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自主映画を劇場公開する男の手記⑥

こんにちは。
いよいよ大阪上映がおよそ10日後(8/5〜8/11)に迫り、ひたすら大阪でチラシを配る日々を送っておる北尾です。

先ごろ『私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・』(以下、『わたどこ』)上映館であるシネ・ヌーヴォの経営状況がよろしくない事がニュースになりましたね。

これで自分の映画にお客さんが入らなかったら…いや、入れないわけにはいかないだろ。と、いよいよマジでやべーガチでやんなきゃだぜ(今更)な気持ちでおります。

ミニシアターの現状を知れば誰もが驚く。
まぁ興味無い人も多いでしょうけども。
以下に詳しくあるので、是非ご一読ください。

私は、文化施設として国が恒久的に支援し保護すべきだと思います。
一定のハードルは必要でしょうが、ただの民間企業としての扱いは間違っている。

言いたい事は山ほどあるけれど、とりあえず今は一旦我々で支援しましょう。
放っておいたら私の様な作家が映画を作った時に上映する劇場が無くなってしまう。
数多の映画館にお断りを受けた者にとって、上映してくれる劇場は本当に貴重だし、生命線なのです。
つーか映画撮る人いなくなるぞ。
いきなりシネコンで上映する映画を撮るわけにゃいかねぇだろ。
若手の上映場所が無きゃ確実に廃れる。
どうかお助けを。

・・・で、前回の続き。

  • トークゲストを呼ぶ

  • いろんなところにチラシを撒きに行く

  • DCP(本編/予告)の作成

そんな大した事は無いんですが。
記録として一つずつ。
ってまだ半年前の話してんのかよ。ええ加減に今の話せーや。

…な。

そうよな…。

…まぁもうちょいなんで。
気を取り直して。

【トークゲストを呼ぶ】

上映だけで済ませる事も勿論できますが、やはり何かイベントを打って客寄せをしなければなりません。
コメントを頂く事も同じくですが、ニュースにもなり得るし、その人と絡む事で客層を広げられる可能性がある。

僕の場合、2週間の上映期間(夜一回のみ)のうち、半分を『出演者&監督の舞台挨拶』、もう半分を『ゲスト&監督のトークショー』ぐらいを目標にして打診を始めました。

とりあえずゲストを募り、スケジュールを組んでみて、空いたところに舞台挨拶を入れていく。みたいなイメージ。

ゲストの条件は、

  1. この時点で本作『わたどこ(略称)』を観てくれて、気に入ってくれた方

  2. ある程度喋れそう

  3. できればネームバリューがあって、お客さんを呼べる

最後の一点は、私のレベルではまだ難しい点もありましたが、それでも様々な方にご参加いただく事ができました。
この作品の場合、多様な見方を示せる様に、映画関係者に止まらず他ジャンルの方を呼ぶ事も意識しています。
これはコメント募集も然りでしたが。

結果、
太田光海さん(文化人類学者/映画監督)
佐々木誠さん(映像ディレクター/映画監督)
加賀賢三さん(映画監督/同級生)
帯谷有理さん(映像作家/師匠)
佐々木敦さん(思考家)
睡蓮みどりさん(文筆家/俳優)
巧美秀俊さん(作曲家)
福島拓哉さん(映画監督)
大塚姿子さん(サウンドアート研究者)

と言った方々が登壇してくださり、それぞれの視点からこの作品を語ってくださいました。
元から友人の人もいるし、師匠、映画業界の先輩、劇場で初めて会うという方も。
様々な方とじっくり話してみて、私自身もこの作品の多様な可能性を改めて知る事になりましたね。
正確な数字は出ませんが、しっかり集客にも良い影響が。

そういえば、私も気になっていたところでトークゲストのギャラというものがあります。
まぁ分かる人もいなかったので、今回の当事者でもある佐々木誠パイセンに思い切って聞いてみたのですが、
相場としては一回の登壇で¥5,000〜¥10,000(映画全体の規模感やゲストにもよるでしょう)。
感じ方はそれぞれでしょうけど、私は「爆安やんけ」と感じました。
つまり、半分は応援としてサービスで来てくれているのだなと。

こんなに有難い事は無いし、持ちつ持たれつでこういう場が形作られているという事をとても嬉しく思いました。

皆さんありがとうございました。
どの回もとても楽しかったです。

一応、当時のスケジュール載せときます。

連日連夜のイケてるパーティー。

【チラシ撒き】

これはもう、色々なお店や施設に行ってチラシを置いてもらう。できればポスターなんか貼っちゃったりなんかしてくれません?…ただひたすらそれを繰り返すだけです。
メディアでの扱いなんて大した事は無いんですから、つーかほぼ無視されてるんだから、とにかく人目に触れるためにはそれしか無い。

いやー凄まじい数を回りましたよ。

とはいえ平日昼間は仕事があるため限界もありましたが…行ける時間は全て使って。
限界はあるけれど、限界までやる気でやってました。(多分。限界なんてどうやって決めるの?とも思うし、サボった日が無いとは言わない。…じゃあ限界じゃないな)

平日も夜は大体飲み屋に行き、一杯飲んでチラシを置いてもらい、隣のお客さんに話しかけ、チラシを直接渡し、次の店に行き…
休日は昼間やってるお店の扉を開け、お願いする。夜は飲む。
ずっとこれの繰り返し。

チラシ撒きには大体後輩の藤沢くん(彼も映画を志す同志)が付き合ってくれたけれど、一人だったらすぐに心が折れてますね。
元々内気なんだから。
断られたりするとすぐ気持ちが拗ねますね。
絶対二人以上でやった方がいい。
これはマジで。病むぜ。マジで。
…まぁ一人でやるヤツなんかおらんか。
スタッフ何人もいるしね、普通。
大阪は半分ぐらい一人ですけどね。

でも、快く置いてくれたお店や、「観にいくよ」と言ってくれた方々には本当に救われました。次の店に誘ってくれる方なんかもいて。
ありがたい。

いや、「ありがたい」ばっかり言ってますが、いやいや勿論失敗やら嫌な事があったりもするけれど、ありがたい事が本当に沢山積み上がっていくのが映画宣伝なんですね。
きっとそう。
制作もそうだし、上映もそう。
今にも倒れそうですぐに壊れてしまいそうなマイナー映画の上映活動とやらを、大量の「ありがとう」で補強して形にしていくのです。多分。それっぽい。

【DCPの作成】

そう。あとはDCPなんです。
映画館専用の上映用メディアですね。
要はフィルムの代わりのデジタルデータ。

やり方は色々とありますが、私の場合は最低限の映像知識とちょっとしたPCはあったので、フリーソフトで自作。
めちゃくちゃ調べるハメになったし、結局チェック機能があやふやだったりはします。
上映環境でのチェックはお金がかかるので、最終的にちゃんと全て観たのはメディア試写の時。
多分自作で作る場合の正解は、(色や音の設定を間違えない前提)小さなハコを借りてチェックしておくという事でしょう。
TCC試写室とかですかね。都内で言うと。まぁ数万はかかりますけど。
それでも外注するよりは遥かに安いし、いちいち手元で修正ができるというメリットも大きい。
まぁ業者に頼む方が色々と確実なのは変わりませんが、んな予算無いし。自主映画だし。割と出来る子だし。

まぁ…苦労はしますけどね。絶対に。
以下のサイトの情報が無ければ無理でした。
これらを書いてくれた方々にも感謝。

勝手にURL載せてええんか?
まぁ多分大丈夫でしょう。

DCP-o-matic

こちらのフリーソフトで作りましたが、分かればだいぶ楽です。
davinciでも作れますが、日本語で調べられる情報量的にこちらにしました。
カールさんという方が個人で作ってるらしい。
すごい。
めっちゃありがとう。
あなたのおかげでちゃんと上映できました。

なんかそんな感じで。
まぁすごく色々あったんですが、どうにかこうにかイメージフォーラムでの上映に辿り着きました。

なんだろう。書くことが多すぎてこんなペースじゃあ全然完結しませんね。
でもまぁ、また今度。

北尾

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