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すべて自分で決めたい 241231


大掃除を放り出して向かっている文机の眼下に広がるアメリカンドリームな豪邸は、年の瀬になると庭木の枝葉を大胆に刈り込んでしまう。

私は一気に広がった視界を喜ぶ一方で、多様な鳥が鳴き声を楽しませてくれた名前を知らない木が、来年も鳥たちの遊び場になるのかが不安で仕方ない。毎年、ふたつだけ生るしぶといカリンの実が、青みがかった黄色をくすませながら、今日も冬を冬として見つめている。

誰かと新しいことを始めるのに入念な準備は必要ない。手と頭と足を動かして、見つめる目標に近づいていくだけだ。

でも、例えやりきって成果が出たとて、また夜が静かに、誰しもに等しく訪れる。火影が露わにした誰かとの心のねじれを前にして、また自らの凡庸を恥じる時間と向き合うことになる。

一条の涙を零した夜がいくつも思い返される。別れをあらかじめ織り込んだ生き方は見晴らしがよいとはいえない。ただ、今年経験したいくつかの別れは、他者の人生が目の前に迫り、ただ離れていったに過ぎないのだと今では思える。

すべては「自分が決めたことだから」。寄せては引く波打ち際で、変わりゆく自分を見つめるような一年でした。


まだ腕立て伏せはできないけれど、ようやく使えるようになった右手で今年をおさらい!

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『CULTIVATE BIBLE』
https://tu2ura2.com/products/cultivate-bible
新潟の鬼才[ツバメコーヒー]田中さん編集。書き手のひとりとしてエッセイを寄稿。

SUUMOタウン
https://suumo.jp/town/entry/abenoku-fujimoto/
常日頃チェックしていた連載に、我が街・阿倍野についての文章を寄稿の嬉しさ。地元に関わることも40代のテーマです。

古賀及子さんとのトークイベント
https://note.com/eatmorecakes/n/n20ca0e720f91
いつもお世話になります千鳥橋[シカク]竹重さんの導きで、古賀及子さんとトークしました。古賀さんの文体はカッコいい。偉大な先達。

高知
https://www.lmagazine.jp/mook/MOOK6190862/
自治体の仕事では前代未聞、2年連続での制作。高知の端から端まで行った。上写真は愛媛県境のUFOライン。今年訪れた最も辺境の地。

高知フードトリップ
https://web.hh-online.jp/hanshin/contents/str/20240619.html
『高知』を立体化した阪神百貨店での催事も2年連続大好評で閉幕。編集者の仕事は本を出して終わりではない。

岡山の本
https://www.lmagazine.jp/mook/MOOK6190869/
返す刀で岡山へ。父方と縁が深い街で活躍する同年代のトップランナーたちに刺激を受けました。中川正子さんとお仕事できたのも嬉しく。

2025年 開運の旅
https://www.lmagazine.jp/mook/MOOK6190878/
いわゆる年末恒例の神社仏閣本ですが、ぜひ2025年のお供に。本年の芥川賞作家・松永K三蔵さんの書き下ろしも是非。関西の書き手にこれからもどんどん執筆を依頼する所存です。

※他にもいろいろありますが、細かい(書きたくない)仕事は省いています


年の瀬に入魂の詩を納品して一年が終わろうとしています。

今年は個人としての作品は出版できませんでしたが、来年はいくつかのアウトプットを予定しています。まずは今年のようにケガや体調不良に見舞われないよう気を付けたいと思います。

一年を通して支えてくれた家族や同僚、仲間に心より感謝します。ありがとう!!


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金曜日に勤め先の仕事を納め、土曜日には[blackbird books]へ本とお花の買い出しに、日曜日には[井尻珈琲焙煎所]と、一部ではありますがお世話になったお店に暮れの元気なご挨拶へ行ってきました。

私の「好き」は「尊敬」とほぼ同義です。

家族や仲間と、自分のペースを守りながら店を続ける年端の変わらないふたり。彼らがつくってきた、いよいよ居心地のいい空間に身を置いていると、私がどこにいるのか、何者なのかを自覚させられます。そして、黙々と本棚を整え、集中してネルドリップする姿に、とても見晴らしのよい未来を見ます。そこに朧げな、満ち足りた自分を投影することもありました。

来年はもう少し、地に足の付いた言葉を綴っていこうと考えています。

仕事と暮らし。人間と街。時間を味わうこと。作りたい本、表現したいことはまだまだたくさんあります。

サファイア色の空に小さな決意を浮かべます。
幾重もの暗い夜を乗り越えて、素直で、強度のある選択を。こころのあわいに愛が積み重なっていく暮らしを。
そして、「すべて自分で決めたい」。


それでは皆さん、よいお年を。
来年もよろしくお願いいたします!



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