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【珠洲・能登半島】地震発生時に震源地近くにいて死を覚悟した瞬間と思ったこと

こんにちは、フリーランスフォトグラファーのまちゃるです。

全国ニュースでも繰り返し流されていますが、自分が住む石川県の能登半島を中心に5日、大きな地震が発生しました。

亡くなった方や多数の建物被害も出ているということで、お悔やみを申し上げ、一刻も早い復旧を願います。


実はですが、私も地震発生時に震源に近い場所にいました。

上の写真のとおり、珠洲市内の大谷川で開催されている「大谷川鯉のぼりフェスティバル」の撮影をしていたからです。

5日は朝早くに金沢を出発し、妻とその両親と一緒に志賀町の親戚に会うため能登方面に行っていました。

親戚に会った後、能登を南北につなぐ「のと里山海道」を通り、能登町から曽々木海岸に抜け、珠洲方面に向かいました。

上の写真は到着直後に川にかかる橋を歩きながら撮影したもの。地震の1分前ほどの写真です。


橋を渡っていると、橋が横に大きく揺れるのを感じました。

一瞬、突風でも吹いたのかと思いましたが周りの電柱や車も揺れ、続いて立っているのが難しいような縦揺れも感じました。

とりあえず急いで橋を渡り切り、やや開けた場所で揺れが収まるのを待ちました。

揺れが弱まってきたところで、自分も含めて周りの方のスマホから一斉に緊急地震速報が鳴り始めました。
表示を見ると「石川県珠洲市を震源にマグニチュード7の地震が発生」(後に修正がありました)と一報が入り、震源がすぐそばであることが記されていました。


ここで私は一気にこの状況の危なさと「死ぬかもしれない」という恐怖を感じました。

実は私は仕事で能登半島の地震のことを調べていた時期があり、その後も撮影などで頻繁に能登に通っていたため、地形的な危うさも知っていたからです。

また、緊急地震速報が揺れの終盤に鳴り始めたことから「地震は内陸の直下型もしくは近海が震源である可能性が高い」という推測がされました。
直下型の場合、津波の可能性は少し低くなりますが震源が海であった場合、大小はあれど津波の危険性が出てきます。
運が悪いことにフェスティバルが開催されていたのは、ほぼ河口部分でしたので津波の危険性があるとすれば、すぐにでも高台に避難する必要があります。

そう考えがめぐり山の方を見た瞬間、山の斜面から落石が発生しているのが見えました。
これでは山の方に逃げるのも危険性が高く、もし津波が発生すれば逃げ場がなくなってしまいます。

パニックになりかけましたが、何とか落ち着いて山から離れた高台を探し始めたところ、川のすぐ近くに何組かのファミリーが残っているのが目に入りました。

ここからでは、パニックで動けないのか、危険性を感じていないだけなのか判断はできませんでしたが、とにかく声をかけに向かおうとした時、もう一度スマホを確認すると、追加情報として「津波の危険性は見られないこと」が表示されました。


少しほっとしましたが、余震や落石などの危険性もあるため、状況を見つつこの場を離れなければいけません。

まつりのスタッフの人の指示に従いながら、車で移動を開始し始めましたが、来るときに通ってきた国道249号線の輪島方面で落石が発生していました。目視できたものは軽自動車分くらいの大きさがあり、その奥でも大小の落石があるようです。
また、SNSの情報を集めると大谷川から輪島方面のいくつかのトンネル付近で同様の落石があることが分かりました。

輪島方面に抜けるルートは難しくなったため、逆方向に行って珠洲の街なかを抜け、珠洲道路からのと里山海道に抜けるルートか、山間部をショートカットして帰るルートを探すかになりました。

前者だと道は広いものの、震源に近い珠洲の街なかを通るため混み合っている可能性があり、遠回りにもなります。
後者は上手くいけば最短で行けますが、崖地を通ることもあるため、道路状況が読めません。
結局、相談の結果、前者の主要道路を通るルートで脱出することにしました。

走ってみると珠洲市内はそこまで混んでいるわけではなく、道路沿いは少し物が落ちている被害が見られるくらいでしたが、後で聞いたところによると家やお店の中で、物が散乱する被害が出ていたそうです。

市内を抜けると、そこから能登空港や輪島をつなぐバイパスに入りますが、こちらではところどころで渋滞がありました。
とは言え、道路そのものや崖は特に被害が無く、時間はかかったものの無事に金沢方面に向かうことができました。


このように乱文でしたが、地震の際にどんなことを体験したのか書かせていただきました。

なまじ能登の地理を知っていて、仕事で能登の地震や地質のことを調べていたために、いろいろなことを考えさせられ、疲れた一日となりました。

今回の地震はゴールデンウイーク中に発生したこともあり、遠方から帰省された方、観光客の方も多く、地震発生直後の動きや避難で混乱された方も多かったと思います。

SNSが発達しているので、そちらで情報を得られて行動した方も多かったようですが、緊急地震速報で津波への注意喚起(高台へ逃げる)などの具体的行動を促す発信が少なかったり、Twitterなどでもどういった行動をすべきかの情報が少なかったように感じました。

これからも余震が続く危険性が言われていたり、時期的にも雨風の影響が出てくるかと思われます。
2次災害を防ぐためにも、公的機関の方は具体的で分かりやすい情報発信をしていただけることを切に願っています。

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Masaru Nakanishi @石川県金沢市のフォトグラファー&写真講師
サポートしていただいたものは情報収集や撮影に使わせていただき、役立つ情報としてみなさんに発信できればと思います☆