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2024年12月21日(土)中山10R中山大障害(J-G1)

混迷を極める障害レース界。真の王者を目指して様々な馬が障害重賞を制した。

阪神SJ マイネルグロン
中山GJ イロゴトシ
京都HJ サンデイビス
東京JS ジューンベロシティ
新潟JS ホッコーメヴィウス
小倉SJ ロスコフ
阪神JS サペラヴィ
東京HJ ジューンベロシティ
京都JS スマイルスルー

この中から前年の中山大障害覇者でもあるマイネルグロン、ジューンベロシティの2頭が中山大障害に駒を進めた。他にも一昨年の覇者ニシノデイジー、今年の障害重賞で2着が2度ある未完の大器エコロデュエル、田村太雅Jにとって7年ぶりのJ-G1騎乗の相棒となるテイエムタツマキなど多士済々なメンバーが顔を揃えた。
中山GJ連覇中の現級王者ともいえるイロゴトシが不在なのは残念な限りだが楽しみな組み合わせとなった。ここを勝利して新たなる王者となるのはどの馬か…

147回を数える伝統一戦と言える中山大障害。
さすがに中山4100m(内回り)という1年間で唯一この時にしか使われないコースで行われるだけのことがありリピート馬の好走が目立つ舞台。

春の大一番である中山GJと中山大障害、この2つのレースは大障害コースを使用するという点では似ているが求められる適性は異なってくる。

中山大障害は4100m(内回り)で中山4250m(外回り)で行われる中山GJとは条件距離は150mだけ距離が違う。
※中山GJは2025年からは4260m戦に条件変更

中山GJの行われる4250mは終盤、向正面から芝外回りコースに入って、向正面の第8号障害、3コーナーの第9号障害を跳び、ラスト、直線で第10号障害を跳ぶというコースレイアウト。そのためバンケットの通過回数は5回。
4100mの中山大障害は距離自体は150m短いが内回りコースに存在する6回目のバンケットをクリアしないといけないためにバンケットの通過回数が中山GJよりは1回多くなる。

そのため中山大障害と中山GJを比べると距離は短いがタフなコースレイアウトとなってしまう。

また中山GJの行われる外回りコースはラスト1000mからの障害がスピードを落としにくいハードル障害(いわゆる置き障害)をクリアしていくのに対して、中山大障害は内回りコースを使用するためバンケットと生垣障害をクリアしていく必要がある。そのために中山GJでは後半1000mのスプリント力が問われるのに対して中山大障害はスプリント力よりもスタミナや平均的な巡航速度の高さが求められることになる。

それは中山GJと中山大障害における勝ち時計にも表れている。

中山GJ過去10年の勝ち馬のラップ推移
中山大障害過去10年の勝ち馬のラップ推移

馬場の違いや勝ち馬が違うことは百も承知だがそれでも数字にすると違いが浮き彫りになってくる。
いずれのレースも勝ち馬の平均ハロンタイムは13.7秒と同じだがラスト1マイルからのタイムに大きな差が生じてくる。

中山GJ   8F106.0-4F52.0-3F38.9-1F13.1
中山大障害 8F107.5-4F52.4-3F39.3-1F13.1

距離は中山大障害の方が短いのに後半1マイルからは中山GJの方が速くなる。
これは前哨戦のペガサスJSとイルミネーションJSを比較してもそうでペガサスJSの方が後半1ハロンからの時計が速くなる。

それでも平均のハロンタイムは一緒。つまりは中山大障害の方が序盤から平均して速度を問われることとなる。よってスタミナの要求値は中山GJよりも中山大障害の方が高くなる。

枠番についても所感は枠番発表後に以下のポストをした。

枠番については大きく作用する馬はいなさそうだがニシノデイジーについては偶数外枠を引けたことで考えることがシンプルになったのは非常に好材料だろう。

まずはコース経験のある馬、そして圧倒的なスタミナと大障害コースを乗り切るための根性を持った馬を中心に予想を組み立てていきたい。


出走馬メモ

パドックメモ

スコアリング

前評判通り4強のスコアが抜けている

◎8ニシノデイジー

今年はこの馬を馬券検討の中心として予想を組み立てていきたい。

一昨年の覇者にして、昨年の中山大障害は2着、今年の中山GJは3着と大障害コースでは無類の強さを示す。
唯一着外となったのは昨年の中山GJでその時は大の苦手とする道悪競馬+出遅れ+主戦騎手ではない石神Jとのコンビと考え得る最悪の条件で運ばれたレースだった。

その1回を加味しても大障害コースは1-1-1-1と文句のつけようのない実績。

東京HJから中山大障害に向かってくるというローテーションは昨年と同じだが昨年とは順調度が違う。
昨年は東京HJが道悪競馬となった影響で必要な負荷を掛けることができなかったように感じた。

今年も昨年と同じく62kgを背負っての東京HJ参戦だったが良馬場のレースで勝ち馬ジューンベロシティが淀みない展開を作ったために締まったレベルの高い流れとなった。
またメンバーレベル自体も高いものだった。

そのレースにおいてレースの序盤は馬とのリズムを大事に、中盤からは早めにポジションを押し上げていって馬に気持ちを注入しつつも、必要な負荷を掛けることも出来たその内容は前哨戦としては100点に近い内容を上げることが出来るのではなかろうか。
自身の外に速いジューンベロシティとブラックボイスとオールザワールドがいて内からもケイティクレバーが前を窺うことが容易に想像できた前走は最悪の枠の並びに見れたがそれでも非常に意味のある競馬が出来ていた。

今回は同じく東京HJに出走して1.2着となったジューンベロシティ、エコロデュエルとの再戦。
2kgあった斤量差がなくなるというのは何よりも大きなプラス。

そしてこの馬は上記の2頭と違い大障害コースでの勝ち方を知っている。
それはバンケットの使い方に表れている。

昨年の阪神SJ時の出走馬メモを引っ張り出してきたが、この馬は2年続けてバンケットでポジションを押し上げていっているようにここの使い方が抜群に上手い。

その強気な押し上げを可能とするのは器用に立ち回れるコーナーリング性能と抜群のスタミナゆえ。

ゲート難がこの馬のウィークポイントで、ゲートが原因となって包まれることでリズムを崩してしまう姿も過去には見ることが出来た。

その点では今回の8枠8番はこの馬にとっては絶好枠と言える。
出走頭数が少ないため内外の不利は元々そこまで大きくはないが、後入れ出来るのは駐立の安定感をやや欠くところのあるこの馬にとっては大きなプラス。

近走を見ていても全く衰えは感じないし、追切は順調に消化している様子が窺えるのは何より。

それでいて前走では新たな成長を感じさせてくれるレース振りを見せてくれたのは頼もしい限り。
今年の中山大障害はこの馬で勝負したいと感じさせてくれるのでその感情を素直に信じて本命に据える。勝ち切ってほしい。

○5ジューンベロシティ

昨年の段階でも重賞を2勝していて障害レース界の主役の一頭だったが今年に入ってからその充実ぶりに磨きが掛かってきた。

春麗JS2着→中山GJ2着→東京JS1着→東京HJ1着とほぼパーフェクトな成績。その成績を支えているのは総合力の高さ。ゲート良し、道中のコントロール良し、飛越良し、スタミナ良し、上がり能力あり、とにかく隙が少ない。

今年の東京JSから高田Jとのコンビを再結成。以降の2戦は逃げの手を打っているがこれは目先の勝ちに拘ったからではなく、東京3110mのコースレイアウトは逃げ馬には厳しいコース設計で、それでも勝てないようでは大障害で勝ち負けすることは出来ないという高田Jをはじめ陣営の強い思いゆえの作戦だったとのこと。
※10月15日放送の競馬ブロスで武英智調教師がそのようなコメント

高田J自身もレース後のコメントから明確に中山大障害を見据えたコメントをしていて今回に対する本気度の高さを感じさせてくれた。

その東京HJは好発からハナに立ってそのままラストまで先頭を譲ることはなく逃げて上がり最速を記録するという強い内容だった。
裏を返すと他馬からのプレッシャーがなく楽逃げできたという点は否めないため前哨戦としての意味合いで言うと2着馬エコロデュエルや4着馬ニシノデイジーと比べると評価を下げないといけない。

それでも前走の最終直線では物見をしたり、尻尾を振って反抗する姿を見せたりまだまだ体力に余裕のある姿を見せてくれたのも事実。

これまで4角以降では他馬に差された経験がなくスタミナ面については十分に担保されていることを証明してくれている。

今回で大障害コースへの挑戦は4回目。大障害コースでは昨年の中山GJ6着、中山大障害5着、今年の中山GJ2着と着実にステップアップしてきた。

好走するための資格は十分にある。あとは前走で楽したことがラストの踏ん張り所でどう影響するかだけ。

◎とはその分だけの差だが、当然しっかりと評価する必要がある存在で対抗評価とする。

▲1マイネルグロン

昨年のこのレースはとにかく強い勝ち方で障害界の新たな絶対王者の登場を確信させるほどの強さだった。

年明け初戦の阪神SJでは62kgの斤量を背負っていながら2着以下の馬を完全に子ども扱いするかのような圧勝劇。中山GJの勝利はほぼ間違いないものという評価となっていた。

中山GJではゲート直後から追走できず全くらしさがなかった。ラスト外回りコースに入ってからは歩様がバラけてしまって何とか完走はしたものの入線後に下馬するというなんとも後味の悪い結果となってしまった。

過日に『右前深屈腱炎』の診断が下されて全治1年、年内休養予定と発表されたように思う。

ところがこの馬の凄いのはここから。
驚異の回復力で秋の福島で実戦復帰。結果は回ってきただけとなったが実戦の中で息を作ることが出来たことは大きな収穫だったはず。

その後いったん放牧に出たが帰厩してからは順調に乗り込みを消化。中山GJ時より多くの本数と強度で追切を消化できていることから身体については問題なく出来上がっているはず。

ある程度の実力を出せる状態であれば先行力、末脚、体力、飛越力、馬場適応能力と全てにおいて高い水準の能力を持つ存在であり勝ち負け争いに食い込んでくる可能性は十分にあるように思える。

石神Jからも昨年出した力の9分の力が出せれば十分に勝てる力はあるという強気のコメントが飛び出しているし実際に私自身もそう思う。

ストレスなくレース序盤を進めて力を出せる状態になれば十分に勝ち負け争いできる力はある。ただし調整過程としては不安が残るのも事実でピンかパーの評価となってしまうため単穴評価とする。

△2エコロデュエル

4強の中では最も下の評価としているがそれでもかなりの実力馬であるのは間違いない所だろう。

前走の東京HJは初コース、スクーリングなし、脚質的に不安あり、距離不足、前哨戦仕上げと不安材料を多く指摘されていたが蓋を空けてみれば成長力の高さで全ての不安を払拭していった。

道中で早めにアクセルを踏んで外からポジションアップしていく姿は今までは明らかに見せることがなかった姿で操縦性の向上を強く感じさせてくれた。
その分ラストの爆発力に一時期ほどの魅力がなくなった点は物足りない所だろうが草野Jからもこの方が障害馬としては安定した成績を残せるとお墨付き。

今年3戦のレースでの時計面

今年はここまで3戦していてラスト3Fでしっかりと加速するレースではしっかりと結果を出せているがバテ合いやタフ戦になるとパフォーマンスを落としている。

ニシノデイジーが逃げるレースではラストに余力を残せる展開になることはは期待しづらく実はニシノデイジーとエコロデュエルは相性が悪いのではないか?と思える。

昨年の3着については正直勝ちに行く競馬をしておらず、マイネルグロン、ニシノデイジーとは干渉しない競馬をしていたために取れた3着だったように思える。

今年は当然勝ちに行くはず。その時に脚がラストの脚がどうなるのか…
未知の部分でスタミナおばけ的に思われているタイプでこの条件でこそパフォーマンスを上げてきそうに思われているが個人的にはその部分に不安があるように感じる。

当然力はあるので上位争いをするだけの資格は十分にある馬に思えるが頭まではどうかな?とみて4番手評価とする。

✕7ヴェイルネビュラ

4強に次ぐ評価を与えたいのがこの馬。

入障から5戦しか消化していないフレッシュな馬。

障害成績は2-1-1-1で初めて複勝圏を外した前走でも3着馬とタイム差なしの4着でこれまで大崩れしていないセンスは高く評価したい。

この馬の持ち味は現役障害馬屈指の瞬発力。

その瞬発力を活かす形がベストで東京JSで3着に好走した時のように腹を括って後ろで脚を溜めればラストにしっかりと脚を伸ばせる力はある。

前走は勝つために早めに仕掛けていったことが裏目に出てラストで失速する結果となってしまった。道中で力んで追走していたことも良くない方向に働いたようだった。

今回は追切からしっかりと折り合いに気を付けてラストで弾けさせるように教え込んでいたようで状態の良さを窺わせる。
後方で折り合いに専念してラストで脚を使わせることを意識すると陣営がコメントしていてこの馬の持ち味が活きやすいのではないかと見る。

それこそ昨年エコロデュエルが3着に好走したように上位争いに干渉せず自分の競馬に徹することが出来れば着を拾うことが出来るだけの能力はある。

上位人気勢の一角を崩すならば同馬のような無欲の馬と見て5番手評価とする。

紐①3ダイシンクローバー

古豪の意地に期待したい。

飛越の上手さはここでも最上位で安心して見ることが出来る。

前走の京都JSでは久々にこの馬らしい活気の良さを見た。
ようやく陣営がこの馬のことを理解してきたように思えた。

この中間は意欲的に追切を消化していて本気度を窺わせた。

京都HJ勝ちの実績があるためJ-G1以外では他馬より重たい斤量を背負わされることはこの馬の年齢を考えると決してプラスではなく、J-G1で他馬との斤量差が埋まる方がこの馬のパフォーマンスを発揮しやすいように思える。

中山コースは昨年の中山GJで3着や中山新春JS勝ちの実績がある舞台で舞台設定そのものが合っている。

人気のない立場で気楽に乗れる点もよく一角崩しを期待したい。

紐②4ネビーイーム

前走のイルミネーションJSでは乗替で小坂Jとの新コンビだったが小坂Jの檄にしっかりと応えてラストまで脚を伸ばして2着に好走。

バテずにラストまで脚を使えるのがこの馬の持ち味。

欠点は平地力の無さ。追走に苦しむ面があるためどこまで前の馬に食らい付いていけるかが大きなポイントになりそう。

ネット競馬でのコラム『加矢太論』で触れられていたが昨年はかなり調子が良く色気をもって本番に挑んだが全く追走できずに完敗。上位勢とは明らかな力の差があったと感じたというコメントがあった。

63kgの斤量に負けていたというようなニュアンスの言葉もあったのは予想する上では非常に悩ませる。

地力はあるがベストは直線ダートのコースであるという個人的な認識を尊重してここは紐扱い。あっても3着までという組み立てでいきたい。

買い目イメージ

単勝8ニシノデイジー

馬連流し
8-5.1.2.7

3連複フォーメーション
8-5.1.2-5.1.2.7.3.4

3連単フォーメーション
8.1-8.5.1-8.5.1.2.7

オッズをみて変えていく予定です。


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