備忘/パーソナルカラー診断で自然光を諦めた理由
今日は備忘の意味もあり、当方カラーコンサルタント/イルドクルールが、何故に自然光ではなく「標準光カラー診断」として色評価用照明使用のカラー診断を提唱しているのか書いておこうと思います。
人は忘れる生き物、一度ちゃんと記録しておこうと考えました。
(今日の画像は、イルドクルール福岡冬季の北天からの晴天の正午の間接光の実測データです。つい最近まで日本のAFT色彩検定のテキストでも、かなりアバウトな分光分布の図が使われていましたが、実際に計測してみるとそうそう理想的ななだらかな曲線は描いていませんし、計測条件や機器でかなり変化します。また、機会を設けてちゃんと比較映像としてアップします、今回はイメージのみでご了承ください。)
パーソナルカラー診断には、カラー診断時の環境の整備。
その主たるものは採光や光源管理に尽きます。
ただ、採光は管理/調節できても、肝心の太陽光までコントロールはできません。
そこで、イルドクルールはここ15年来、制御できない太陽光に依存するのではなく、
パーソナルカラーの診断の場所を、
一般的な色を計測したり比較したり吟味する場所と同等にするべきと、
日本国内のカラー診断に関わる方々(一般にはカラーリスト)に提唱してきました。
提唱の大きな理由は、これまで30年近く、日本のパーソナルカラーの現場で、意外なほど太陽光依存の考えが強かったのと、それに比べ(悪天候時や採光不足の時の)照明自体の知識や造詣は確実に足りてはいなかったというのが正直なところです。
実際にカラー診断の現場では、ざっくり
「昼光色の照明なら問題ない」
程度の認識で指導するスクールや指導者もあり、その弊害は今日まで及んでいるとも言っても過言ではありません。
光源や色光のクオリティを色温度のみでくくることは、単に色温度の観点で色光を選べば良いということになり、(例えば)一般的な測色や色校正、色に関わる鑑定や検証の現場で色を預かる専門職の方々から異論が出る事は簡単に予想されますし、私自身も色温度だけでは全く足りないと考えます。
また、カラー診断に昼光色が適切なのか、昼白色が適切なのか、その二つの色光がどう違うのか、実はよくわからない方もいらっしゃいます。
他にも、
「太陽光に近い光(照明)を使えばよい」
程度の指導や解説も多々あるかに聞きます。
それもずいぶん乱暴な説明で、太陽光は緯度で気候で、時間帯で、天候で、そして何より現在の日本の建築環境を考慮すると、かなり幅があることが明白です。逆に「太陽光に近い光(照明)を使えばよい」という考え方自体が、日本のパーソナルカラー診断を混乱させた一因ではとも考えます。
まず、そこには指導者側が照明について造詣が深いことが当然求められますが、
多種多様なパーソナルカラーの指導用のテキストや、検定のテキストようなものに手を通してみても、なかなか具体的な的を射た解説は少ないものです。
一方、パーソナルカラーの理論と実技の教授を受けるものは、
「太陽光に近ければ良い」
というように解釈し、常設の施設の使用中の蛍光灯が昼光色であったなら
色温度は6,500k(ケルビン)より高いケースが多いので、記憶にある太陽光をイメージし、
単純に白熱ランプをミックスして合理的に色光を中和しようと考えるのは無理のない話です。
しかし、実は測色の観点からは、色温度のミックスは一番の常識と基本を逸した考え。
当然、カラー診断結果に混乱を引き起こす事は他業種の方々からは容易に予想もできました。
よくある、ブログやSNS等々のカラー診断の画像や映像等で、
姿見の鏡の上部や両端に、小さなハロゲンランプや白熱灯、もしくは電球色に近いスパイラル状の蛍光ランプを取り付けたパターンでそれにあたります。
もちろん、その使い方(異なった色温度の光源のミックス)は、カラー診断自体には決して良くない影響を及ぼします。
(以下、少し長くなるので次回継続してアップしますが、次回は「参照にすべき色温度は6,500k/ケルビン」という誤解の原因は何なのか、についても書いてみようと思います。6,500kでカラー診断を行う根拠は何なのかは誰もちゃんと説明できていません。)
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