「編集者って意外に〇〇なんですね」理想と現実のギャップとは?
今の会社では編集者の新人採用をおこなっていませんが、以前の会社では数年に一度新入社員の採用試験をおこなっていました。
その際、僕も採用に関わらせて頂きましたし、また他社の新人さんともお話ししたことは多々あるのですが、大抵の方が理想と現実のギャップを感じていたようです。
「憧れの職業だったのに意外と〇〇だった」的な思い違いはどの職業にもあると思いますが、今回は編集者について僕が触れてきたものをご紹介します。
①モテない
→若い頃、編集者と名乗ると「モテるでしょ?」と言われたことが何度かあります。確かにモテる編集者もいましたが別に編集者だからモテていたわけではなく、そういう人は他の仕事をしていてもモテていたでしょう。多少の上乗せはあるかもしれませんが、結局は本人の資質で決まるようです。
②褒められる
→個人的には意外で、褒めて頂けることも結構あります。たとえば、時折り「天才編集者」などとおだててくださる方がおられますが、天才とは若年層や自分に使う言葉です。天才少年、天才桜木など。僕は40過ぎです。これはつまり、業界の平均年齢がそれだけ高いことを意味していると言えます。
③土木作業と同じ
→新人君に「編集って思っていたより地味な仕事ですね」と言われたことが何度もあります笑。かつての上司は「書籍編集は土木作業みたいなもの」とも言っていました。両者の違いは「土ではなくて字を捏ねる」ということでしょう。師匠、僕は今日も捏ねています。
④男女の出会いがない
→ドラマとかの影響かもしれませんが、みなさんが思っているほど特別な出会いはなく、他の業界と変わりません。強いて言えば不倫はよく聞くかな…数えたことはないので断言はできませんが。ただこれも、おそらく出版界に限った話ではないと思うので、やはり特筆事項には値しないでしょう。
⑤かっこよくない
→未だに「かっこいいから」という理由で編集を志望してくる若者が結構いますが、これもよくある勘違いです。そもそも世間的には、編集者って何をやっている人なのか分からない方が多いでしょう。独身のとき合コンに行くと、よく「編集者って何をやる人なの?」と訊かれていましたし…。
⑥有名人と出会えない
→雑誌や文芸などとは違い、ビジネス書の編集者が有名人に会える機会はそうありません。今までいろんな有名人を見てきましたが、そのうちの半分は仕事とは関係ない場所で出会いました。というか、有名人と出会えたから何だというのでしょうか?
⑦保守的
→雑誌を読んで自分の知らない先進的な文化・情報に触れるイメージは、残念ながらもはや過去のものでしょう。どちらかと言ったら出版界は保守的です。もう何年も前から同じ問題が横たわっている、という会社も少なくありません。
以上ですが、①に関しては、ある元編集者を思い出します。彼はベテランとして知名度のある人でしたが、女性関係も一因となって今は出版界から去っています。
編集者になったら急にモテるということはありえず、むしろ彼のように若い頃のコンプレックスが助長されて、嫉妬・暴走する人もいるでしょう。
②は、自分が天才だと言いたいわけでは当然なく、ようは出版界は高齢化が進んでいるということです(まあ日本全体で進んでいますが)。
もちろん、だから悪いというわけではなく、むしろ若い人を歓迎してくれる節があるので、若者のチャレンジを広く求めたいところです。
③は確かに、編集は地味な作業が多いですが、文字を捏ねるのは楽しい仕事です。それに、世の中の役に立つコンテンツを創れるって、非常にやりがいのある仕事だなとも感じています。
④については漫画や文芸、雑誌の編集者なら、ビジネス書の比ではないくらい出会いも多いでしょう。
⑤⑥⑦に共通する勘違い箇所は、おそらく③に通じていると思います。編集者や出版界を過度に美化しているのです。
ドラマやマンガなどの影響を受けてしまうのは仕方ないですが、たとえば病院や警察に、あれほどのイケメンや美女がいることなど期待できません。
やっていることだって地味な仕事のほうが多いでしょう。編集者も同じで、現実はそんなものです。
活字が好きな若者には非常にチャレンジングな業界なので、みなさんのまわりにご興味ありそうなお若い方がおられたら、ぜひお声がけしてみてください。
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