夏の猛暑の中、自分より圧倒的に速く進む人を横目にエアコンの効いた涼しい車で成長を感じた
タイトル通り、これはある夏の出来事だ。
プールへ行くと言い出した嫁に言われるがまま、車の助手席に乗った。
私は運転はしない。ペラッペラのペーパードライバーだからだ。
一度行くと言ったら雨が降ろうが、槍が降ろうが、
フロアが湧こうが一切聞く耳を持たないのが嫁である。
プールの開園時間10時に合わせて8時に起床
9時出発
9時30目的地付近に到着
11時30分未だ渋滞に巻き込まれ中
車内で2人で待っている時、歩道を見ると
車内に父親を残した家族が浮き輪を抱えて歩いている。
残されたお父さんの気持ちを考えただけで
心臓がキュッとなる程つらい。
部活のあんまり好きじゃなかった先輩が
引退間際に優しくアドバイスしてくれて、なんだか申し訳なくなるようなそんな気持ちになった。
さて、車内にかかる音楽もプレイリストを1周し、
同じ曲が2度流れただけでピリピリとした空気が流れるところまできてしまった。
aikoのカブトムシでさえ飽きがくるほどに。
こんな夏にぴったりの曲でさえ耳に絡みついてくるくらいには何もしていない時間が続いているのだ、仕方ない。
もしこの空間にもう1人だけ人間がいたら話は別だろう。
例えば、面白くないお笑い芸人がいたとして、まったく面白くない一発ギャグをしてくれるだけでも、私たち夫婦は苦笑いという共通の反応をして仲を深める事ができる 訳ないだろ地獄か。
例えば、ジャニーズのなんか知らんけど有名なグループのイケメンがいたとする。さっきからブレーキを踏んだり踏まなかったりしてる嫁の心のブレーキは外れ、イライラしてる嫁もハッピーになり、こちらもハッピーになる 訳ないだろ地獄か。
例えば、なんたらかんたら46のアイドルがいたとしよう。地獄か。
地獄なのである。
渋滞が許されるのは修学旅行中に仲の良い友だちだけでバスの後ろの席を占領している陽キャの人間だけだ。
もちろん私はと言えば真ん中ら辺で窓を見てる人間だったから…みなまで言わせるな。
バスの後ろからは、あのリズムに合わせて言葉を放ち、リズムに乗れなかったら罰ゲームのやつ。地獄か。
そう、私にとって嫁と2人きりの車内も、修学旅行のバスも大した違いは無いのだ。地獄なのである。
そうと分かればやる事は1つ。
物憂げな顔で車窓から外を見るだけだ。
引き続き窓の外を見ていると、次から次へと後ろの車から降りた家族が私を抜き去っていく。
なんか、みんなが楽しそうならそれで良い気がしてきた。プールに向かう知らない子どもの笑顔でさえ愛おしいほどに。
これはもう実質パパになったのかもしれない。
そうやって私たちは大人に、車内に取り残されるお父さんへと成長するのだろう。
チョコしか買わん。