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肩を壊して野手に転向したプロ野球選手が高校の先輩にいます。そんな元高校球児が今の高校野球に思うこと

こんにちは、カメラマンのまちゃるです。

いつもはカメラや写真のことについて書いているのですが、甲子園シーズンとなり、高校野球に関していろいろと議論がされているので、元高校球児として思いを書いてみたくなりました。

ニュースなどでも取り上げられているとおり、甲子園の岩手県予選決勝で大船渡高校のスーパーエース・佐々木朗希くんが出場さえすることなく敗退し、物議を醸しています。

それに伴ってこの問題に対する賛否両論から高校野球の球数制限やシステムの改革にまで、話が及んでいこうとしています。

元高校球児でした

わたくし、実は高校球児でした。その後大学ではソフトボールに転向し、社会人になってからも野球&ソフトボールを何年かやっていました。

体型や資質的なこともあり、守っていたのはキャッチャーのち外野です。

平均的な公立高校でしたので、甲子園をすぐに狙えるような強さではなかったのですが、1つ上の先輩にプロ野球からも注目されるようなピッチャーがいました。
運よくキャッチャーだったこともあり、時々その先輩の球を受けることもありました(一応バッテリーと言えるのでしょうか)

その先輩は筋力や体力、スピードもかなり飛びぬけていたのでほとんどの試合を1人で投げぬいていましたが、やはりその成長に体が追い付いていなかったのか疲れが溜まりやすく、軽い故障を負うこともありました。

そして例によって最後の甲子園予選では3試合(再試合があったので実質4試合)をほぼ連投し、かなりの投球数だったと記憶しています。

その後、その先輩はすぐにはプロ野球入りせず大学野球リーグに進みました。そこで投打の中心としてかなりの大活躍をし、高い評価でプロ野球入りを果たしました。

ただやはり故障がちだったところは大学・プロを通じてあまり改善されなかったようです。投手から野手へと転向し、打撃面を中心に活躍するようになりました。いくつかのタイトルを獲得したり、オールスターに選ばれるような日本を代表する選手として活躍されています。
(勝手にお名前を出すのもアレなので、伏せておきます)

ケガは人生を変える

そのプロ野球選手の先輩の野球人生に高校時代の連投や故障がどのように影響したのかは分かりません。プロ野球で野手に転向することになった因果関係も今となっては証明しようがありません。

ただ事実として目指していたプロ野球でのピッチャーをあきらめざるを得なかったという結果は残りました(僕もそうですが、先輩の周りのみなさんはピッチャーを続けていたら大谷翔平選手に並ぶ選手になっていたと思っています)

先輩はその後もかなり努力されたのでしょう。ピッチャーではない別の道で頭角を現して、プロ野球でかなり活躍しました。
並大抵の努力ではなかったでしょうし、チャンスをものにした勝負強さもあったと思います。

それでもどこか僕個人としては、ピッチャーとしてマウンドに立ち続ける先輩の姿を見たかったですし、「ケガや故障が無ければ・・・」という思いはいまだに感じています。

これからの野球選手に何を求めるのか

話を今回の甲子園のことや高校野球のシステムに戻します。

今でこそ僕も先輩の故障を残念がったり、高校野球のシステムがなんとかならないかと考えたりしますが、必死に白球を追いかけていたあの頃は全くそんなことを考えもしませんでした。

僕自身は進学コースと部活を両立していたこともあって、スケジュール的にはかなりきつかった(高校でほとんど休んだ記憶がない)のですが、それが当たり前だと思っていました。
むしろ「学校の予定もある中で大人たちは上手くスケジュールを組んでくれている」とさえ思っていたかもしれません。

当然、甲子園がかなり遠い夢だった僕たちのようなチームでも「甲子園」というのは高校球児の憧れであり、それに携わる人たちの夢でした。
だから今でも気持ち的には「甲子園はやめればいい」ということはなかなか言えません。

ですが、やはり今の高校野球は多くのことを求めすぎているのだと思っています。その結果、間に挟まれた高校球児たちがいろいろと難しい立場に置かれているのではないでしょうか。

上の動画ですが、たまに見ている野球youtuberの方が簡潔に今回の問題についてまとまとめられていました。

かなり簡単にまとめると

「甲子園という伝統的な価値観や憧れ」

「高校球児の体を守り、プロや世界で通用する選手を育てる」

という2つの価値観がぶつかり合い、大きな矛盾を生んでいるのが現状だということです。

僕もその通りだと思います。

解決策としてスッキリとしたものを提示するのは難しい。時間をかけて議論をし、各方面で調整をしていかないといけない問題です。

本当のプレイヤーズファーストのために僕が思うこと

近年、急速にプレイヤーズファースト(選手第一)ということが言われるようになってきました。時代の流れとしてはいい方向に向かっているように思います。

その上で野球に関して僕が現段階でこうすればいいのではないかということを書いておきたいと思います。


①プロ野球や世界で長く活躍できる人材を育成するため、教育プログラムを考える。同時にさまざまなレベルで楽しんでもらえるようアマチュア野球を充実させる

②甲子園を高校野球の絶対の価値とせず、各地方の主要球場(プロ野球チームの本拠地など)での大会をメインとし、移動や日程の困難を解消する。全国大会は気候的に無理のない時期に年1回程度。

③高校野球は教育の一環との位置付けをより明確にし、学業や身体の成長の面からも試合や練習のあり方を検討する。


もちろん賛否両論あると思います。僕自身も今の野球界のシステムが一定のスタープレイヤーや世界に通用する選手を輩出してきたことは評価しているるので、こういうゆるいシステムでどこまで世界的に通用する選手が育つかは分かりません。

ですが長い目で見ると、やはり高校時代は身体的にも精神的にも人間が大きく発達し、その後の人生にも大きな影響を与える時期です。だいたいプロ野球選手の選手寿命が20歳前後から長くても40歳程度であることを考えると、選手にはプロ野球を辞めた後の人生の方が長いわけです。

選手の人生を考えるとより長く野球に携わることができ、辞めた後のことも展望できるようなシステムが望ましいと考えます。その面から考えると、成長期にかなりの負担を強いる今の高校野球のシステムはいずれにしても改革が必要なのではないでしょうか。


こういった問題はプロ野球に限らず、プロスポーツ全体に言えることです。
「そんな甘いことを言っていてはトップレベルの選手は育たない」という批判もあるでしょう。僕もどちらかというとそういう時代の人間ですから、その主張にも一理あると思っています。

その一方で、これまでのプロスポーツは選手たちの多くの犠牲の上に成り立っているとも感じています。

ですからできるなら、選手たちが安心してプレーできるような環境(将来設計も含めて)が作られ、その中で競技人口が広がり、より切磋琢磨する環境となって、優秀な選手が輩出できるようになっていければ一番いいんじゃないかと思っています。

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Masaru Nakanishi @石川県金沢市のフォトグラファー&写真講師
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