兼六園の三脚使用禁止騒動と商業撮影の問題から有名スポットでの撮影について考えてみた【2022.3.24修正】
こんにちは、フリーランスフォトグラファーのまちゃるです。
昨日Twitterを眺めていたらこんなツイートが流れてきました。
「今回のライトアップから兼六園は三脚使用禁止になったらしい」
兼六園と言えば金沢を代表する観光スポットで、11月に入ってからは夜間ライトアップも始まっています。
兼六園では四季それぞれの被写体を生かしたライトアップが行われているのですが、そんなライトアップでこれまで使えていた三脚が使えなくなるというのです。
このツイートを見て、別件の撮影案件の確認もあったので「金沢城・兼六園管理事務所」の方に問い合わせてみました。
すると・・・
「基本的に以前から昼夜問わず三脚の使用は控えていただいております。ただ、使われている方もちらほらいらっしゃいますよね・・・」
という禁止なのかどうなのかよく分からない回答。ただ今回のツイートの原因になったとされるライトアップの告知ポスターやパンフレットに「三脚禁止」と書いてあるのは事実のようです。
その後、写真教室の生徒さんや他のカメラマンさんたちが相次いで問い合わせたところ・・・
「常識的な範囲内で、他の方のご迷惑にならなければ使用OK」
という回答があったそうです。
僕がプロカメラマンと名乗って問い合わせたことなども回答が違う理由の1つかもしれませんが、ちょっとよく分からない対応です。
まあとりあえずは使用OKという回答が複数あったということで今回の撮影では気を付けて使いたいと思います。
確かに三脚をめぐるトラブルが兼六園でも増えている
今回、ツイートや問い合わせで三脚の問題が話題になりましたが、以前から三脚をめぐるトラブルが他の観光地に漏れず、兼六園でも増えているようです。
・三脚の足を立ち入り禁止の苔の中に入れていた。または撮影者自体が入っていた
・三脚を使って禁止されている場所取りをしていた
・通路に三脚を立てて観光客の邪魔になっていた
といったものです。特に多くのカメラマンが撮影に訪れる夜間ライトアップの時期には、暗くて見えにくい通路に立っていた三脚を倒されただとか、場所取りで口論になっている事例もあると聞いています。
そういったトラブルやクレームも踏まえて兼六園側が三脚禁止の対応を考え始めたということは、他の観光客の方の安全確保やトラブル回避という面を考えると仕方ないのかなと思います。
一方でよく分からない兼六園側の対応
上で書いたような安全確保やトラブル回避の側面から三脚の使用について、一定の方向に向かうのは理解できるのですが、その一方で今回のような兼六園側の対応は以前から不明な点が多いです。
・ホームページやSNSでの注意喚起がない
・問い合わせに対する回答が統一されていない(今回の事例とは別に過去にも回答がバラバラなことが複数あり)
・園内の警備員が注意喚起して回るなどの実効的な対策がされていない
といった点で園内をどのように管理したいのかが見えてきません。
さらに近年では北陸新幹線の開通などで金沢の知名度が高まり、海外から訪れるカメラマンもかなり増えたのですが、そういったカメラマンがトラブルを起こしている(立ち入り禁止場所に入る等)例も見られます。
その原因で一番多いのが「撮影マナーや立ち入り禁止に関する注意喚起が多言語でなされていない」「そもそも注意喚起の数が少なすぎる」ということがあるようです。
利用者の安全確保やトラブル回避を真剣に考えるなら、兼六園側はもう少ししっかりと対応策を打ち出すべきだと考えます。
商業撮影についても兼六園は不可解な対応⇒長時間の場所占有・多くの機材を使わない簡易的な商業撮影なら可能と確認【2022.3.24修正】
三脚の問題と同様に僕が疑問に思っているのは兼六園内での商業撮影の問題です。
商業撮影は簡単に言うと撮影業者(カメラマン)がお客様からお金をもらって撮影することで「金銭的取引の発生する撮影行為」ということになります。
上のページは兼六園内で撮影業務を行っている会社ですが、
「兼六園内で商用目的の撮影が認められているのは兼六写真園だけです」
とうたっているとおり、実は兼六園内で商業撮影ができるのはこの1社のみなのです。
「あれ?兼六園で前撮りとかしている人をよく見るけど?」
と言われそうですが、それは基本的にアウトなのです。
ではなぜ頻繁に前撮りや七五三などの撮影がされているかと言うと「兼六園側が取り締まっていない」からなんです。
この問題についても何度か管理事務所や石川県に問い合わせていますが、
「例えば、無償で撮影をされている例やモデルさんを撮影されている例もあるので、すぐに注意できない」
という訳の分からない回答が帰ってきます。
(あれだけの数の前撮りの撮影が無償でやられてるのなら、その業者さんはどうやって商売してるんでしょうw)
個々の業者さんを挙げることはしませんが、「兼六園 前撮り」なんかで検索していただくとバッチリ撮影コースの中に組み込んでいる業者さんが多数出てきます。
それだけで、本来商業撮影ができないはずの兼六園がそういう撮影場所として使われているのが分かっていただけると思います。
長時間の場所占有・多くの機材を使わない簡易的な商業撮影なら可能と確認しています。ある程度大掛かりな撮影は引き続き、管理事務所への確認と申請が必要です【2022.3.24修正】
兼六園側はしっかりとした対応をしてほしい
これだけ三脚や商業撮影のことについて問題点を挙げてくると「お前は大事な撮影場所を潰すのか」と怒られそうですね。
ただご理解いただきたいのは、僕も兼六園で撮影するのは好きですしこれからも撮影に行きたいと思っています。
しかしこのままのあいまいな対応が続くと将来的に大きなトラブルが発生したり、最悪撮影そのものができなくなったりする心配があるため、あえて今回書かせていただきました。
つい最近も京都で上のような事例がありましたが、撮影マナーやルールが守られずトラブルがこじれていくと、最悪の場合は撮影ができなくなるという悲しいことが起こっています。
すでに兼六園では商業撮影禁止の規定があり、これから三脚禁止も導入される可能性もあり、「すでに撮影ルールが厳しい」ということも言えますが、観光客とカメラマンがお互いに気持ちよく過ごせる環境づくりのためには、一定のルールが必要だと僕は思います。
上の京都の事例はかなりトラブルがこじれてしまって、結果として観光客にとってもカメラマンにとっても窮屈そうだなと感じてしまいます。最悪こうなってしまう前に、今の時点で撮影のルールをしっかりと考え、少しずつマナーを良くしていくことで金沢は観光客もカメラマンも楽しめる観光地にできるのではないかと思います。
もし少しでも賛同いただける方がいらっしゃれば、一緒に少しでも金沢の撮影環境を良くしていければ嬉しいです。