以下あくまで愚見なのでご容赦ください。
①粘る東京、引く大阪
それは、企画をお断りしたときに出ます。
「この企画書では難しいです」とお断りしたとき、東京の人は「どこがダメなんですか?」と粘ってくる方が多いです。
一方、大阪の人は聞き分けがよくて、「すみません、次がんばります」などと、あっさり引く方が多い印象を受けます。
統計を取ったことはないですし、多少強引なのは恐れ入りますが、なぜか東京は粘って大阪は引く気がしています。
②直截な東京、迂曲な大阪
理由を少し考えてみたのですが、東京の人はダイレクトな表現に慣れています。和歌の上方、江戸の俳句の違いとでも言いましょうか。
たとえば友だち同士でふざけたことをしているとき、東京は「お前はバカか」などと出てくるのは普通です。
大阪は同じような状況でも「アホやなあ」などと包んで流すでしょう。
両者のリアクションに違いが生じるのは、直截な言葉を言われ慣れている東京と、そうでない大阪の違いなのかもしれません。
③出版文化の東京、新聞文化の大阪
大抵の出版社は東京に本社があります。そうなると少し探せば編集者にも出会えます。「まれな存在」というわけでもないでしょう。
一方の関西は新聞文化と言えます。三大新聞のうち二社は大阪発祥です。
新聞記者は沢山いるかもしれませんが、たとえば合コンに行ったら書籍編集者がいた、ということもおそらくそうないでしょう。
こうなると希少価値が上がり、編集者に対して必要以上に遠慮してしまうのかもしれません。
④大阪の人は話が面白くないといけない?
時折り、大阪の人から「(大阪人なのに)話が面白くなくてすみません」と、予想外に謝られることがあります。
ですが「大阪人だから面白く話さないと」や「オチをどうするか、どう笑わせるか」など、必要以上に笑いを考えなくて大丈夫です。
「大阪の人は面白い」となっているのは、おそらく吉本興業の影響が大きいでしょう。吉本が最初に輩出した全国区の芸人は、戦前のエンタツアチャコと言われています。しかし、彼らは兵庫と福井の出身です。
近年の大御所も、明石家さんまは奈良、島田紳助は京都、ダウンタウンは兵庫です。大阪人だからと気負う必要はないので、自らに余計な負担を課さないでいいと思います。
⑤短気な東京、せっかちな大阪
江戸っ子も短気なので、一見そう違いはないように見えます。
ただし微妙なところですが、キレ方に差があるのではないでしょうか。
具体的には、うまくいかないときに「なんでだ?」とゴネ始める東京と、「もうええ」で帰ってしまう大阪の違いです。決断が早いのはいいことかもしれませんが、ちょっとくらいゴネてもいいと思います。
⑥関西人は標準語の早口が嫌い?
以前、京都出身の女性と付き合っていたとき「関西人は標準語の早口が嫌いだ」と言われたことがあります。
これが本当だと仮定すると、僕もそうですが編集者は標準語で早口の人が割と多いので、それなら確かに合わないかもしれません。
ただ、僕に関して言い訳させてもらうと、関西出身の著者で特に女性と組んだ場合、100%ではありませんがかなり重版率は高いです。
⑦はっきり断る編集者はまだ誠実だと言える
以上、これらは”強いて言えばの私見”に過ぎません。「こんなの総論で語れないよ」というのは百も承知です。
いずれにしろ、せっかく編集者に企画書を出したのだから、仮に断られてもせめて理由を聞くくらいは粘ってもいいでしょう。
これは東西関係なく、どの方にも言えることだと思います。言葉を濁される可能性はありますが、聞いて損はありません。
一つ言っておくと、はっきり断る編集者は裏を返せば、まだ誠実です。
たとえば、企画や発刊点数に困っている編集者なら、いざというときのために企画をキープしておこう、という魂胆が働きかねません。
あるいは、自分をチヤホヤしてくれるものだから、気分よく周りにはべらかせている人もいるかもしれません。
所謂”飼い殺し”にされている著者候補も珍しくないです。自分がそうなっていないか、時折り自問してみてください。