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心を殴り続けられているようだった

映画「アイスと雨音」を観た。

ある小さな町で舞台が上演されることになり、オーディションで選ばれた6人の少年少女が初舞台に向けて稽古に励む中、突然舞台の中止が言い渡される、というストーリーを74分ワンカットで撮影された斬新な作品だ。

74分間ずっと心を殴りつけられているような気がした。

「お前このままでいいのかよ?」って言われているみたいだった。

「時間は全てを解決してくれる」というフレーズが劇中に出てくるのだが、それは真実かもしれない。

悔しさも、怒りも、虚しさも、憎悪も、絶望も、不安も、どんなに辛いことがあってもそれは時間が経てば薄まっていくかもしれない。

自分を全否定されたように感じても、それは決して全否定されたわけではくいつかはその気持ちもなくなるかもしれない。

でも、本当にそれでいいのだろうか。

「お前それでいいのかよ?」って言われ続けている気がした。

「うるせぇ、こっちだって頑張ってんだよ」って言い返している自分がいた。

どんな悔しいことがあっても、悲しいことがあっても、受け入れがたいことがあっても、皆が皆何かできるわけじゃない。

現実にはどうしようもないことも沢山あるのだから、諦めること、忘れようとすること、現実を受け入れることは決して悪いことだけではないと思う。

でも、「それでいいのか?」って言われ続けている気がした。

「アイスと雨音」は舞台が中止になる話だ。

それ以上でもそれ以下でもない。

※冒頭で出てくるのでネタバレではないです。

ストーリーが進む中で、舞台が復活したとか、そんなことは一切ない。

 バッドエンドならぬ、バッドスタート。

結末も具体的に何かが変わったり、ハッピーエンドになるわけじゃない。

グッドエンドだったかもわからない。

ただただ現実を受け止めきれない6人の男女の、怒りながら、空虚になりながら、もがき苦しむ様が描かれていた。

「お前それでいいのかよ?」って言われ続けている気がした。

まだ心の奥が殴られたようにジンジンする。



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オカモトカズマ
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