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ジュエリー教室「クラフトルームHAKATA」レポート(貴金属基礎体験, 平打ちリング)

こんにちは。造形作家の塩井一孝です。福岡を拠点に絵を描いたり、彫刻を作ったりしています。

僕は今年(2021年)の8月からジュエリー教室に通い始めました。と言うのも、前職の鉄工職人としてのスキルを活かした作品を作ってみたいと思い始めたからです。そこで思い浮かんだのがジュエリーでした。しかし、ジュエリーは前職で作っていた建築金物と比べてとても小さく、ミクロな世界です。使う道具も違うし、そもそも扱う金属が異なります(前職は鉄工なので鉄・ステンレス・アルミがメインで、たまに銅・真鍮)。ジュエリーは金や銀、プラチナといった貴金属がメイン。インターネットやYouTubeを駆使してジュエリー制作を独学で勉強してみようと試みましたが、残念ながら画面越しでは創作のイメージが掴めませんでした。

そこで、自宅から通えるジュエリー教室をネットで探してみることに。すると、とあるジュエリー教室を発見。早速見学をしてみると、自分と相性が良さそうだったので通ってみることにしました。この記事はジュエリー教室の体験レポートです。ジュエリー教室ってどんなところだろう?興味があるけど通うべきかどうか迷っている、そんな人たちの参考になれば幸いです。


なぜジュエリーをやってみたいと思ったのか

実は、以前からジュエリーには興味がありました。そのきっかけは、5年前の2016年にドイツのハンブルク美術工芸博物館で見たアートクラフトフェア「MKG Art and Crafts Fairにさかのぼります。そこでは、ヨーロッパを中心に世界中から家具や日用品などのあらゆるジャンルのクラフト作家が集まり、作家自らが作品の前に立って展示販売をしている見本市のようなものでした。中でも僕が最も興味を持ったカテゴリーがジュエリーでした。その場にあったジュエリーは素材や形、大きさも様々で、金や銀などの貴金属の他に木や布、樹脂など一般的なジュエリーとは一線を画す素材を使ったものが多くありました。

「えっ!?これがジュエリー?どうやって身に付けるの?重くない?大き過ぎない?いつ使うの?」というような、パッと見た目は用途を度外視したような彫刻作品のようなものまありました。しかし、よくよく見てみると、どの作品もユニークで機能も洗練されていて、目の前の小さなジュエリーの一つ一つが作家の思考が凝縮された小宇宙のようにとても魅力的に感じられたのです。海外では、このようなアートジュエリーのことを「コンテンポラリージュエリー」と呼び、多くの愛好家に親しまれているそうです。それ以来、「いつか自分もこんなジュエリーを作ってみたいなあ」という思いが芽生えたのでした。

▼ アートクラフトフェア「MKG Art and Crafts Fair 2016」の様子。(全て作家の許可を得て撮影しています。)

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▼ そのアートクラフトフェアで、ジュエリー作家 gabi veit さんのリングを買いました。

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また、最近取り組んでいる『写光石』という立体作品をクオリティの高いジュエリーにしてみたいなあと考えている時期ともちょうど重なりました。なので「タイミング的にちょうど良さそうだし、ジュエリー制作ってどんなものか、とりあえずやってみよう」という気持ちで動き始めたところです。

▼ 近年制作しているのアート作品『写光石』とそのアクセサリーたち。現在は市販のアクセサリーパーツを使用して作品を作っていますが、ジュエリー制作のスキルを身につけて、これからを高品質・高価格帯のジュエリーにバージョンアップで出来たらいいなあと思っています。

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このジュエリー教室を選んだ3つの理由

僕が通うことにしたジュエリー教室は福岡市の博多にあるクラフトルームHAKATAというところです。

選んだ理由は

1. 立地が良いから
2. 料金システムが自分に合っていそうだったから
3. 教室の雰囲気が良かったから


です。

1. 立地が良いから
クラフトルームHAKATA」は博多駅から歩いて10分にあります。博多駅は九州の最も主要な駅で、僕の家の最寄り駅から約40分で着きます。ドアtoドアで約1時間。通勤なら範囲内です。駅からバスや地下鉄の乗り換えをしなくて良いので助かります。この立地の良さもあって、県外の熊本からも通っている生徒さんもいるそうです。

2. 料金システムが自分に合っていそうだったから
HPを見ると分かりますが、学ぶ目的に合わせてがコースを色々選ぶことが出来ます。体験コースも3種類あり、生徒の目的とレベルに合わせたカリキュラムを提案したいという教室の親切さを感じました。体験講座が3種類もある教室なんてなかなか聞きませんよね。しかも、体験講座は全て材料費込み、道具貸出無料となっています。手ぶらで行って、自分で作った作品を持って帰れるのです!

①体験講座 「シルバーで作ろう♪」リングorペンダント 
  ¥3,960税込
②体験講座 「ワックス&シルバー鋳造仕上げ」リングorペンダント
  ¥7,920税込
③初心者10回コース
  ¥46,200税込

まずは体験講座をやってみて、その後もやってみたいと思えばルームメンバーになって「貴金属加工」「WAX原型制作」「ジュエリーデザイン」「ワイヤーワーク」といったジュエリー制作の基礎を自分のペースに合わせて学ぶことが出来るそうです。僕もとりあえず体験講座をやってみて、続けたいなと思ったらルームメンバーになってみようと思いました。

*貴金属加工
*WAX原型制作
*ジュエリーデザイン
*ワイヤーワーク

上記の4講座をまんべんなく、マイペースで受講できます。
お仕事をしながらスキルアップが可能。
自分のためのジュエリー作りも、趣味でコツコツ制作するのもOKです。
毎月の時間割の中から、通える時間を選んでご予約頂きます。

3. 教室雰囲気が良かったから
僕は入学前にインスタのDMでアポイントメントを取り、事前に見学に行きました。なぜなら、実際に先生と話したり、教室の設備を見たりして雰囲気を見て入学を決めたかったからです。ジュエリー教室なので先生も生徒も女性が多いですが、男性の先生や生徒もいらっしゃる様子でした。生徒の年齢も幅広く、先生も生徒も真剣にものづくりをしている様子を見ることが出来て安心しました。

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体験講座のコースはこれにした

教室見学の際、先生と相談して僕は「初心者10回コース」の体験講座から始めることにしました。これは「貴金属加工」「WAX原型制作」の基礎技術を10コマ(1コマ=3時間)に渡って体験できる講座です。僕の場合、『写光石』のジュエリーを作ってみたいという目標があるものの、果たしてどんな技法が良いのか分からなかったため、とりあえず基礎を一通りやってみた方が良いよねということになり、体験講座の中でも最も幅広く基礎技術を体験できる「初心者10回コース:¥46,200」を選択することにしました。しかも、この体験講座には材料費が含まれています。

では、さっそく体験講座のレポートをしていきたいと思います。


貴金属基礎技術体験①【板からの平打ちリング】

初日は【板からの平打ちリング】の制作でした。

【板からの平打ちリング】
・目的:指輪の基本的な作り方を学ぶ
・学習すること:地金取り(指輪のサイズに応じた長さなど)・ノギスの測り方・なまし・ロウ付地金取り(指輪のサイズに応じた長さなど)・ノギスの測り方・なまし・ロウ付

1. 作るリングの形を決めます
平たい形状や表面のテクスチャーなど、どういうリングを作りたいか先生と相談しました。僕は「甲丸(こうまる)」という断面がかまぼこのような形のリングを作ることにしました。

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2. 指輪のサイズを測り、必要な長さを計測します
教室にサイズ表があるので、その用紙を元に計算して長さを決めました。僕は右手の薬指用に16号の指輪を作ることにました。16号の内径の直径は18mmなので、これに板厚を足して、それを円周(3.14)を掛けると材料の長さが算出されました。

(18+1.5mm)×3.14=61.23mm

3. 糸鋸で材料を切断します
シルバーの板材を糸鋸でカットしていきます。初めての糸鋸。鉄工所ではバンドソーという大きな機械しか使ったことがなく、最初は手間取りましたが徐々に慣れてきました。バンドソーを使ったことがあるならカッティングに対する精度の考えは基本的に同じように感じました。

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4. 芯金・溝台を使って丸くします
木槌を使って少しずつ丁寧に形を作っていきました。ねじれを修正しながら全体の形を丸く整えます。あっという間に指輪の形になってきました!

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5. ロウ付け
糸鋸でロウ付箇所を擦り合わせ、ロウ付けしました。溶接はしたことありますがロウ付は初挑戦。フラックスを塗ってロウを置いて全体を赤くして...溶接とは全く手順も工程も違いますが、なんとか出来ました。数をこなして慣れれば大丈夫そうです。

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6. ヤスリで形を整えます
甲丸(かまぼこ状)の形のリングを作りたいので、その形をイメージしながらヤスリで整えていきます。荒目→中目→油目→紙ヤスリの順で形を作っていきました。頂点は触らない用に気をつけながらざっくりと面を作っていき、ヤスリの番手を増やすと同時に面の数を増やしていくイメージです。

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7. 磨きヘラで磨いて完成
最後に磨きヘラという道具を使って鏡面に上げていきました。リングに傷が入らないように擦り板に布を巻いてその上で作業をします。ヘラの握り方も先生に教えてもらいながら作業を進めました。最後にバフで磨いて完成です。

さて、完成まで約4時間ぐらい掛かりました。基本的にこのリング制作は2コマ(6時間)で完成するプログラムになっています。僕の場合、前職で金属加工の経験があったので短時間で作ることが出来たのだと思います。初心者の方でも先生のサポートがあるので時間内で作ることが出来ると思います。

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感想

久しぶりの金属加工は楽しかったです。貴金属加工は初めての経験でしたが、細かい作業やロウ付も問題なくこなすことが出来ました。しかし、ジュエリーは鉄工と比べるとサイズ感が圧倒的に小さい!生徒さんの中には、ルーペを見ながら小さな宝石の石留めをしていらっしゃる方もいました。世の中のジュエリーやSNSを見ても「これってどうやって作るんだろう?」というものばかり。どの業界もそうですが、ジュエリーの世界もすごく奥が深いんだろうなあと身をもって感じました。

これから本格的にジュエリー制作をやり始めるのかはまだ分かりませんが、良い経験になることは間違いなさそうです。頭で想像していた以上に、意外とやれそうな気もしているし、仕事となるとやはり簡単にはいかないわけで、その辺の方向性はやりながら考えていくことになりそうです。

次回もジュエリー教室の体験講座のレポートを書いて行こうと思います。では!

・次回の記事はこちら↓

・ジュエリー教室で教えてもらった入門書。幅広いジュエリーの基礎技術が網羅されているので、一度読むだけで制作のアイデアが広がります。↓


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