アトムの子/2025年1月10日(金) 生活者になりたい5

月イチの皮膚科の日。

我々肌弱族こと“アトムの子”は、世の皮膚科の多くが、目視してステロイド入りの塗り薬を出すだけなのを知っている。反論はあるだろうが、実際そうだったので仕方ない。しかも毎回、長時間待たされた挙げ句、だ。

こちとら薬の名前を聞いてステロイドの強さランクがわかるくらいにはベテランであって、付け焼き刃の無為に気付いた“アトムの子”らは巡礼者となり南斗六星を訪ね、根治を目指してきた(ほんまか)。


数々の強敵(ルビ:とも)との戦いを経て、やがて辿り着いたのは、とあるアレルギー専門医院だ。そこには名門で研鑽を積み、香害や化学物質過敏症の専門医としても名を馳せる、眼光鋭い野武士がいる。

医院内部の設えには化学物質を含む建材が使用されておらず、なんと携帯電話を触ることすら禁止されている。読書習慣がない患者はただ座りつくすか、膨大なアレルギー関連書物、なぜか置いてある『医龍』『風の大地』など偏りまくりのマンガを読むほかなく、待ち時間にして早くも洗礼を受けるのだ。

初診ならまず、記入に15分はかかる膨大なアンケートを対峙することになる。何ページもの紙に見慣れた食材の名前がこれでもかと並び、摂取頻度を細かく問われる。いざ診察では、洗剤やシャンプー、布団といった常用している日用品にまで話は及び、果ては米や塩の質に至るまで注意を喚起される。

初診の最後はこうなる。
「同じものは週に2度まで」の宣言のあとに、「乳製品、コーヒー、チョコレート、白砂糖⋯⋯」と避けるべき食材が提示され顔面蒼白。さらに「納豆きなこ豆乳豆腐油揚げ⋯⋯これら大豆製品も健康にいいと思って食べ過ぎたら毒」ときて、一体今日からワシは何を食えばいいんじゃ⋯⋯と自失するのがお決まりだ。

オーガニック志向の患者が反駁している場面にもよく出くわすが、「ウチはこういうやり方。気に入らんならどうぞ余所へ」と取り付く島もない。
ただ、これまでの医者とは全然違う、生活習慣そのものを正し、根治する気概に溢れている。素っ気ないし眼も見てくれないが、もちろんデータも活用するし、そこに確かに愛がある。

「愛深きゆえに、人は苦しまねばならぬ」と言ったのは聖帝サウザーだが、自分はこの聖帝十字陵がとてもフィットしている。


なんで皮膚科のことを語り上げてしまったのだろう。

年齢的に週の後半になると息切れが顕著でとても切ない。社の仕事もそろそろケツに着火メカファイヤー。夜は天王寺のスーパーで買い物をして、割引きの牛コマを適当に焼いてリーペリンソースをかけたものを白飯とともにかきこむ。ちなみにハウスの和からしが合うよ。


冬の木の佇まいと蒼天、行き交う鳥たち。
この組み合わせが冬の楽しみで、この日も寝転がって見ていた

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