出版企画書の「”ここ”を直せばもっとよくなる」という7つのポイント
1年にかなりの数の企画書に目を通しますが、時折り「自分の企画書の良かったところと、悪かったところを教えてください」と言われます。
良かったところは各自異なることが多いのですが、悪かったところはそこそこ共通点があると感じます。
「企画が弱い」「著者性がない」「ウリが不明」など、いわゆる企画内容の良し悪しではありません。あくまで企画書そのものについて纏めたものなので、新人さん、ご経験の浅い著者さんのご参考になれば幸いです。
①著者略歴が長すぎる
長いだけならともかく、時折り肩書が不透明な方がおられます。そこを補おうと加筆しているのでしょうが、結果さらに分からなくなっていくことが多いです。人間、「長々と説明されたけど、結局あなたは何者ですか?」という人に惹かれることはそうないでしょう。
②読者対象が広すぎ&狭すぎ
よく「読者対象:30代以上の男性」みたいな企画書があります。夢のあるお話ですが、これでは具体的に誰が読むのか分からないので、もう少し絞るべきでしょう。逆に「読者対象:元夫と復縁したい50代の女性」みたいな企画は狭すぎると思います。
③類書が違う
みなさん、類書として複数著書を挙げられるのですが、どう考えてもご自分の企画内容とは違う、と思われる類書を書かれる方が結構おられます。試しに「この本どうでしたか?」と感想をお聞きすると、おそらく読んでいないなと察せられます。
④名前がない
出版コンペなどにお招き頂くとたまにおられます。ご自分のお名前は絶対に書きましょう。できれば企画書の1枚目に書かれることをお勧めします。
⑤実現が難しい
たとえば、小説や自伝、絵本といった企画書を僕に送ってこられても実現させることは難しいです。また、かつては女性向けの恋愛本など「なんでお前が出すんだ?」的な本を重版させることもできましたが、近年は難しくなったというジャンルもあります。
⑥市場的に厳しい
上の⑤で恋愛本をご紹介しましたが、そもそも恋愛本は市場的に厳しくなってきているのが現状です。また、一昔前に流行った企画もよく出されます。一例を挙げると、小説仕立てのビジネス書も一時期は多かったのですが、最近では難しくなってきたと言えるでしょう。
⑦同じような本を出したいという
持ち込み企画で多いのですが「あなたが担当された〇〇のような本を出したいと思っており、同じような企画を考えていました」と企画書を送ってくださるケースです。同じような内容の本を立て続けに出すことは、残念ながらそうありません。
以上です。
①と②は企画書の書き方を勘違いされていると思います。「自分が何者か」は分かりやすく書いたほうがいいですし、「読者対象が広ければその分買ってもらえる」わけではありません。
③は、もし本当に読んでいないなら、胡麻化さず正直に「じつは読んでなくて…」と言ったほうがいいでしょう。少なくとも僕は僕が担当した本でない場合まったく気にしません笑
その代わり、ちゃんと僕の担当本を読んでくださり、ご感想を頂いた方に対しては審査が甘くなります笑!
④はともかく、⑤や⑥はリアル書店での分析をお勧めしたいです。
近年の売れ筋や企画内容と版元の相性などは、おそらく編集者でなくてもわかります。
⑦は、たとえば話し方の本ばかり出している、という編集者はそういないと思うのでご参考になれば幸いです。
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